端的に言えば先鞭をつけるの意味は「他の人より先に始めること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「先鞭をつける」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ヤマトススム
10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。
「先鞭をつける」の意味や語源・使い方まとめ
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それでは早速「先鞭をつける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「せんべんをつける」です。意味から語源や使い方などの詳しい情報までチェックしていきますよ。
「先鞭をつける」の意味は?
「先鞭をつける」という慣用句には、次のような意味があります。まずは、国語辞典で正確な意味をつかんでおきましょう。
1.他に先んじて着手する。他の人より先に始める。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「先鞭をつける」
「先鞭をつける」は、先に馬に鞭(むち)をあてるということなので、先に馬を走らせるということです。転じて、人より先に行動するときに使われています。
人に先んじるというと競争に勝つというイメージがありますが、「先鞭をつける」は相手を出し抜いたりするようなマイナスイメージの言葉としては使われません。どちらかというと、人に先んじるだけの情報収集力があることや人と違った視点を持っていることを評価する言葉となっています。
また、先んじるということは、追随する者がいるということです。そういう意味では、何らかの新たな領域を開拓した場合など先駆者のようなニュアンスも含めて使われることもあります。
「先鞭をつける」の語源は?
次に「先鞭をつける」の語源を確認しておきましょう。
「先鞭をつける」は、中国の歴史書『晋書(しんじょ)』の巻62「劉琨伝(りゅうこんでん)」に由来します。その中で、もとになったのは劉琨とライバルの祖逖(そてき)との話です。
劉琨は「戈(ほこ)を枕もとにおいて朝を迎え、敵を討伐しようと準備しているが、いつも祖逖が先に馬を走らせるのではないかと気になっている」と言います。祖逖が先に手柄をあげて功名を得るのではないかと、心配しての言葉が故事から生まれました。
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