流体力学物理理科

5分でわかる「波の干渉」ポンプ脈動や音波も含め現役プラントエンジニアが分かりやすく解説

その2.遠心ポンプの脈動対策

その2.遠心ポンプの脈動対策

image by Study-Z編集部

遠心ポンプの脈動の対策にも波の干渉が応用されます。脈動とはポンプの圧力や流量が大小変動する現象です。イメージとしては水道の蛇口を開いた時に、水の出が良かったり、悪くなったりする現象になります。プラントではポンプの脈動により、騒音や振動問題が発生してしまうため解決すべき問題です。この脈動の対策として図に示したような方法があります。対策の1つは、通常1枚の羽根車なのですが、2つの羽根車を背中合わせにし、羽根車の位相半分ずらす方法です。

これにより片側の羽根車から発生する脈動ともう一方の羽根車からの脈動位相が半分ずれるため、干渉による脈動の減衰が発生します。このように羽根車を2つ組合わして、それぞれから水を吸うポンプを両吸込渦巻ポンプと呼び、多くの施設に送水するような大流量、高圧力のポンプとして使われるのです。

対策の2つ目は、通常が遠心ポンプの構造で示したようなボリュートは1つのものになるのですが、図のようにケーシング内のボリュート部に壁を作ることにより、2つの出口(AとB)からの脈動が半波長分ずれることにより脈動を低減する方法になります。これはダブルボリュートと呼ばれるのです。

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波の干渉は光だけではない、ポンプの脈動も同じ原理だ。ヤングがスリットを2つ用意して干渉縞を作ったように、ポンプでも羽根車の形状を変えることやケーシング内に壁を入れるなどにより逆位相の波を作り出して干渉させる工夫がされているぞ。

音波による干渉

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道を歩いていると車の音や、人の話し声などたくさんの音が聞こえます。これらは物理でいう音源であり、音源からは音波が出ているのです。音波は空気中の空気が粗密に変化(または圧力が変化)し、音速で伝わる波になります。音波は波のため干渉が起こります。次に音波の干渉技術の応用例を上げます。

その1.消音スピーカー(アクティブ騒音制御)について

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By MarekichOwn work, CC BY-SA 3.0, Link

工事現場や工場からの騒音は近隣住民に影響を与えることがあります。騒音の低減方法には、遮音や吸音など対策装置からは音を出さないパッシブ制御と、対策装置から音を出すアクティブ騒音制御があるのです。

アクティブ騒音制御は、対象とする騒音の位相と逆位相の音消音スピーカーから発生し重ね合わせて消音する波の干渉技術になります。応用例として、車や旅客機に設置されたものがありますが、集音マイクで音を拾い、その音に対し消音スピーカーから逆位相の音を出し、車内や機内の騒音を軽減する技術です。

その2.音響衝撃波について

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津波は誰もが知るように驚異的な水のエネルギーによって建設物を飲み込んでしまいます。沿岸に防波堤などを建設し、津波を食い止めようとするがそれにも限界があるのです。津波に対して音響衝撃波を沿岸部から発射し、津波を減衰させる技術が研究されています。津波は重力による作用と、空気と水の摩擦などの影響受けて波が作られ、その波は周期をもつのです。特定の周期をもつ津波干渉する音響衝撃波を沿岸位置から放ち、津波が沿岸部に到達する前に津波の振幅を小さくする技術になります。

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音も音波と言われるように波だ。例えば隣の部屋から音が聞こえてくるのも、音が波の性質をもっているから回折や反射、透過しているんだ。音波の干渉は、騒音の消音にも応用されている。音響衝撃波については課題があるようだが、実現できれば近い将来多くの人を救える期待のできる技術だ。複数の応用例をを知り、波の干渉の応用性の幅広さに興味が湧いたな。

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