化学理科

「電気泳動」とは何か?原理や利用方法を医学部研究室の実験助手が5分でわかりやすく解説

突然ですが電気泳動について知っているか?これは電荷をもった分子が電場の中を移動することで、その分子がどのような大きさを持っているかを調べる方法なんです。電気泳動は製薬会社や健康食品関連の会社なら必ず行っている手法です。しかしこのように説明したところで、ピンとくる人は多くないでしょうな。今回は電気泳動の原理や利用方法について、化学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

医学部の研究室で実験助手を勤めている。研究室ではDNAやタンパク質について解析しており、毎日のように電気泳動をしている。より正確にDNAを解析するために実験の原理について深い知識を持っている。

電気泳動とは

image by iStockphoto

電荷をもった分子に液体中で電流を流すと、電気力によって加速され持っている電荷とは反対の極に移動します。この現象が電気泳動です。これらは分子生物学分野で広く利用されており、DNAやタンパク質を解析する際にとても重要な実験なんですよ。DNAやタンパク質には様々な大きさがあるため、これらをサイズ別に分離する際に用いられます。

バイオ系の実験ではPCRという機器を使用してDNAを増幅し解析するのですが、増幅されるDNAは1種類のこともあれば2種類、またはそれ以上になることもあるんです。電気泳動では目的としているDNAがちゃんと増幅しているかの確認の他に、いろいろなDNAが含まれている場合にそれらを分離するためにも使われます。遺伝子を部分的に欠損させたり挿入させたりする時は、電気泳動で長さの確認をすることもあるんですよ。

電気泳動の原理ーDNA編ー

電気泳動の原理ーDNA編ー

image by Study-Z編集部

DNAとタンパク質では電気泳動の原理が少しだけ異なっているので分けて解説します。まずはDNAの場合についてです。

DNAを構成しているヌクレオチドにはリン酸基と呼ばれる構造があります。このリン酸基は中世からアルカリ性の環境になるとマイナスに荷電するのです。つまり、DNAが長くなればヌクレオチドも多くなるので電荷は大きくなります。このDNAをアガロースゲルと呼ばれるゼリーのようなものにセットし、電流を流すとDNAは陽極側へと流れていくのです。ここで、DNAが大きいとアガロースゲルを通りにくいのでゆっくり移動し、小さいと速く移動します。この流れる速さの差を利用して、DNAをサイズ別に分けるのです。

電気泳動の原理ータンパク質編ー

image by iStockphoto

タンパク質の電気泳動でも、タンパク質が持っている電荷を利用してサイズを分けるという部分ではDNAの電気泳動と原理が同じです。ただ、タンパク質の場合は緩衝液のpHによってプラスにもマイナスにも荷電されるため、SDS(陰イオン性界面活性剤)をタンパク質にくっつけることで無理やりマイナスに荷電させます。また、使用するゲルはアガロースゲルではなく、ポリアクリルアミドをつかったゲルです。

アガロースゲルとポリアクリルアミドゲル

image by iStockphoto

ここで、電気泳動に使用するゲルについて説明します。まずはアガロースゲルについてです。アガロースは海藻から抽出された成分で粉末状をしており、寒天のような役割をします。アガロースゲルは緩衝液(TAEなど)に適量溶かして加熱し、型に流し込んで冷やし固めれば完成です。作り方もかんたんな上に毒性もないのでとっても便利なんですよ。しかし、分離できるDNAの範囲は広いですが1~2塩基の違いを検出できないのがデメリットです。DNAはものによりますが長いものだと5000塩基以上になるためアガロースゲルが向いています。

一方、ポリアクリルアミドゲルはアクリルアミドという有毒な試薬やTris-HClなどいろいろな試薬を混ぜて作成しなければなりません。型はガラス板をほんの少し隙間を開けて並べ、その隙間にポリアクリルアミドゲルを流し込んで固めます。ゲルをつくるのに少し手間がかかりますが、1~2塩基の差も検出できるためとても精度が高いんです。また、タンパク質はSDSでマイナスの電荷をつけないといけないのですが、SDSはポリアクリルアミドゲルの中でないとタンパク質の分子量に応じた移動速度の差がでないため、タンパク質の電気泳動ではポリアクリルアミドゲルを用います。

\次のページで「タンパク質の電気泳動」を解説!/

次のページを読む
1 2
Share: