この記事では「機先を制する」について解説する。

端的に言えば機先を制するの意味は「先に行動して有利な立場にする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「機先を制する」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「機先を制する」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「機先を制する」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「機先を制する」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「機先を制する」の意味は?

「機先を制する」には、次のような意味があります。

1. 相手より先に行動して、その計画・気勢をくじく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「機先を制する」

2. 先手を打って人より有利な立場に立つ。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「機先を制する」

「機先を制する」(きせんをせいする)の「機先」(きせん)とは、時間的に「物事が起ころうとする、あるいは行動を起こそうとするその直前」という意味になります。「制する」(せいする)には、「行動や気持ちを抑え留める」や「規則を制定する」という意味もありますが、この場合には、「自分のものとする」や「支配する」の意味ですね。

「機先を制する」とは、全体で「物事が起きる際に、相手より先に行動して自分が有利な立場に立つこと」になりますね。

「機先を制する」の語源は?

次に「機先を制する」の語源を確認しておきましょう。
戦いにおいて、相手より先手をとって先制攻撃(せんせいこうげき)をかける方が有利に展開できることは古くから世界各国でよく知られていました。中国の司馬遷(しばせん)たちが紀元前104年から編纂をはじめた歴史書『史記』(しき)の中でも「機先を制する」と同じ考え方をしていた武将の話がでてきます。日本でも慣用句として使われている「先んずれば人を制す」(さきんずればひとをせいす)がこれにあたるのです。

実は、この「先んずれば人を制す」には、続きの言葉があり、「遅れれば人に制される」と続きます。「先んずれば人を制す、遅れれば人に制される」となっているのですね。参考にこの慣用句を中文(漢字)で表現すると“先发制人,后发制于人”になります。日本でも、「先んずれば人を制す」と同様の意味を持つ「機先を制する」は室町時代や戦国時代において、多くの戦国大名たちの戦法として多く使われてきました。

\次のページで「「機先を制する」の使い方・例文」を解説!/

「機先を制する」の使い方・例文

「機先を制する」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 日本とトルコは古くから友好関係にあるが、イラン・イラク戦争でイラク側がイラン領空を「戦争空域」(せんそうくういき)であり、民間航空機であっても攻撃することを宣言したとき、機先を制して、イランのテヘランへ日本人救出のため特別機を送ったのはトルコ航空でした。

2. 数の上では圧倒的に今川軍(いまがわぐん)に不利であった織田軍(おだぐん)であったが、事前に得た情報をもとに機先を制して奇襲攻撃をしかけ、織田信長は見事に「桶狭間の戦い」で今川義元(いまがわよしもと)を破った。

「機先を制して」行動を起こすことで道が開けることはしばしばあるのです。

「機先を制する」の類義語は?違いは?

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それでは、「機先を制する」の類義語を見ていきましょう。

「先手を取る」

「機先を制する」と同様に「相手より先に行動して立場を有利にすること」を意味する言葉に「先手を取る」(せんてをとる)があります。ただ、「先手を取る」は、「囲碁」や「将棋」のように相手と交互に攻めあうゲームにおいて、「最初の一手を打つ側」という意味でもよく使われるのです。ちなみに第2手を打つ側のことを後手(ごて)といいます。

\次のページで「「先制する」」を解説!/

「先制する」

「機先を制する」と同様に「先に仕掛けて展開を有利にする」意味を持つ言葉に「先制する」(せんせいする)もありますね。多くのスポーツでも「先制する」はよく使われています。例えば、「野球」や「サッカー」、「柔道」や「レスリング」でも先に得点した方が後のゲームや試合を有利にすすめることができるのです。「あとは守りを考えるだけでよい」とか、「無理して難易度の高い攻撃をしなくてもよい」とか「先制点」をとった方が有利といえる競技はたくさんあるのですね。

「機先を制する」の対義語は?

次に「機先を制する」の対義語を見ていきましょう。

「急いては事を仕損じる」

「機先を制する」には、「先手を打って人より有利な立場に立つ」という意味がありますが、「機先を制する」ことにばかりに考えがいってしまって、「焦って行うと失敗しがちになる」という意味のことばに「急いては事を仕損じる」があります。読み方は「せいてはことをしそんじる」になりますね。「急いては事を仕損じる」は「先手を打つ」ことや「迅速に対処する」ことを否定することばではありませんが、人は「急いでいるとどうしても焦ってしまう」ものであり、努めて落ち着いて行動しなさいという注意を喚起(かんき)することわざなのです。

「機先を制する」の英訳は?

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次に「機先を制する」の英訳を見ていきましょう。

「forestall」

「機先を制する」にピッタリとくる単語のひとつに「forestall」(fɔˈrstɔl)という単語があります。「forestall」は「機先を制する」の他にも、「出し抜く」「抜けがけする」あるいは「買い占める」という意味でもよく使われるワードです。

「forestall」の語源は、「fore」という「さきに」を表す接頭語とラテン語の「stare」、英語では「stand」にあたる「stall」との合成語で「forestall」は、もともと「さきに立つ」という意味で使われてきました。それでは、「forestall」を使った例文をいくつか見ていきましょう。

1. One of the most important jobs for leaders forestalling ordinary people is to create a new job which makes the future brighter.
(リーダーたちにとって、もっとも重要な仕事のひとつは、未来を輝かせる新しい仕事をつくることだ。)

2. He forestalled oil before the market price rising.
(彼は、市場価格が上昇する前に石油を買い占めていた。)

\次のページで「「機先を制する」を使いこなそう」を解説!/

「機先を制する」を使いこなそう

この記事では、「機先を制する」の意味や使い方について見てきました。「機先を制する」は「先に行動して有利な立場に立つこと」でしたね。「先に行動すること」は、実生活でも大切なことです。例えば、約束に遅れそうだと、「早く着かなければ」と気持ちがあせることもありますし、「遅れる前の電話やメール」、あるいは「到着した際の言い訳」など余分なことを考えなければならなくなります。どうしても遅刻した方が、待たせた相手に対して心理的に不利になってしまうことはよくあることです。出遅れることもあるでしょう。そんな時は、よく反省して次は、「機先を制する」よう心掛けれてみると日常生活は今よりももっと快適なものになるでしょう。

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【慣用句】「機先を制する」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「機先を制する」について解説する。

端的に言えば機先を制するの意味は「先に行動して有利な立場にする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「機先を制する」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「機先を制する」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「機先を制する」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「機先を制する」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「機先を制する」の意味は?

「機先を制する」には、次のような意味があります。

1. 相手より先に行動して、その計画・気勢をくじく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「機先を制する」

2. 先手を打って人より有利な立場に立つ。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「機先を制する」

「機先を制する」(きせんをせいする)の「機先」(きせん)とは、時間的に「物事が起ころうとする、あるいは行動を起こそうとするその直前」という意味になります。「制する」(せいする)には、「行動や気持ちを抑え留める」や「規則を制定する」という意味もありますが、この場合には、「自分のものとする」や「支配する」の意味ですね。

「機先を制する」とは、全体で「物事が起きる際に、相手より先に行動して自分が有利な立場に立つこと」になりますね。

「機先を制する」の語源は?

次に「機先を制する」の語源を確認しておきましょう。
戦いにおいて、相手より先手をとって先制攻撃(せんせいこうげき)をかける方が有利に展開できることは古くから世界各国でよく知られていました。中国の司馬遷(しばせん)たちが紀元前104年から編纂をはじめた歴史書『史記』(しき)の中でも「機先を制する」と同じ考え方をしていた武将の話がでてきます。日本でも慣用句として使われている「先んずれば人を制す」(さきんずればひとをせいす)がこれにあたるのです。

実は、この「先んずれば人を制す」には、続きの言葉があり、「遅れれば人に制される」と続きます。「先んずれば人を制す、遅れれば人に制される」となっているのですね。参考にこの慣用句を中文(漢字)で表現すると“先发制人,后发制于人”になります。日本でも、「先んずれば人を制す」と同様の意味を持つ「機先を制する」は室町時代や戦国時代において、多くの戦国大名たちの戦法として多く使われてきました。

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