この記事では「顔に泥を塗る」について解説する。

端的に言えば「顔に泥を塗る」の意味は「恥をかかせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「顔に泥を塗る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「顔に泥を塗る」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「顔に泥を塗る」の意味・使い方を見ていきましょう。

「顔に泥を塗る」の意味は?

「顔に泥を塗る」には、次のような意味があります。

面目を失わせる。恥をかかせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「顔に泥を塗る」

実際に顔に泥を塗られたとしたら、屈辱的な行為といえます。「面目」とは、世間からの評価のこと。すなわち「顔(かお)に泥(どろ)を塗る」の「泥」は、「恥」や「汚名」だと考えるとよいでしょう。ある行動や発言によって、相手の面目や名誉を傷つけてしまう行為のことを「顔に泥を塗る」と表現します。ドラマなどで「よくも俺の顔に泥を塗ってくれたな」といった台詞を聞いたことがあるのではないでしょうか。

「顔に泥を塗る」は、「泥を塗る」や「顔を汚す」と表現しても問題ありません。ただし、よくある間違いで「土を付ける」や「泥を付ける」があります。あくまで屈辱的な行為をされた場合に使われる慣用句なので、土を付けられた程度では怒りません。間違えないように注意してくださいね。

「顔に泥を塗る」の使い方・例文

「顔に泥を塗る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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1.親の顔に泥を塗るような行為をして、恥ずかしく思わないのか。

2.普段からお世話になっている上司の顔に泥を塗ってしまった。

3.早く問題を解決しなければ、先生や他の生徒の顔に泥を塗ってしまうことになるだろう。

「顔に泥を塗る」は、意味からして日常会話で使われるような慣用句ではありません。たとえば、あなたが仕事でミスをしてしまったとしましょう。その程度では、上司の顔に泥を塗ったとはいえません。それよりも、故意的に失礼な発言をする、もしくは見下したような行為によって、上司に恥をかかせたならば「上司の顔に泥を塗った」といえます。だからこそ、相手の立場を揺るがす行為、もしくは周囲に悪い印象を与える発言のことを「顔に泥を塗る」といえるでしょう。

注意していただきたいのは、あくまで「顔」だという点です。「面目を失わせる」という意味であることから、たとえば「名前に泥を塗る」とはいいません。「名を汚す」という表現なら問題ありませんが、「泥を塗る」のは「顔」であることを間違えないようにしてください。

「顔に泥を塗る」の類義語は?

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では、「顔に泥を塗る」の類義語をみていきましょう。

「面目を潰す」

「面目(めんぼく)」とは「立場」や「名誉」のこと。本人にとって大事なものを「潰す」わけですから、感心できる行為とはいえませんよね。「面目を潰す」は、名誉を傷つけること。ほかにも「面目を失う」や「面を踏む」といった表現でも問題ありません。使い方は「顔に泥を塗る」と同じで「面目を潰された」などと表現するとよいでしょう。

「立場」がピンとこないようであれば、「面目」を「誇り」だと考えれば分かりやすいのではないでしょうか。たとえば、自分が長い年月をかけて頑張ってきた物事があったとしましょう。頑張ってきた「誇り」を、他人から蔑むような発言をされたらどう思うでしょうか。きっと惨めな気持ちになり、状況によっては怒りが込み上げてくるかもしれません。だからこそ、相手の「面目を潰す」行為だけは避けたいところですね。

「煮え湯を飲まされる」

「煮え湯を飲まされる」の意味は、心から信頼していた人から裏切られ、ひどい目にあわされること。本当にグツグツ煮たお湯を飲んでしまったら、体は火傷をしてしまいます。裏切りも同じこと。信じていた人から裏切り行為をされたら、心が深く傷ついてしまうのではないでしょうか。お世話になっている人がいるならば、顔に泥を塗るような発言や行動をしてはいけません。くれぐれも「何度も煮え湯を飲まされたから、もう信用できない」と言われないように、信頼関係は大事にしていきましょう。

\次のページで「「名誉棄損」」を解説!/

「名誉棄損」

「名誉棄損(めいよきそん)」は、ニュースや法律関連でよく耳にするのではないでしょうか。意味は、相手の社会的評価を傷つけること。私達は法律によって発言の自由、自己の表現が認められています。しかし、だからといって、あまりにも評価の域を超えた発言はよくありません。もしも、あなたの発言によって名誉が傷つけられ、社会的評価を下げてしまった場合、言われた相手は人生を壊されてしまう危険性があるのです。

度を超えた「名誉棄損」は、犯罪になってしまうことを忘れてはいけません。何気ない発言によって、相手はどれだけ追い込まれてしまうのか。自分が言われたらどのような気持ちになるのか想像すれば、限度は分かるはずです。相手の立場を考えたうえで、発言するようにしてくださいね。

「顔に泥を塗る」の対義語は?

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「顔に泥を塗る」は「恥をかかせる」という意味でした。反対の意味なると「恥をかかせない」となるはずです。そこで今回は、「面目を保つ」や「名誉を譲る」といった意味合いで「顔に泥を塗る」の対義語をみていきましょう。

「顔を立てる」

「顔を立てる」の意味は、体面が損なわれない、もしくは傷つかないようにすること。「体面」とは、世間に対する体裁を差します。いわゆる「世間体」だと捉えるとよいでしょう。「顔に泥を塗る」は相手に「恥をかかせること」でしたが、「顔を立てる」は相手が恥をかかないように「面目を保つ」行為のことを差します。

たとえば、先輩が自慢気に覚えたばかりの知識を周囲に披露していたとしましょう。その知識は自分も知っている内容でした。しかし、ここで「私は知っています」というよりは、「なるほど」といった雰囲気で聞くほうが先輩も気分が良いものです。そのような状況を「先輩の顔を立てるために、ここは黙っておこう」と表現することができますね。

「花を持たせる」

慣用句の「花を持たせる」の「花」は、植物の花のことではありません。「花を持たせる」の意味は、人に名誉や手柄を譲ること。「花」は「名誉」や「勝利」のこと、「持たせる」は「譲る」と考えれば分かりやすいのではないでしょうか。

たとえば、チームで難しいプロジェクトに挑んでいたとしましょう。全員が協力したからこそ成功したようなもの。それでも、今回はリーダーが一番頑張ったからこそ、「彼に花を持たせてあげよう」と表現することができます。ほかにも、感謝の気持ちを述べる際に、「私が良い評価をいただけたのは、先輩が花を持たせてくれたおかげです」などと使ってもいいですね。

「汚名返上」

「名誉棄損」されたならば、あとは「汚名返上」するだけだといえるでしょう。「汚名返上」の意味は、名誉を回復させること。「汚名」とは、世間からの「悪い評判」もしくは「不名誉」という意味になります。「返上」とは文字通り、返すこと。「汚名返上」は「不名誉な評価をお返しします」という意味を略したものだと捉えるとよいでしょう。

「汚名返上」は、「返上」が使われていることから、少しの失敗で不当な評価をされていたと考えることができます。悪い評判をなくすには、新たな成果を挙げなくてはいけません。もしも、誰かの顔に泥を塗ってしまって申し訳ないと思っているのなら、相手が「汚名返上」できるように協力してみてください。

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「顔に泥を塗る」を使いこなそう

この記事では「顔に泥を塗る」の意味・使い方・類語などを説明しました。幼い頃に泥遊びをした方なら分かるかと思いますが、意外と服についた「泥汚れ」は落ちにくいものですよね。一説によれば、泥が落ちにくい様子から転じて「顔に泥を塗る」と表現するようになったといわれています。それだけ「汚名」を返上するのは大変だということでしょう。普段からお世話になっている相手ほど、顔に泥を塗るような行為は避けたいところですね。

「顔に泥を塗る」は、相手の行動や発言を批判するだけでなく、お詫びの気持ちを表す際にも使うことができます。もしも、相手の名誉や面目を傷つけてしまったと思ったら、「顔に泥を塗る」を使って素直な気持ちを表してみてください。

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国語言葉の意味

【慣用句】「顔に泥を塗る」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「顔に泥を塗る」について解説する。

端的に言えば「顔に泥を塗る」の意味は「恥をかかせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「顔に泥を塗る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「顔に泥を塗る」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「顔に泥を塗る」の意味・使い方を見ていきましょう。

「顔に泥を塗る」の意味は?

「顔に泥を塗る」には、次のような意味があります。

面目を失わせる。恥をかかせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「顔に泥を塗る」

実際に顔に泥を塗られたとしたら、屈辱的な行為といえます。「面目」とは、世間からの評価のこと。すなわち「顔(かお)に泥(どろ)を塗る」の「泥」は、「恥」や「汚名」だと考えるとよいでしょう。ある行動や発言によって、相手の面目や名誉を傷つけてしまう行為のことを「顔に泥を塗る」と表現します。ドラマなどで「よくも俺の顔に泥を塗ってくれたな」といった台詞を聞いたことがあるのではないでしょうか。

「顔に泥を塗る」は、「泥を塗る」や「顔を汚す」と表現しても問題ありません。ただし、よくある間違いで「土を付ける」や「泥を付ける」があります。あくまで屈辱的な行為をされた場合に使われる慣用句なので、土を付けられた程度では怒りません。間違えないように注意してくださいね。

「顔に泥を塗る」の使い方・例文

「顔に泥を塗る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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