1分でわかる「融点」「沸点」の違い!登録者数95万人人気講師がわかりやすく解説
エタノールは沸点が低いので、水よりも先に沸騰し、どんどん蒸気になってでてきます。エタノールがすべて赤ワインの中からなくなると、次第に水が沸騰し、今度は気体の水(水蒸気)が得られるのです。
赤ワインの温度変化のグラフ
赤ワインの温度変化のグラフは、すこし変わった形になります。加熱を始めると温度がなだらかに上がって、70℃後半の部分でやや水平に近くなり、その後また温度が上がって100℃ほどでまた水平になるようなグラフです。
70~80℃くらいの温度の時は、エタノールが蒸発しています。エタノールが蒸発すると、フラスコの中には水が多く残り、さらに加熱すると100℃で水が沸騰するのです。
つまり、フラスコの上部にある温度計(上記の温度をはかっている)を見ておけば、「今何が沸騰して蒸気となっているか」がわかり、試験管にたまっていく液体の正体も予想できることになります。
そのとおり!水だけやエタノールだけのような”純粋な物質”を加熱したときと、赤ワインのような”混合物”を加熱したときでは、グラフの形が違ってくるんです。
今回の実験のように、混合物の液体を沸騰させて出てくる気体を冷やし、再び液体にすることで取り出す作業を蒸留(じょうりゅう)といいます。
image by Study-Z編集部
赤ワインからは、蒸留によってエタノールと水を分けて取り出すことができました。なぜこのようなことができるのかと質問されれば、「水とエタノールに沸点の違いがあるから」と説明できます。同じ温度で沸騰する物質だったら、同時に試験管に出てきてしまうからです。
混合物の温度変化に気を付けよう!
融点や沸点という言葉を覚えるのは、それほど難しくないはずです。しかし、赤ワインのような混合物を加熱したときの温度変化には注意が必要になります。「いくつかの純粋な物質が混ざっているため、融点や沸点を一か所に決めることができない」というのが最大のポイント!グラフの見方や説明の仕方をしっかりと身につけておきましょう。