今回のテーマは「造岩鉱物」です。
造岩鉱物とは岩を造ると書くとおり、岩石を構成している鉱物のことです。
造岩鉱物の構造はケイ素と酸素の結合でできたSiO4四面体というものが基本になっていて、このSiO4四面体が何の金属元素と結びつくかでなんの鉱物になるかが決まるらしいぞ。不思議ですね。

造岩鉱物の種類と特徴について、地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

地球科学専攻で博士前期課程を修了した岩石大好き人間。趣味も岩石・鉱物採集なので集められた岩石が家中に転がっている。

造岩鉱物とは

image by iStockphoto

地球の表面を覆っている部分(地殻)は岩石で構成されています。私達は地殻の上で暮らしているため、一歩外に出れば多くの岩石を見つけることができますよね。普段目にしている岩石をよく見ると、様々な色や形の結晶が集まっている様子を観察できると思います。このように岩石を作っている結晶(鉱物)が造岩鉱物です。

地球上には膨大な樹類の鉱物が存在しますが、岩石を作っている鉱物の種類はわずかしかありません。では造岩鉱物にはどのような特徴があるのでしょうか?

造岩鉱物の特徴

image by iStockphoto

造岩鉱物はケイ素(Si)と酸素(O)が結合したSiO4四面体と呼ばれる構造が基本構造です。このようにケイ素と酸素の結合により成り立っている鉱物をケイ酸塩鉱物というんですよ。ケイ酸塩鉱物は1個のケイ素を4個の酸素が正四面体を作るように取り囲んいるため、化学式ではSiO4と記載します(4は下付き文字)。このSiO4でできたSiO4四面体がいろいろな形を作るように集まって結晶を作っています。このSiO4四面体に何の金属元素が結合するかによって、鉱物の種類が決まるのです。

SiO4四面体は正四面体をしており、どのように組まれるかで様々な結晶の形を作ることができます。例えば石英は六角柱のような形、黒雲母はたくさんのシートが重なったような結晶構造をしているんですよ。石英は水晶とも呼ばれ、その結晶構造を利用してアクセサリーにも利用されていますよね。

造岩鉱物の種類

造岩鉱物には様々な種類がありますが、それはさらに地球上の岩石の9割以上を構成している主要造岩鉱物と、岩石の中に微量しか含まれない副成分鉱物の2つに分けられます。主要造山鉱物は無色鉱物と有色鉱物に分けることができ、その2つは偏光顕微鏡のクロスニコル下だと顕著でわかりやすいです。では主要造岩鉱物を無色鉱物と有色鉱物にわけて説明していきます。

珪酸塩鉱物について

珪酸塩鉱物について

image by Study-Z編集部

先程珪酸塩鉱物はSiとOの正四面体が基本構造になっていると説明しましたね。このSiとOの結合は非常に強いものなので、他の金属が酸化したときとは違い、特殊な結晶の構造になります。珪酸塩鉱物は鉱物の中でも最も種類が多い鉱物なんですよ。「珪酸塩鉱物・種類」と検索すると山のように鉱物名が出てくるため驚きますが、後ほど説明するかんらん石・輝石・角閃石・黒雲母・斜長石・石英・カリ長石の7種類だけは必ず押さえておきましょう。

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無色鉱物とは

石英
Didier Descouens - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

偏光顕微鏡という特殊な顕微鏡で観察した時に、色のついていない鉱物のことを無色鉱物と呼びます。具体的には石英、斜長石、カリ長石などです。これらの鉱物はアルミニウム(Al)やナトリウム(Na)などに富み、鉄(Fe)やマグネシウム(Mg)の量はごくわずかしか含まれていません。無色鉱物はマグマが冷えて固まる最終段階でできるため、アルミニウムやナトリウムなどの軽い元素が多く含まれているのです。

無色鉱物は花こう岩や流紋岩(りゅうもんがん)に多く含まれており、これらの岩石は見た目も白っぽくなっています。花こう岩と流紋岩の違いですが、鉄やマグネシウムに乏しく、アルミニウムやナトリウムに富んだマグマがゆっくり冷え固まってできたのが花こう岩で、急冷して固まったものが流紋岩です。

このような無色鉱物を多く含む岩石を珪長質岩(けいちょうしつがん)と呼ぶんですよ。花こう岩は中国・四国地方、東北地方に広く分布しているので見たことのある人は多いと思います。

有色鉱物とは

磁鉄鉱
Archaeodontosaurus - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

有色鉱物とは、造岩鉱物のなかでも無色鉱物以外のことを言います。具体的にはかんらん石、輝石、角閃石、黒雲母のことです。アルミニウムやナトリウムよりも鉄やマグネシウムを多く含んでおり、マグマが固まり始めたばかりでまだ高温の時に結晶化します。鉄やマグネシウムを含んでいて重い鉱物なので、マグマだまりの底に沈んでいることもよくあるんですよ。玄武岩(げんぶがん)や斑糲岩(はんれいがん)に多く含まれており、これらの岩石は見た目も黒っぽい色をしています。このような岩石のことを苦鉄質岩(くてつしつがん)と呼ぶこともあるんですよ。

マグマ自体が鉄やマグネシウムに富んでいる場合も、有色鉱物が豊富な岩石ができる原因です。このようなマグマがゆっくり冷えて固まると斑糲岩になり、急激に冷え固まると玄武岩になります。

日本は玄武岩や安山岩(あんざんがん)などの苦鉄質岩が多く分布しているので、かんらん石や輝石などの有色鉱物を目にする機会は多いでしょう。黒っぽい岩石を見つけた時は注意して観察してみると面白いですよ。

火成岩の名前の決め方

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地球上の岩石のほとんどを主要造山鉱物が構成しているといいましたが、造岩鉱物にはもう一つとても重要な役割があります。それは、火成岩を同定して分類することです。山や川などに行き、そこである岩石を拾ったとします。その岩石の名前を調べるにはどうしたらいいと思いますか?まずは火成岩か堆積岩かそれ以外かを判断してみましょう。堆積岩であれば粒度を調べることで何の岩石か同定できます。しかし、火成岩の場合は何の鉱物で構成されているかを見ることが必要です。黒っぽい鉱物が多いのか白っぽい鉱物が多いのか観察し、次にその鉱物が何なのかを見てみます。

かんらん石や輝石が多く、石英が見られないのであれば玄武岩や斑糲岩(はんれいがん)の可能性が高いです。逆に石英や長石が多く、かんらん石が見られないなら花崗岩や流紋岩の可能性が高くなります。きちんと名前を同定するには岩石の中に何の鉱物が何%含まれているか顕微鏡でカウントする必要があるんですよ。さらに、化学分析の結果も踏まえるとより確実ですが地学専門の研究者でないと難しいことですね。

身近にある岩石にどんな鉱物が含まれているか観察してみよう

私達の身近にある殆どの岩石にも、今回紹介した造山鉱物が含まれています。造岩鉱物は珪酸塩鉱物という地球上に最も多く存在するタイプの鉱物で、SiO4四面体が何の金属元素と結合するかで鉱物の種類も変化しました。また、SiO4四面体は正四面体のため様々な結晶の形を作ることが可能で、造岩鉱物の一つ一つが個性豊かな特徴を持つことができるのです。

ふと拾った岩石にはどんな造岩鉱物が含まれているのか観察してみましょう。きっとその岩石ができるまでにどんなストーリーがあったのかがわかりますよ。

" /> 「造岩鉱物」の種類と特徴はどんなもの?地球科学専攻卒が5分でわかりやすく解説! – Study-Z
地学岩石・鉱物理科

「造岩鉱物」の種類と特徴はどんなもの?地球科学専攻卒が5分でわかりやすく解説!

今回のテーマは「造岩鉱物」です。
造岩鉱物とは岩を造ると書くとおり、岩石を構成している鉱物のことです。
造岩鉱物の構造はケイ素と酸素の結合でできたSiO4四面体というものが基本になっていて、このSiO4四面体が何の金属元素と結びつくかでなんの鉱物になるかが決まるらしいぞ。不思議ですね。

造岩鉱物の種類と特徴について、地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

地球科学専攻で博士前期課程を修了した岩石大好き人間。趣味も岩石・鉱物採集なので集められた岩石が家中に転がっている。

造岩鉱物とは

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地球の表面を覆っている部分(地殻)は岩石で構成されています。私達は地殻の上で暮らしているため、一歩外に出れば多くの岩石を見つけることができますよね。普段目にしている岩石をよく見ると、様々な色や形の結晶が集まっている様子を観察できると思います。このように岩石を作っている結晶(鉱物)が造岩鉱物です。

地球上には膨大な樹類の鉱物が存在しますが、岩石を作っている鉱物の種類はわずかしかありません。では造岩鉱物にはどのような特徴があるのでしょうか?

造岩鉱物の特徴

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造岩鉱物はケイ素(Si)と酸素(O)が結合したSiO4四面体と呼ばれる構造が基本構造です。このようにケイ素と酸素の結合により成り立っている鉱物をケイ酸塩鉱物というんですよ。ケイ酸塩鉱物は1個のケイ素を4個の酸素が正四面体を作るように取り囲んいるため、化学式ではSiO4と記載します(4は下付き文字)。このSiO4でできたSiO4四面体がいろいろな形を作るように集まって結晶を作っています。このSiO4四面体に何の金属元素が結合するかによって、鉱物の種類が決まるのです。

SiO4四面体は正四面体をしており、どのように組まれるかで様々な結晶の形を作ることができます。例えば石英は六角柱のような形、黒雲母はたくさんのシートが重なったような結晶構造をしているんですよ。石英は水晶とも呼ばれ、その結晶構造を利用してアクセサリーにも利用されていますよね。

造岩鉱物の種類

造岩鉱物には様々な種類がありますが、それはさらに地球上の岩石の9割以上を構成している主要造岩鉱物と、岩石の中に微量しか含まれない副成分鉱物の2つに分けられます。主要造山鉱物は無色鉱物と有色鉱物に分けることができ、その2つは偏光顕微鏡のクロスニコル下だと顕著でわかりやすいです。では主要造岩鉱物を無色鉱物と有色鉱物にわけて説明していきます。

珪酸塩鉱物について

珪酸塩鉱物について

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先程珪酸塩鉱物はSiとOの正四面体が基本構造になっていると説明しましたね。このSiとOの結合は非常に強いものなので、他の金属が酸化したときとは違い、特殊な結晶の構造になります。珪酸塩鉱物は鉱物の中でも最も種類が多い鉱物なんですよ。「珪酸塩鉱物・種類」と検索すると山のように鉱物名が出てくるため驚きますが、後ほど説明するかんらん石・輝石・角閃石・黒雲母・斜長石・石英・カリ長石の7種類だけは必ず押さえておきましょう。

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