この記事では「半畳を入れる」について解説する。

端的に言えば半畳を入れるの意味は「他人の言動を批判したりからかったりすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「半畳を入れる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「半畳を入れる」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは今回の慣用句やことわざとして、「半畳を入れる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「はんじょうをいれる」です。まずは、意味を正確につかんでから、語源や使い方などを詳しくチェックしていきますよ。

「半畳を入れる」の意味は?

「半畳を入れる」には、次のような意味があります。まずは、辞書の意味から正しい意味を確認してから、詳しい意味をつかんでいきましょう。

1.芝居で見物人が役者の芸に不満なとき、敷いている半畳を舞台に投げ入れる。転じて、他人の言動に非難やからかいの言葉をかける。半畳を打つ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「半畳を入れる」

「半畳」とは畳半分のことですが、ここでは芝居小屋などで観客が使用した一人用のござのような敷物のことを表しています。

そして、芝居の見物中に役者に対して不満や反感を持つときに、この半畳を投げ入れるということです。こういったことから、他人の言動に非難や冷評、野次やからかいで茶化すことなどにつながっていますよ。

「半畳を入れる」の語源は?

次に「半畳を入れる」の語源を確認しておきましょう。

「半畳を入れる」に関連する表現が、『宗因七百韻(そういんしちひゃくいん)』に記述が残っています。『宗因七百韻』は、江戸時代前期の俳人・連歌師で談林俳諧の祖と言われる西山宗因による作品です。談林俳諧は、道理の攪乱や意外な発想をもとにした自由で笑いの要素の強いもので、西山宗因を中心に延宝期頃の10年ほどは俳諧の中心となりました。

そこには、「雲雀の声もすたく口上<以仙> 半畳を打ち込む斗春雨<旨如>」と書かれています。「半畳を入れる」は、「半畳を打ち込む」「半畳を打つ」と表現することもありますよ。

\次のページで「「半畳を入れる」の使い方・例文」を解説!/

「半畳を入れる」の使い方・例文

「半畳を入れる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.オンライン国会中継で、エリート議員から品のない半畳を入れる声を聞いて驚いた。
2.出版社の編集仲間の結婚披露宴でスピーチをしたが、半畳を入れられ大汗をかいた。

例文については、いずれも公共の場など人が大勢集まっている場所において、非難やからかいの言葉をかけているようすを表しています。

例文1.では、国会で議員などが集まって意見や答弁、審議などがなされている場面です。指名されていない人が声を上げるのはよくないことですが、的外れの答弁や常識はずれな言葉に対して非難や茶々を入れるような声が上がることがありますね。

例文の2.のほうでは、同僚の結婚披露宴でスピーチをしている場面です。多少の野次のような声によって話す人の緊張がほぐれることもあるかもしれませんが、何事もほどほどにしておいたほうがいいですね。

「半畳を入れる」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

それでは、「半畳を入れる」の類義語についての説明です。「半畳を入れる」の批難やからかいの言葉をかける意味合いがある表現について見ていきましょう。

「揚げ足を取る」

「半畳を入れる」の類義語には、「揚げ足を取る(あげあしをとる)」があります。意味は、相手の言い損ないや言葉尻をとらえて非難したりからかったりすることです。もとは柔道や相撲などで相手があげた足をとらえて倒すということからきています。

相手の失敗や油断、スキなどを見つけて指摘したりすることですが、非難やからかいの意味があるので人前で指摘するイメージです。相手を想って、ミスをあとで人目につかないところでこっそり教えてあげる場合は「揚げ足を取る」とは言いませんね。

\次のページで「「冷や水を浴びせる」」を解説!/

「冷や水を浴びせる」

もう一つの類義語には、「冷や水を浴びせる(ひやみずをあびせる)」があります。意気込んでいる人に元気を失わせる言動をするという意味です。冷たい水をかけるということですから、かけられると驚いてモチベーションが下がることがもとになっています。

「冷や水を浴びせる」はとにかく相手にやる気をなくさせる言動をすることです。「半畳を入れる」のように相手のパフォーマンスに不満があるとは限らず、ただ気に食わない相手というだけだったり、その理由はさまざまあります。

「半畳を入れる」の対義語は?

次に、「半畳を入れる」の対義語についての説明です。非難やからかいの意味合いに対する表現なので、褒める意味合いの表現について見ていきましょう。

「持て囃す」

「半畳を入れる」の対義語には、「持て囃す(もてはやす)」があります。意味は、取り立てて褒めたり、多くの人が話題にすることです。「持ち上げて囃し立てる」というニュアンスで、実際のようす以上に褒めたり騒いだりしていることを表しています。

茶化す意味合いのある「半畳を入れる」とは逆に褒める意味合いとなっていますが、過剰な反応をするという面では共通していますよ。

「人を立てる」

もう一つの対義語には、「人を立てる(ひとをたてる)」があります。人を自分より上位において尊重するという意味です。別の意味として、使者や代理人を派遣する場合や人と人の間に仲介者を立てる場合などにも使われます。

実績や実力などから本来は自分が上に立ってもよい状況にあっても、自分は退いてある人の面目をたてるように計らうというニュアンスです。

「半畳を入れる」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に、「半畳を入れる」の英訳についての説明です。言語に違いはありますが、意味が近い表現について一緒に見ていきましょう。

「interrupt」

「半畳を入れる」の英訳には、「interrupt」があります。この単語の意味は、「さえぎる、中断する、腰を折る」です。もとの意味の「非難する、からかう」とは少し違いがありますが、実際にはござのようなものを投げ入れるのでさえぎる意味合いにつながります。

ほかには、「jeer at …」があり、「冷やかす、嘲笑する、野次を飛ばす」という意味です。「at」の後ろには、人や事柄などの対象をおいて表現します。

\次のページで「「半畳を入れる」を使いこなそう」を解説!/

「半畳を入れる」を使いこなそう

今回の記事では「半畳を入れる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「半畳を入れる」の基本の意味は、他人の言動に対して非難やからかいの言葉をかけることです。単に非難する場合ではなく、茶化す意味合いをもって言葉をかけるときに使われる表現になっています。状況によって使い分けるといいですね。

" /> 【慣用句】「半畳を入れる」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説! – ページ 3 – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「半畳を入れる」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

「冷や水を浴びせる」

もう一つの類義語には、「冷や水を浴びせる(ひやみずをあびせる)」があります。意気込んでいる人に元気を失わせる言動をするという意味です。冷たい水をかけるということですから、かけられると驚いてモチベーションが下がることがもとになっています。

「冷や水を浴びせる」はとにかく相手にやる気をなくさせる言動をすることです。「半畳を入れる」のように相手のパフォーマンスに不満があるとは限らず、ただ気に食わない相手というだけだったり、その理由はさまざまあります。

「半畳を入れる」の対義語は?

次に、「半畳を入れる」の対義語についての説明です。非難やからかいの意味合いに対する表現なので、褒める意味合いの表現について見ていきましょう。

「持て囃す」

「半畳を入れる」の対義語には、「持て囃す(もてはやす)」があります。意味は、取り立てて褒めたり、多くの人が話題にすることです。「持ち上げて囃し立てる」というニュアンスで、実際のようす以上に褒めたり騒いだりしていることを表しています。

茶化す意味合いのある「半畳を入れる」とは逆に褒める意味合いとなっていますが、過剰な反応をするという面では共通していますよ。

「人を立てる」

もう一つの対義語には、「人を立てる(ひとをたてる)」があります。人を自分より上位において尊重するという意味です。別の意味として、使者や代理人を派遣する場合や人と人の間に仲介者を立てる場合などにも使われます。

実績や実力などから本来は自分が上に立ってもよい状況にあっても、自分は退いてある人の面目をたてるように計らうというニュアンスです。

「半畳を入れる」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に、「半畳を入れる」の英訳についての説明です。言語に違いはありますが、意味が近い表現について一緒に見ていきましょう。

「interrupt」

「半畳を入れる」の英訳には、「interrupt」があります。この単語の意味は、「さえぎる、中断する、腰を折る」です。もとの意味の「非難する、からかう」とは少し違いがありますが、実際にはござのようなものを投げ入れるのでさえぎる意味合いにつながります。

ほかには、「jeer at …」があり、「冷やかす、嘲笑する、野次を飛ばす」という意味です。「at」の後ろには、人や事柄などの対象をおいて表現します。

\次のページで「「半畳を入れる」を使いこなそう」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: