端的に言えば細く長くの意味は「長い時間をかけて少しずつ行い継続するさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つEastflowerを呼んです。一緒に「細く長く」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/eastflower
今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「細く長く」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。
「細く長く」の意味は?
まずは、「細く長く」の国語辞典の意味から見ていきましょう。
1,短期間に全力を出し切ってしまわないで、長く続くように少しずつするさま。
出典:三省堂(大辞林 第三版)「細く長く」
「細く長く」はときどき耳にする言葉ですよね。「細く長く」(ほそくながく)と表現することで「細くて長いもの(細長いもの)」という形状を説明できますが、それだけではありません。
よく尋ねられる質問にこんなのがありますよね。もし、あなたが「細く長く生きる」と「太く短く生きる」を選択できるとしたらどちらを選びますか?これは個人、個人の生きる姿勢に関わる問いであり、どちらが正しいとか間違っているという種の問いではありません。
例えば、活躍できる期間は比較的短いことが予想されるものの「プロスポーツ選手」や「アイドル」を目指すことも選択できます。みんなに注目されるかもしれないし、莫大なお金を一度に手に入れられるかもしれません。一方で、「公務員」や「会社員」になる選択もできますね。プロスポーツ選手のように華やかには生きられないかもしれませんが、普通に勤務すれば長く働けるかもしれませんし、安定した生活を得られるかもしれません。職業の選択権はあなた自身にありますし、あなたが望めば激しい人生でも落ち着いた安定して生活も選べますが、寿命の長さは神のみぞ知る問題です。
自分は「太く短く」生きたい。「仮に寿命は長くなくても、現在を思った通りに生きたい。現在が楽しいことがなによりも優先する。」があなたの願いだと仮定します。では、あなたは、家族や近い関係の人にどちらを望みますか?おそらく「細い人生でもよいから長く生きて欲しい。居てくれるだけでいい。」と願うのではないでしょうか?
そうなのです。「細く長く生きる」は近親者の「長寿を願うことば」としても使われているのですね。
「細く長く」の語源は?
もともと、日本にもい関係の人たちの長寿を願う気持ちは古くからありました。しかし、その願いが「かたち」として日本文化として定着した習慣になったもののひとつに大みそかに「年越しそば」を食べるという風習があります。「年越しそば」を食べる習慣は江戸時代にできあがったと言われていますね。
細く長く伸ばして作られるそばを食べることで「細く長く生きられること」を念じ「翌年も健康で生活できること」を祈念するようになったのです。「長く生きるためにはどうすればよいのか?」ひとつには「強くなる」ことが必要ですよね。そばは風雨の激しい荒れた状況の土地でも育ち、太陽を浴びることで元気になっていきます。そばのように「たくましく生きていく」ことで長寿を成し遂げられるのです。また長寿のためには、厄(やく)を断ち切ることも必要だと昔から考えてきました。「そば」は「うどん」などに比べて切れやすい食べ物でもあります。1年の災いを断ち切るためにもみそかにそばが食べるようになったとも言われているのです。また、「長く生きるためには経済的にも潤って」いなければなりません。伝統的にそばは食材としてだけでなく、金職人たちが金箔を塗って仕上げるときにそば粉を使っていました。そばは金運を呼び寄せるものとして考えられてもいたのです。このように縁起ものであるそばを食べることで人々は長寿を維持しさまざまな幸運を呼び込もうとしてきたのですね。
\次のページで「「細く長く」の使い方・例文」を解説!/