
ロケットの例
Tokino – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
ロケットの推進原理は、飛行機の推進原理と同様であり、機体が噴射するガスの反作用力が推力になります。またロケットの場合、離陸時は地球のため空気がありますが、大気圏を抜けた宇宙空間では空気がないため、燃料を燃やす酸化剤が必要です。燃料と酸化剤を推進剤と言います。おそらく燃料と酸化剤はロケットが進むための必要な混合薬(エネルギー源)の意味で名付けられたのでしょう。この推進剤によって推力の大小が決まり、推力を推進剤の消費量で割った値(比推力という)で評価します。比推力が大きいほど、分母の推進剤の消費量は小さくなる(または比推力が小さいと消費量が大きくなる)と評価できるので燃費を表す指標としても使われるのです。
推進力の向上について
ЮК – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
推進力を向上させる、言い換えるとロケットの速度を速くするにはどのようにすればよいでしょうか。1つは推力を上げる、言い換えると噴射速度を上げることが考えられます。例えば比推力の大きい推力剤を使用することや、上図のようなラバール・ノズルを使用することが考えられるのです。ラバールノズルは、燃焼などによって圧力が高まり、音速以下のガスを断面を縮小することにより加速し、断面積が一番小さいところで音速(M=1)になり、断面を拡大することによりガスが膨張し、超音速以上まで加速するノズルになります。主に音速以下のガス速度を超音速以上にしたい時に使われるのです。これを燃焼室の出口に設置することにより噴射速度を上げられます。
2つ目は軽量化です。機体の重量を軽くする材料を使用することや、推進剤を使いきった後は質量が軽くなるため、ロケットの中で推進剤が占める割合を増やすことが考えられます。上記2つの工夫については、ツィオルコフスキ―の公式で説明がつくのです。ツィオルコフスキ―の公式では、最終速度は噴射速度に質量比(始めと推進剤が使いきった後の質量の比)の自然対数を掛けた値と等しくなるという式になります。ロケット方程式とも言われるのですが、現在のロケット設計の現場でも使われているようです。
「推力と推進力の違い」について理解を深めよう
この記事では、推力と推進力について言葉上の意味の違い、飛行機とロケットの例について説明しました。推力は機械を推し出す力、推進力は推力と他の作用力を含めた力によって機械が進む力と説明しました。またロケットでは、推進力の向上させるためには、推力の向上や軽量化について述べました。今回は飛行機とロケットでの説明でしたが、潜水艦、船、車なども飛行機やロケットと類似的に推力と推進力を考えられるのではないかと思います。このような輸送機に関する専門書では、「推力」、「推進力」の用語が登場しますので、分からない時は今回の記事を思い出して頂ければ幸いです。