この記事では「弁が立つ」について解説する。

端的に言えば「弁が立つ」の意味は「話が上手いこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「弁が立つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「弁が立つ」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「弁が立つ」の意味・使い方を見ていきましょう。

「弁が立つ」の意味は?

「弁が立つ」には、次のような意味があります。

話し方がうまい。雄弁である。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「弁が立つ」

「弁(べん)」とは、話したり説明したりすること。「雄弁」とは、「説得力がある」という意味になります。「立つ」には様々な意味がありますが、「弁が立つ」の「立つ」は「達者である」と考えてみてください。話が上手で、相手を魅了させるような巧みな話し方を「弁が立つ」と表現するようになりました。やはり、しゃべりが上手いのは立派な長所。「弁が立つ」人は、信頼を得やすい傾向にあるといえますね。

「弁が立つ」の使い方・例文

「弁が立つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「弁が立つ」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.彼女は弁が立つから、すぐお客様に気に入られるね。

2.彼は元経営者というだけあって、弁が立つ。

3.弁が立つ人間が、リーダー向いているとは限らない。

「弁が立つ」は、話し方が上手なだけでなく、人の心を動かすような話し方に対しても使うことができます。つまり、褒め言葉として使ってもよいでしょう。「彼は弁が立つから、今度のスピーチを任せよう」などと表現することができますね。シンプルに「話し方が上手」と表現しても良いかもしれませんが、「弁が立つ」には「巧みな話術」や「説得力がある」といった意味も含まれています。周囲から「あなたは弁が立つ」と言われているならば、自身の話し方に自信を持ってよいといえるでしょう。

「弁が立つ」の類義語は?違いは?

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では、「弁が立つ」の類義語や違いをみていきましょう。

「口上手」

「話上手」とよく言いますが、「口上手」と表現しても問題ありません。意味は、聞き手を言葉で楽しませる、もしくは納得させることが上手なこと。漫才師や司会者などを想像すると良いのではないでしょうか。そのような相手を「口上手な人」と表現するとよいでしょう。「口上手」以外にも、「口器用(くちぎよう)」や「口巧者(くちごうしゃ)」ということもできます。言いやすい言葉を選んで、使ってみてください。

「口がうまい」

「口がうまい」は、口がおいしいわけではありません。話し方が巧みであることから、「話をごまかす」もしくは「人をだます」ような人に対して使われます。そのため、「弁が立つ」とは違って、あまり良い意味としては使われません。巧妙な話術によって詐欺にあってしまったのなら、相手は「口がうまい」といえますね。

\次のページで「「能弁」」を解説!/

「能弁」

「能弁(のうべん)」とは、話し方が上手で、よくしゃべること。弁舌が巧みな人に対しても「能弁な人」と表現することがあります。「弁舌」とは、ものの言い方のこと。「弁舌をふるう」とよく使われていますが、端的にいえば「話上手」のことだと思ってください。「能弁な人」は、おしゃべりなだけでなく、話し方が上手な人を差します。その場の空気を明るくしてくれるような人に対して「能弁」を使うとよいでしょう

「弁が立つ」の対義語は?

では、次に「弁が立つ」の対義語をみていきましょう。

「口下手」

「口上手」の対義語は「口下手」になります。意味は、ものの言い方が上手くなく、思っていることを上手に言えないこと。その場の空気に合わせて、自分の思いを言葉にするというのは意外と難しいものです。しかし、言葉にしてもらわなければ、相手に誤解されてしまうかもしれません。「口下手で困っている」というように、人物像を表す特徴の一つとして「口下手」を使ってみてください。

「口が重い」

「口が重い」には、2つの意味があります。1つ目は、口数が少ないこと。無口で寡黙な人を「口が重い人」と表現することができます。2つ目は、言いにくいこと。相手に伝えづらい内容で、話すのをためらっている時に「口が重くなる」と表現することができます。

「口が重い」ということが悪いと言っているのではありません。寡黙であるということは、饒舌ではないということ。誰もがおしゃべりな人だと、聞き役がいなくなるので会話のキャッチボールが成立しません。しかし、口が重い人は決して話上手とはいえないものです。自ら積極的に会話せず、口数が少ない人がいたら「口が重い」を使って人柄を表現してみてください。

「訥弁」

「能弁」の対義語は「訥弁(とつべん)」になります。意味は、話し方がなめらかでないこと。たとえば、朗読する2人の人物を想像してみてください。途中でつかえたりせず、スラスラと読める人が「能弁」ならば、「訥弁」は何度も同じ箇所を読み直すような人を差しているといえるでしょう。なめらかでない話し方は、聞いている側も内容がすんなり入ってこないものです。

ただし、感情がこもっていれば「訥弁」でも気持ちは伝わるはず。むしろ、「能弁」であったとしても、熱意がなければ相手に気持ちは伝わりません。話し方が上手くなるには特訓が必要です。「訥弁」だからと遠慮するのではなく、ぜひ積極的に話しかけてみてくださいね。

「弁が立つ」の英訳は?

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では、「弁が立つ」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

\次のページで「「silver tongue」」を解説!/

「silver tongue」

silver tongue」は、直訳すると「銀の舌」という意味。「雄弁な」や「弁が立つ」として使うことができます。では、なぜ「silver tongue」と表現するようになったのでしょうか。語源となるのは、英語のことわざ「雄弁は銀、沈黙は金」からだと言われています。これは英国の思想家カーライルが残した言葉。雄弁も大事だけれど、沈黙を心得ておくことはもっと大事だという意味が込められています。「She has a silver tongue」といえば「彼女は弁が立つ」として伝えることができるでしょう。

「good speaker」

speaker」は「人」を差すだけでなく、「演説家」や「講演者」を差す単語でもあります。「good speaker」は「話上手」という意味で「弁が立つ」として使って問題ありません。「She is a good speaker」といえば「彼女は弁が立つ」と伝えることができるでしょう。

「弁が立つ」を使いこなそう

この記事では「弁が立つ」の意味・使い方・類語などを説明しました。「弁が立つ」は「話し方が上手」という意味であることから、ただの「おしゃべりな人」として使う方もいるようですね。しかし、本来は説得力があり、力強く相手に訴える話し方を差す慣用句といえるのではないでしょうか。なぜなら、ただ口数が多い人を差すならば「口忠実(くちまめ)」や「多弁」といった、さらに適した言葉がほかにあるからです。

ただ話すだけでなく、相手の心に残るスピーチというものは、簡単にできることではありません。相手のこと思い、そして情熱的に訴えるからこそ、聞き手側も拍手を送りたくなるものです。もしも、心に響く演説を聞いたのなら、ぜひ「弁が立つ」を使って相手を評価してみてください。

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【慣用句】「弁が立つ」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「弁が立つ」について解説する。

端的に言えば「弁が立つ」の意味は「話が上手いこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「弁が立つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「弁が立つ」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「弁が立つ」の意味・使い方を見ていきましょう。

「弁が立つ」の意味は?

「弁が立つ」には、次のような意味があります。

話し方がうまい。雄弁である。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「弁が立つ」

「弁(べん)」とは、話したり説明したりすること。「雄弁」とは、「説得力がある」という意味になります。「立つ」には様々な意味がありますが、「弁が立つ」の「立つ」は「達者である」と考えてみてください。話が上手で、相手を魅了させるような巧みな話し方を「弁が立つ」と表現するようになりました。やはり、しゃべりが上手いのは立派な長所。「弁が立つ」人は、信頼を得やすい傾向にあるといえますね。

「弁が立つ」の使い方・例文

「弁が立つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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