この記事では「切削加工」について解説する。

端的に言えば切削加工の意味は「素材を削り取って加工すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元塾講師で、解説のわかりやすさに定評のあるgekcoを呼んです。一緒に「切削加工」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/gekco

本業では出版物の校正も手がけ、一般教養に強い。豊富な知識と分かりやすい解説で好評を博している。

「切削加工」の意味や語源・使い方まとめ

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切削加工は「せっさくかこう」と読みます。それでは、さっそく「切削加工」の意味や由来、使い方についてみていきましょう。

「切削加工」の意味は?

切削加工には、次のような意味があります。

材料を、バイト・フライス・ドリルなどの工具を用いて切ったり削ったりしながら所定の寸法形状に加工すること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「切削加工」

工作や工業の専門用語に近い言葉です。切削とは「工作対象物からある部分を削り取る」という意味があり、基本的には削り取りながら形を整えていく加工方法となります。加工する大元となる材料を切り出す切断などとは、このあたりのニュアンスで区別しましょう。主に金属加工に対して使われる表現ですが、木材やプラスチックでも切削加工と呼ぶ場合があります。また、切削加工は旋盤などの機械を使って行う工作に対して使われる言葉です。

「切削加工」の使い方・例文

それでは、切削加工を用いた例文をみていきましょう。

\次のページで「「切削加工」の類義語は?違いは?」を解説!/

・日本は技術大国とも呼ばれ、切削加工においても世界トップレベルの技術を誇っている。

・祖父は切削加工一筋に生きてきた職人だ。

・優れた切削加工を行うには、切削工具の特性をよく知ることが大切だ。

この例文では、工業技術としての切削加工について取り上げています。金属加工業において、切削加工は主要な手法の1つで、日本は世界でも精度の高い加工技術が優れていることで知られているのです。その理由の1つが、町工場などで職人が培ってきた高レベルな技術といえます。また、精密加工の世界では機械の持つ特性や誤差も影響するため、使用する機械の「クセ」を知ることが重要といわれていますね。

・彫刻刀で切削加工を施した。

・溶けた金属を鋳型に流し込み、切削加工を行った。

・溶接機械を使って切削加工を行った。

これらの例文はすべて誤りです。

1つめの例文では、手作業で切削加工を行ったことになっています。切削加工は専用の機械を使って行う加工作業なので、手作業での加工は切削加工とは呼びません

2つめの例文では、鋳型に溶けた金属を流し込んで成型することを切削加工と呼んでいますが、これは鋳造と呼ばれる加工法です。ちなみに、鋳造した製品にやすりをかけて表面をなめらかにするのは研磨作業と呼び、こちらも切削加工ではありません。

3つめの例文では、切削加工に溶接機械を用いたとなっています。溶接機械は金属を溶かして接着するのに使う機械なので、溶接機械で切削加工を行うことはありません

「切削加工」の類義語は?違いは?

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切削加工は、主に金属加工分野で使われる専門用語です。同じように、金属などの加工業で使用される言葉には専門性の高い言葉がいくつもあります。

\次のページで「「塑性加工」」を解説!/

「塑性加工」

塑性加工は「そせいかこう」と読みます。塑性とは、簡単にいえば物体に力を加えると変形する性質のことです。一般的に金属やプラスチックは塑性が高く、ガラスや石材は塑性があまりありません。この塑性を用いて、材料に大きな力を加え、変形させることで製品を得るのが塑性加工です。プレス加工、圧延加工などの種類があります。

「電解加工」

電解加工は「でんかいかこう」と読みます。原理は少し難しいのですが、電圧をかけて金属を加工する加工手法です。電解とは電気分解の略で、電解加工では材料に電圧をかけることで科学的に分解し、変形させます。切削機械では成型が難しい部品や、切削することが難しい素材を精密かつ短時間に成型することができるため、航空機や自動車のエンジンなどの部品でこの手法が用いられてきました。加工のスピードと精度の高さが特徴です。

「放電加工」

アーク放電と呼ばれる、材料と工具の間に電気を流して放電する仕組みを使って加工を行う技術です。機械による切削が難しい、非常に硬い金属であっても加工できるメリットがあります。ただし、加工面があまりなめらかにならず、クラックと呼ばれる小さな亀裂を生じるケースもあり、切削加工ほど一般的な手法ではありません。主にプレス加工を行うための金型を作成する際に用いられる加工技術です。

「切削加工」「研削加工」「研磨加工」の違いは?

類義語のところでも述べましたが、加工分野には似たような言葉がたくさんあります。特に区別しにくいのが、「切削加工」と「研削加工」と「研磨加工」です。ここでは、この3つの違いについてみていきましょう。

切削作業についてはすでに解説しているので、研削加工と研磨加工について説明します。

「研削加工」

実は、研削加工と切削加工にはほとんど違いがありません。広い意味では、研削加工は切削加工の一種といえます。

両者の主な違いは、切削加工にはフライスなど削り取るための専門器具が使われるのに対して、研削加工では砥石が使われることです。切削加工器具を用いた加工は切削加工で、砥石や砥粒を用いた加工は研削加工、ということもできます。

ニュアンスとしては、切削加工のほうが研削加工よりも規模が大きく、いわゆる粗削りだといえるでしょう。対して研削加工は砥石や砥粒を使うだけあって、時間はかかりますが仕上がりは切削加工よりも美しくなります

「研磨加工」

切削加工も研削加工も、削り取ってその部分を除去することで形を変えることに重点を置いた加工法ですが、研磨加工では加工の目的が異なります

研磨加工はあくまでも、表面を磨いてなめらかに仕上げるために行う加工です。そのため、変形を目的としてはいません。基本的には、材料に一定の力で砥石や砥粒を押し当てて加工します。使うものによって、「遊離砥粒方式」と「固定砥粒方式」に分かれており、特に固定砥粒方式は研削加工と酷似しているため違いが分かりにくいかもしれません。

「切削加工」と「研削加工」と「研磨加工」の使い分け

加工製品に携わっていないと、この違いは分かりにくいでしょうし、あまり厳密に区別する必要があるわけでもありません。

大まかな意味の違いとして、材料から目的の形を得るために変形するのが切削加工です。切削加工によって得られた製品の細かな部分をさらに削り、微調整するのが研削加工となります。最後に全体の表面をなめらかに仕上げ、品質を高めるのが研磨加工です。あくまでも大まかな区別ですが、このようにイメージしておくといいでしょう。

「切削加工」を使いこなそう

今回の記事では、切削加工の意味や使い方について説明しました。切削加工は工業分野で用いられる専門用語で、文学的に用いられることはほとんどありません。専用の工作機械を用いて材料を削り、臨んだ形に変形させるのが切削加工です。

また、同じような場面で使われる言葉についてもいくつか紹介しました。特に、研削加工と研磨加工はよく似た言葉で、実際に意味も似ているため、区別の難しい言葉です。使用する機械や加工を行う目的に応じて、言葉を使い分けるといいでしょう。

切削加工をはじめ、これらの言葉は国語的な使い方で見かける機会は多いとは言えません。しかし、金属をはじめとする材料加工は日本の主な産業のひとつであり、社会問題を扱った文章や資料、またビジネスの場でのやりとり、就職活動など、思わぬところで目にする可能性のある言葉でもあります。この機会に大まかなニュアンスだけでも把握し、突然これらの言葉に出会っても慌てないようにしておけば安心ですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「切削加工」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「切削加工」について解説する。

端的に言えば切削加工の意味は「素材を削り取って加工すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元塾講師で、解説のわかりやすさに定評のあるgekcoを呼んです。一緒に「切削加工」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/gekco

本業では出版物の校正も手がけ、一般教養に強い。豊富な知識と分かりやすい解説で好評を博している。

「切削加工」の意味や語源・使い方まとめ

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切削加工は「せっさくかこう」と読みます。それでは、さっそく「切削加工」の意味や由来、使い方についてみていきましょう。

「切削加工」の意味は?

切削加工には、次のような意味があります。

材料を、バイト・フライス・ドリルなどの工具を用いて切ったり削ったりしながら所定の寸法形状に加工すること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「切削加工」

工作や工業の専門用語に近い言葉です。切削とは「工作対象物からある部分を削り取る」という意味があり、基本的には削り取りながら形を整えていく加工方法となります。加工する大元となる材料を切り出す切断などとは、このあたりのニュアンスで区別しましょう。主に金属加工に対して使われる表現ですが、木材やプラスチックでも切削加工と呼ぶ場合があります。また、切削加工は旋盤などの機械を使って行う工作に対して使われる言葉です。

「切削加工」の使い方・例文

それでは、切削加工を用いた例文をみていきましょう。

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