この記事では「苦髪楽爪」について解説する。

端的に言えば苦髪楽爪の意味は「苦しいときには髪がよく伸び、楽をしているときには爪がよく伸びる」ことですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元塾講師で、解説のわかりやすさに定評のあるgekcoを呼んです。一緒に「苦髪楽爪」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/gekco

本業では出版物の校正も手がけ、一般教養に強い。豊富な知識と分かりやすい解説で好評を博している。

「苦髪楽爪」の意味や語源・使い方まとめ

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苦髪楽爪は「くがみらくづめ」と読みます。それでは、苦髪楽爪の意味や由来、使い方についてみていきましょう。

「苦髪楽爪」の意味は?

苦髪楽爪には、次のような意味があります。

苦労しているときは髪の伸びが早く、楽をしているときは爪の伸びが早いということ。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「苦髪楽爪」

四字熟語ではありますが、限りなくことわざに近い言葉といえます。「」しいときには「」が早く伸び、「」をしているときは「」が伸びるのが早い、という言葉の漢字をとってできた熟語です。

「苦髪楽爪」の由来は?

苦髪楽爪の由来については、実はよくわかっていません。普通、大抵の四字熟語やことわざ、慣用句には、由来となったエピソードや故事などがあるものなのですが、苦髪楽爪についてはそういったものが見当たらないのです。苦しくてつらいときは髪を切る余裕がなく、楽なときはついつい爪を切るのも忘れてしまう、ということなのかもしれませんが、あまり釈然としませんね。

\次のページで「「苦髪楽爪」の使い方・例文」を解説!/

「苦髪楽爪」の使い方・例文

苦髪楽爪は、苦しくてつらいときは髪が伸び、楽なときは爪が伸びる、という意味の、ことわざや慣用句に近い四字熟語です。それでは、苦髪楽爪を使った例文をみていきましょう。

・浪人中の彼は髪の毛もぼさぼさで、まさに苦髪楽爪だった。

苦髪楽爪とはいうが、社会人として最低限の身だしなみは整えておきたいものだ。

・彼の場合は苦髪楽爪というより、ただの無頓着だ。

特に何かを例えた表現ではないので、そのままの意味で使いましょう。

1つめの例文では、大学浪人をしている受験生を想定しています。受験勉強で忙しく髪の毛が伸び放題になっているのを、苦髪楽爪と表現していますね。

2つめの例文では、忙しさを言い訳にせず、いつでもきちんとした身だしなみを心がけよう、という意味合いになっています。

その心掛けができていない人を取り上げたのが、3つめの例文ですね。

これら3つの例文に共通して言えますが、苦髪楽爪を使う場合、必ずしも文章中で苦しいときと楽なときの両方が語られている必要はありません。どちらか一方の状況だけでも使うことができる表現です。その意味では、使う場面が幅広い熟語といえるでしょう。

「苦髪楽爪」の類義語は?違いは?

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苦髪楽爪とほとんど同じような意味を持つ熟語はいくつかあります。ここで確認してみましょう。

「苦爪楽髪」

苦爪楽髪は「くづめらくがみ」と読みます。

苦しくつらいときは爪がよく伸び、楽をしているときは髪がよく伸びる、という意味です。苦髪楽爪とまったく同じようなことを表現していますが、伸びるものが入れ替わっています。そのため、類義語であるにも関わらず見ようによっては対義語ともいえる珍しいパターンです。

使い方も苦髪楽爪と同じで、この記事の「使い方・例文」で挙げた例文の苦髪楽爪をこちらの言葉に入れ替えてもまったく問題ありません。

\次のページで「「楽爪苦髪」」を解説!/

「楽爪苦髪」

楽爪苦髪は「らくづめくがみ」と読みます。

見ればわかる通り、苦髪楽爪の「苦髪」と「楽爪」の前後を入れ替えた言葉です。当然ながら、意味はまったく同じ熟語となります。

苦髪楽爪には根拠はある?

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苦しいとき、つらいときは髪がよく伸びて、楽なときは爪がよく伸びる。

そういわれて、みなさんは納得できますか?なんとなく、もっともらしいことを言っているような気もしますが、実際にその経験があるかと聞かれると、あるともないとも言えないのではないでしょうか。

それでは、苦髪楽爪にはそもそも科学的な根拠があるのか、みていきましょう。

「苦髪」はほんと?

まず、苦しいときに髪がよく伸びる、というのは本当でしょうか。

結論からいえば、この言葉には特に根拠はありません。ストレスを感じると髪の伸びが早くなる、という説はありますが、立証はされておらず、因果関係もわかっていないようです。強いストレスによって円形にハゲができる円形脱毛症は有名ですが、髪が伸びることには根拠がありません。

髪の毛は、毛穴の奥の毛根部分にある毛母細胞が毛乳頭から栄養補給を受け、その栄養を使って増殖を繰り返すことで、徐々に伸びていきます。つまり、毛母細胞の活動が活発な状態になれば髪の毛は早く伸びることになりますが、ストレスを与えると毛母細胞の活動が活発になるという報告はされていません。

経験的に、苦しい状況ほど時間が長く感じるので、結果的に髪の毛が早く伸びているように感じるのではないか、と考えられます。

ちなみに、「日本人形の髪の毛が勝手に伸びる」という怪談は、人形内部で長めに結ばれている髪の毛がほどけてだんだん出てきてしまうため、というのが真相です。

「楽爪」はほんと?

それでは、楽をしているときに爪が伸びる、というのはどうでしょうか。

残念ながら、こちらも根拠はありません。楽をしているということはストレスが少ない状態だと考えられますが、ストレスが少ないと爪が伸びるという研究結果は発表されていないのです。

そもそも「爪」というものは、基本的には皮膚と同じもので、厳密にいえば、皮膚が角質化して硬くなったものを指します。自分の指先をよく見てみてほしいのですが、爪の根元に白っぽい部分がありますね。この部分は爪半月といいます。爪半月よりもさらに内側、指の爪に接している皮膚の中に、爪床という部分と爪母という部分があるのです。爪床が栄養補給し、爪母によって角質化した皮膚、つまり爪が作られます。そうして作られた爪が前進することで、爪が伸びるのです。結果的に、爪は先端が伸びるのではなく根元から伸びていくことになります。切った爪にちょっとしたマークをつけて経過を観察すると、爪切りをした断面が覆われることなく前進して伸びる様子が観察できるでしょう。もし興味があれば、生活に支障を及ぼさない範囲で実験してみてくださいね。いずれにしても、楽をしていようがしていまいが、爪は変わらず伸び続けるのが正常、ということになります。

ではなぜ、「楽爪」という言葉ができたのでしょうか。

一説によれば、ここでいう「楽をしている」とは、「仕事をしなくてもよい状況」を指していると考えられています。そして、この仕事はいわゆる手仕事を指しているのです。手作業で何かを作る作業や何かを洗う作業などをしていると、指先が常に何かに触れているため、爪が摩耗することになります。つまり、爪が伸びないのです。仕事が減って楽になり、手作業がなくなると、爪が摩耗せず伸びやすい状況になります。結果的に、楽をしているときは爪がよく伸びる、と言われるようになったのではないか、と考えられているのです。ただし、苦髪楽爪という言葉の由来ははっきりせず、いつ頃成立した言葉なのかもわかりません。そのため、「楽をしている」=「手作業がない」という図式が成り立つかどうかも、確証がないのです

「苦髪楽爪」を使いこなそう

今回の記事では、苦髪楽爪について、意味や由来、使い方を説明しました。苦髪楽爪は限りなくことわざや慣用句に近い言葉で、特に何かを例えた比喩表現になっているわけではありません。そのため、文章中で使用する際は文字通りの意味で使うといいでしょう。そう珍しい言葉ではありませんが、どちらかといえば古い印象のある言葉です。自分の文章で使えば独特の雰囲気が出せるでしょう。

一方、苦髪楽爪には根拠があるのか、ということについても触れました。「苦しいときは髪が伸びる」ということも「楽をしているときは爪が伸びる」ということも、科学的な根拠はありません。このことは、苦爪楽髪が類義語に挙げられることからも察することができますね。これまでにいろいろな人がそう思ってきた、という経験則として受け止めるのが、一番無難といえるでしょう。

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【四字熟語】「苦髪楽爪」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「苦髪楽爪」について解説する。

端的に言えば苦髪楽爪の意味は「苦しいときには髪がよく伸び、楽をしているときには爪がよく伸びる」ことですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元塾講師で、解説のわかりやすさに定評のあるgekcoを呼んです。一緒に「苦髪楽爪」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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「苦髪楽爪」の意味や語源・使い方まとめ

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苦髪楽爪は「くがみらくづめ」と読みます。それでは、苦髪楽爪の意味や由来、使い方についてみていきましょう。

「苦髪楽爪」の意味は?

苦髪楽爪には、次のような意味があります。

苦労しているときは髪の伸びが早く、楽をしているときは爪の伸びが早いということ。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「苦髪楽爪」

四字熟語ではありますが、限りなくことわざに近い言葉といえます。「」しいときには「」が早く伸び、「」をしているときは「」が伸びるのが早い、という言葉の漢字をとってできた熟語です。

「苦髪楽爪」の由来は?

苦髪楽爪の由来については、実はよくわかっていません。普通、大抵の四字熟語やことわざ、慣用句には、由来となったエピソードや故事などがあるものなのですが、苦髪楽爪についてはそういったものが見当たらないのです。苦しくてつらいときは髪を切る余裕がなく、楽なときはついつい爪を切るのも忘れてしまう、ということなのかもしれませんが、あまり釈然としませんね。

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