この記事では「犬に論語」について解説する。
端的に言えば犬に論語の意味は「道理を説いて聞かせても無駄なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「犬に論語」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ヤマトススム
10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。
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それでは早速「犬に論語」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「いぬにろんご」です。まずは、正しい意味をつかんでから、語源などの詳しい情報をチェックしていきますよ。
「犬に論語」には、次のような意味があります。最初に、辞書で正確な意味を確認してから、より詳しい意味について一緒に見ていきましょう。
1.どのように説いて聞かせても無駄なことのたとえ。
出典:大辞林 第三版(三省堂)「犬に論語」
犬は、掛け声に反応したり指示通りに動くということはできますが、理解したり論じたり考えたりということはできません。そのため、頭を使うことができない人を犬にたとえて、本人の能力を超えていることを求めても無駄であるということを表しています。
次に「犬に論語」の語源を確認しておきましょう。
「犬に論語」は、犬に『論語』を説いてもどうにもならないということから来ています。『論語』は儒教の経書を代表するものであり、儒学者の孔子の言行を弟子たちがまとめたもので、孔子と弟子たちの問答が中心になっていますよ。
まずは、孔子が論じていることを理解できる能力があるのかどうかということです。さらに、『論語』には、自らと向き合い徳を高めたり、知識や教養を身につけること、他人を幸せにするにはどうすればよいのかということも書かれています。
言葉として理解できるかどうかということのほか、目先の自分のことしか考えられない者にはわかりようのない話であるということもあるかもしれませんね。
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「犬に論語」の使い方を例文を使って詳しく見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.若いあなたには犬に論語と思っていたが、深く研究し、しっかりした考え方や意見をお持ちであることに驚いた。
2.行政機関がそこに住む人々の実態や事実、気持ちなどを理解できないようならば、これも犬に論語と言えるだろう。
例文1.では、若くて未熟だと思っていた者が実力をつけていたことに対して、犬に論語ではなかったと言っています。例文の2.のほうは、安定した職業である公務員がさまざまな人々のギャップについて書かれた文です。相手を理解しようとしなければ、会話が噛み合わない結果となってしまいますね。
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それでは、「犬に論語」の類義語についての説明です。「犬に論語」の類義語にあたることわざや慣用句は数え切れないほどたくさんあるので、そのうちの一部を一緒に見ていきましょう。
「犬に論語」の類義語には、「馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)」があります。意味は、いくら意見を言ったり忠告をしても効き目がないことです。馬に念仏を聞かせてもありがたみがわからないということから、いくら聞かせても価値がわからないということにつながります。
とくに、忠告などのよい情報を伝えようとしても効果がないような場合に、よく使われる表現です。ほかに、動物に関する類義語は「牛に経文(うしにきょうもん)」「豚に真珠(ぶたにしんじゅ)」などがあります。
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もう一つの類義語には、「暖簾に腕押し(のれんにうでおし)」があります。手応えや張り合いがないという意味です。暖簾はゆるやかな風でも動くぐらいなので、腕で押してもまったく手応えが感じられないということから、張り合いがないという意味を表しています。
手応えがないということはやっても無駄であるということでもあるので、無駄であるという「犬に論語」とは類義語と言えますね。この種の類義語には「糠に釘(ぬかにくぎ)」もあります。
次に、「犬に論語」の対義語についての説明です。「犬に論語」は無駄であるということですから、その反対の意味を表す表現について一緒に見ていきましょう。
「犬に論語」の対義語には、「打てば響く(うてばひびく)」があります。すぐに反応することや早く効果が現れるという意味です。打てばすぐに音が鳴り響くような太鼓や鐘などのイメージがもとになっています。
何かをしたり言ったりしたところ、無駄になるどころかすぐに反応や効果があらわれるということなので、「犬に論語」の対義語と言えますね。
もう一つの対義語には、「一を聞いて十を知る(いちをきいてじゅうをしる)」があります。意味は、物ごとの一部を聞いただけで全てを理解できるということです。理解が速いことや賢明で察しがよいということを表しています。
頭の回転が速いということもありますが、十分な知識や経験があってこそ話が結びついたり展開していくので、総合的な知識や教養を持ち合わせてこそ「一を聞いて十を知る」ことができるのですね。
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最後に、「犬に論語」の英訳についての説明です。日本語の漢字や文字そのものよりも大切ではありますが、意味合いが近いということに注目して英語訳を見ていきましょう。
「犬に論語」の英訳には、「wasting one's breath」があります。直訳すると「言葉を無駄にすること」です。「breath」は「息」を表しますが、言葉を発するときは息が漏れることから、何らかをしゃべっているということになります。
その他の意味が近い表現は、「words are wasted(何を言っても無駄である)」です。対象となる人がいれば、「Words are wasted on her」と後ろに「on + 人」を付け加えて使うことができます。
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今回の記事では「犬に論語」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「犬に論語」の基本の意味は、説いて聞かせても無駄であるということです。説明しても相手が理解してくれないというケースは、よくあることかもしれませんね。そんなときは、相手の知識や経験、理解力が十分でないか、自分の説明が不十分だったり独りよがりになっているかどちらかですね。