「南柯の夢」
もう一つの類義語には、「南柯の夢(なんかのゆめ)」があります。はかない夢や栄華のむなしいことをたとえた表現です。中国の唐の時代の小説『南柯記(なんかき)』に由来しますよ。
その小説では、淳于焚(じゅんうふん)という人が古い槐の木の下で眠っていると、大槐安国(だいかいあんこく)へ行き王に高官として重用されて永く栄華をきわめるという夢を見ます。しかし、目が覚めると、大槐安国とは蟻の巣のことだったということです。
「南柯の夢」と同じ意味で、「槐安の夢(かいあんのゆめ)」「槐夢(かいむ)」ということもありますよ。
「夢の跡」の対義語は?
次は、「夢の跡」の対義語についての説明です。むなしさやはかないことを表す「夢の跡」に対して、永遠に続くという意味合いの対義語について見ていきましょう。
「不朽」
「夢の跡」の対義語には、「不朽(ふきゅう)」があります。意味は、朽ちることなく、価値を失わずに永く後世に残ることです。
「不滅(ふめつ)」も同じような意味ですが、やや対象が抽象的な場合に使われることが多くなっています。また、「万世不朽(ばんせいふきゅう)」として永遠に滅びないという意味合いの四字熟語もありますよ。
「万古不易」
もう一つの対義語には、「万古不易(ばんこふえき)」があります。いつまでも永遠に変わらないことという意味です。「万古」は大昔や遠い昔、永遠や永久ということ、「不易」は変わらないことを表しています。大昔から少しも変わっていないという意味合いから、これからもずっと永久に変わらないという意味につながっていますよ。
よく似た表現は多く、その他に「千古不易(せんこふえき)」「千古不変(せんこふへん)」「万世不易(ばんせいふえき)」などがあります。
「夢の跡」の英訳は?
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最後に、「夢の跡」の英訳についての説明です。日本語と英語では言語は違いますが、ポイントとなる英単語を使用した意味が近い表現について一緒に見ていきましょう。
「disappearing without trace」
「夢の跡」の英訳には、「disappearing without trace」があります。直訳すると「跡形もなく消えること」です。なにかがあったはずのものが消えてなくなっているという意味になっています。
もとの「夏草や兵どもが夢の跡」については、新渡戸稲造により「The summer grass, ‘Tis all that’s left, Of ancient warriors’ dream.」と英訳されていますよ。
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