今回は堆積岩について解説していきます。

地球表面の浅いところは大抵堆積岩に覆われてる。堆積岩を調査することにより、堆積岩ができた環境を推定することができる。地球史を調べるのには欠かせない方法です。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

堆積岩の形成

image by iStockphoto

地球は岩石型惑星に分類されるように、ほぼ岩石でできた惑星です。とくに地球表層の地殻と呼ばれる部分は岩石でできています。地殻の岩石は成因によって大きく三つに分類され、それは火成岩・堆積岩・変成岩です。地球の深部でできる火成岩と変成岩を内成岩地表でできる堆積岩を外成岩と呼ぶこともあります。今回はこの中の堆積岩について紹介しましょう。

堆積岩の形成:その1

地球表層部の岩石圏は、大気圏および水圏と接しており、岩石圏の表面は風・雨・河川・氷河などにより常に浸食されています風化や浸食によってできた岩屑や鉱物片などの砕屑物(さいせいぶつ)や火山噴出物などが大気や水などによって運ばれ、重力のもとで海や地表などに堆積したものを堆積物といい、それがら固結して岩石になったえものが堆積岩です。

堆積岩の形成:その2

堆積岩は、このように既存の岩石の砕屑物に由来するものが基本ですが、科学的沈殿物や生物遺骸などでできるものもあります。そのため、堆積岩はそれらができた時代の地球表面のいろいろな情報を含んでおり堆積岩の研究は、含まれる化石だなどにより地球の歴史を組み立てるとともに、堆積岩の化学的性質・堆積構造・含有化石などを調べることによって、堆積岩が形成された時代の地球環境の解明にもつながるのです。

堆積岩の形成:その3

火成岩や変成岩は一般に地下深部の高温・高圧の条件下で形成されるため、私たちは一部を除いてその形成過程を直接観察することはでききません。しかし、堆積岩は地表での様々な過程が関わっているので、場合によってはその過程を現行過程として直接観察できることもあるのです。堆積岩の形成過程は、広義の堆積作用と続成作用に分けられます広義の堆積作用の下位区分は風化作用・浸食作用・運搬作用・狭義の堆積作用です。

\次のページで「堆積岩の種類」を解説!/

堆積岩の種類

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堆積岩は調査しやすく詳しく分析されていることもあり、多くの種類に分けられています。堆積岩の種類についていくつか紹介してみましょう。

堆積岩の種類:その1

Conglomerate-bolle2.jpg
Halvard : from Norway. - 投稿者自身による作品, CC 表示 2.5, リンクによる

堆積岩はその成因の違いにより、それは砕屑岩・生物岩・化学岩・火山砕屑岩の四つに区分されます。砕屑岩は地表に露出するいろいろな岩石が風化・浸食作用により破砕されてできた砕屑粒子からできており砕屑粒子の大きさにより礫岩(れき岩)・砂岩・泥岩などに区分されるのです。それぞれは粒度によってさらに細分されます。しかし、構成粒子がすべて同じ大きさであるわけではなく、たとえば、礫岩は粗粒な礫の間を細粒な砂や泥が埋めているのが普通です。上記の画像は、礫岩の画像になります。

堆積岩の種類:その2

ChertUSGOV.jpg
パブリック・ドメイン, リンク

生物岩は生物遺骸(遺がい)、すなわち化石が集まったもので、一般には炭酸カルシウムや二酸化ケイ素からなる生物の殻などの硬組織からなります。しかし、すべてが化石からできているわけではなく、堆積する場所の条件によって砂や泥などの砕屑物が交じっていることもあるのです。二酸化ケイ素の殻を持つ放散虫や珪藻からなるチャートや珪藻土炭酸カルシウム主体のサンゴ類・有孔虫類などからなる石灰岩が代表例になります。石炭は植物に由来する炭質物からなる堆積岩です。上記の画像は、チャートの画像になります。

堆積岩の種類:その3

Selpologne.jpg
Didier Descouens - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

化学岩には、海水や湖水の蒸発残渣である岩塩・石膏・硬石膏・硼砂などや、海水に溶けていた物質が化学的に沈殿したものであるチャートや深海底のマンガン団塊などがあります。火山砕屑岩は構成物の粒径により、凝灰岩・火山礫凝灰岩・凝灰角礫岩・火山角礫岩などに分類されるのです。上記の画像は、岩塩の画像になります。

いろいろな堆積環境とその岩石

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堆積岩は、浸食・運搬・堆積などの堆積作用と続成作用の結果形成されます。したがって、堆積岩の性質や堆積構造には、堆積岩形成当時の環境が反映されているのです。いくつかの特徴的な例を以下に紹介します。

その1:山脈上昇を直接的に示す「モラッセ」

OldRedSandstone2.jpg
Wilson44691 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

最初はモラッセです。高くなった山脈が浸食・削剥されてできた粗粒な砕屑物が山麓に堆積したもので、山脈上昇を直接的に示す堆積物になります。礫岩層などに含まれている礫の種類・大きさ・形状などで礫を供給した後背地の山脈の上昇過程を推定できるのです。次は、赤色砂岩になります。内陸の乾燥気候において形成される、酸化鉄により赤色を呈する砂岩です。英国スコットランドを中心に分布するデボン紀の旧赤色砂岩は、古生中期のカレドニア造山運動の産物として有名なものになります。上記の画像は、旧赤色砂岩の断面図です。

\次のページで「その2:海底扇状地などを作る「ダービダイト」」を解説!/

その2:海底扇状地などを作る「ダービダイト」

Turbidite 2.JPG
CC 表示-継承 3.0, リンク

次はダービダイトになります。大陸棚の縁に厚く堆積した陸源堆積物が自重あるいは地震などで崩壊し、大陸斜面を流れ下る海底地すべりとなって深海底へ運ばれ、海底扇状地などを作る堆積物です。下部の粗粒砂岩から上部の泥岩にいたる級化成層がよく発達する一連の特徴的な堆積構造を持ちます。海底地すべりは一般に繰り返し発生するので、厚い地層となることが多いようです。北海道太平洋沿岸では、津波堆積物の調査により、過去7000年の間に巨大津波が400~500年間隔で起こることがわかっています。上記の画像は、ダービタイト層の画像です。

その3:古い津波の様子がわかる「津波堆積物」

次は津波堆積物です。巨大な津波は内陸低地を数km以上遡上し、押し波・引き波による独特の堆積構造や海底・海岸の礫や海生生物の遺骸を内陸に運び込んで残します。地震は一般に繰り返し起こるので、このような津波堆積物を調べることにより古文書などに記録のない古い津波の様子がわかるのです。

その4:氷河堆積物が固結した「氷礫岩」

最後は氷礫岩になります。氷河の浸食・運搬作用によって形成された、大小の角礫・亜角礫と細粒な粘土質堆積物が不規則に混在する氷河堆積物が固結したものです。水や風による堆積物とは違い、淘汰が悪く成層していないのが特徴になります。地質時代における氷河・氷床の分布や古環境を推定するのに役立つのです。

いずれは岩石になる

いずれは岩石になる

image by Study-Z編集部

この記事で紹介しましたように、砂や泥はもとより生物の遺骸や海水が蒸発した後の残留物など、いろいろなものが岩石になります。そのため、岩石を調べれば多くのことが分かるのです。地学に興味がない人にとってはただの石に過ぎないものでも、しっかり調べれば地球の歴史の情報を含んでいます。ただの石ころと侮ってはいけません。

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地学岩石・鉱物理科

3分で簡単「堆積岩」地球の歴史を含んだ岩石を理系ライターがわかりやすく解説

今回は堆積岩について解説していきます。

地球表面の浅いところは大抵堆積岩に覆われてる。堆積岩を調査することにより、堆積岩ができた環境を推定することができる。地球史を調べるのには欠かせない方法です。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

堆積岩の形成

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地球は岩石型惑星に分類されるように、ほぼ岩石でできた惑星です。とくに地球表層の地殻と呼ばれる部分は岩石でできています。地殻の岩石は成因によって大きく三つに分類され、それは火成岩・堆積岩・変成岩です。地球の深部でできる火成岩と変成岩を内成岩地表でできる堆積岩を外成岩と呼ぶこともあります。今回はこの中の堆積岩について紹介しましょう。

堆積岩の形成:その1

地球表層部の岩石圏は、大気圏および水圏と接しており、岩石圏の表面は風・雨・河川・氷河などにより常に浸食されています風化や浸食によってできた岩屑や鉱物片などの砕屑物(さいせいぶつ)や火山噴出物などが大気や水などによって運ばれ、重力のもとで海や地表などに堆積したものを堆積物といい、それがら固結して岩石になったえものが堆積岩です。

堆積岩の形成:その2

堆積岩は、このように既存の岩石の砕屑物に由来するものが基本ですが、科学的沈殿物や生物遺骸などでできるものもあります。そのため、堆積岩はそれらができた時代の地球表面のいろいろな情報を含んでおり堆積岩の研究は、含まれる化石だなどにより地球の歴史を組み立てるとともに、堆積岩の化学的性質・堆積構造・含有化石などを調べることによって、堆積岩が形成された時代の地球環境の解明にもつながるのです。

堆積岩の形成:その3

火成岩や変成岩は一般に地下深部の高温・高圧の条件下で形成されるため、私たちは一部を除いてその形成過程を直接観察することはでききません。しかし、堆積岩は地表での様々な過程が関わっているので、場合によってはその過程を現行過程として直接観察できることもあるのです。堆積岩の形成過程は、広義の堆積作用と続成作用に分けられます広義の堆積作用の下位区分は風化作用・浸食作用・運搬作用・狭義の堆積作用です。

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