今回のテーマ「細胞小器官」について見ていこう。人間の体は37兆個の細胞からできていると言われているが、さらにその細胞1個1個の中には微細な細胞小器官が数多く存在している。
今回は、高校生物で学ぶ細胞小器官を紹介しつつ、それらの持つ役割について、東大生物学科卒で生物に詳しいライターAEON2と一緒に解説していきます。

ライター/AEON2

東京大学理学部生物学科出身で、在学中は塾講師として高校受験生物の指導をすること多数。また高校時代には、国際生物学オリンピックの国内選考で銅メダルを受賞した経験あり。趣味はボディビルディング。

細胞小器官とは?

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生物の体は、細胞単体もしくは、その細胞が無数に結合することによりできています。さらにその細胞の中には細胞小器官と呼ばれる構造が複数あり、これらが機能することで生命が維持されるというわけです。それでは、細胞小器官にどのようなものがあるかを見ていきましょう。

1.細胞壁:細胞の周りを取り囲み細胞を丈夫にする

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まずは細胞壁について紹介します。

細胞壁は植物菌類細菌が持つ細胞小器官で、その主な役割は、細胞の周りを取り囲むことで細胞を丈夫にすることです。植物の細胞壁はセルロースと呼ばれる物質がその大部分を占めていますが、このセルロースが構造的に丈夫であるため、細胞壁も強固な作りとなっています。細胞全体をガードする役割を持っていますが、その分、細胞どうしの柔軟な連結は失ってしまうようです。

大きく育った樹木などは、この細胞壁がリグニンという物質でさらに強固に変化させられています。

2.細胞膜:全ての生物が有している細胞小器官

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続いては細胞膜です。

細胞膜は、全ての生物が有している細胞小器官で、その機能は細胞の内部と外部を隔てることにあります。細胞膜がなければ、細胞の中身が外へ漏れ出してしまい、細胞の形態や機能を維持することができなくなってしまいますね。

通常、細胞膜はリン脂質二重層という膜構造の所々にタンパク質が埋まったような形をしています。細胞それぞれは細胞膜で仕切られることで独立していますが、細胞膜に埋まったタンパク質を介して物質を交換することで、細胞どうしの間でシグナルを伝達することができるというわけです。

\次のページで「3.核:細胞のほぼ中心に位置する」を解説!/

3.核:細胞のほぼ中心に位置する

は、細胞のほぼ中心に位置し、細胞小器官の中でも一番重要な役目を持っていると言えます。

核の中には、生物の設計図となる遺伝子DNAという物質からなる)が染色体として保存されており、必要に応じてその情報が引き出される作業が行われているのです。遺伝子情報メッセンジャーRNAという形式で核の外へ送られ、次の項で解説するリボソームによって翻訳されます。

4.リボソーム:RNAをもとにタンパク質を作る

リボソームは核の項で触れたように、メッセンジャーRNAをもとにタンパク質を作るという作業を行っています。生物の体は、複数のタンパク質が協調することでその生命が保たれているため、リボソームは非常に重要な役目を持っていると言えるでしょう。

リボソームは大小2つのユニットからできており、これらのユニットが核から送られてきたメッセンジャーRNAを挟み込むようにしながらタンパク質の合成を進めます。この時、メッセンジャーRNAはリボソームRNAという物質によって読み取られるのですが、この読み取る働きのことを翻訳というわけです。

リボソームはタンパク質の初期段階の合成を行いますが、これではまだタンパク質は完成しておらず、後続の小胞体ゴルジ体にそれは引き継がれていきます。

\次のページで「5.小胞体:タンパク質を完成させる」を解説!/

5.小胞体:タンパク質を完成させる

小胞体の働きは、リボソームで作られた未完成のタンパク質を、折り畳んだり糖鎖の修飾を行ったりすることで、完成形にすることです。ゴルジ体も同じような機能を持つため実際は協調して働きます。小胞体にはリボソームが表面に多数付着したものとそうでないものがあり、前者を粗面小胞体、後者を滑面小胞体と呼びますよ。

6.ゴルジ体:糖タンパク質やリポタンパク質の合成を行う

ゴルジ体ゴルジ装置)は、扁平な袋状構造が複数重なったような構造をしています。ゴルジ体は粗面小胞体で作られたタンパク質を受け取り、そこへ糖鎖や脂質の修飾をすることで、糖タンパク質リポタンパク質の合成を行うのが機能です。完成した糖タンパク質やリポタンパク質は、続いて細胞内外の必要な場所へと輸送・分泌されていきます。

リボソームで作られたタンパク質は、小胞体やゴルジ体で管理されることで様々な修飾を受け、完成したタンパク質になります。

7.ミトコンドリア:ATPを合成する

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次はミトコンドリアについて解説します。

ミトコンドリアは、細胞の生命活動に不可欠なエネルギー源であるATPを合成する細胞小器官です。生物の体の中で行われるほぼ全ての化学反応にはこのATPが必要であるため、ミトコンドリアによって必要な量のATPが合成されることは非常に重要となります。このような性質を持つため、ミトコンドリアはエネルギー消費の活発な肝臓や筋肉に多く存在するというわけです。

\次のページで「8.葉緑体:光エネルギーを生体エネルギーに変換する」を解説!/

8.葉緑体:光エネルギーを生体エネルギーに変換する

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葉緑体は植物細胞にのみ存在する細胞小器官で、光エネルギー生体エネルギーに変換する働きを持ちます。具体的に説明すると、光のエネルギーを吸収することで、それを利用して空気中の二酸化炭素から有機物を作るという作業を行っているというわけです。葉緑体は中に含まれる葉緑素により緑色に見えます。植物が緑色に見えるのはこのためなのですね。

9.液胞:細胞内の不要物・老廃物の貯蔵と分解処理

液胞は植物細胞で特に発達する細胞小器官で、大きな袋のような形状をしています。様々な液胞の役割の中でも、今回は特に重要な機能に関して解説しますので、今回解説しなかった機能については、興味のある方は自分で検索してみましょう。

液胞の役割の1つは、細胞内の不要物老廃物貯蔵分解処理です。液胞内に運ばれてきた不要物や老廃物は液胞内で、どのような処理を受けるか決定されます。

液胞のもう1つの働きは不要物以外の細胞に必要なものの貯蔵です。炭水化物タンパク質などの一般的に知られるものに加え、動物が食べると毒になる成分を蓄積している液胞もあります。

10.リソソーム:異物を加水分解する

10.リソソーム:異物を加水分解する

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最後にリソソームを紹介します。リソソームは、細胞内で不要になった物質や細胞内に侵入した異物を、内部に含む酵素によって加水分解することがその機能です。

多くの細胞小器官の協調で生命は成り立っている

今回は細胞小器官について解説しました。それぞれの細胞小器官は独自の機能を持っているため、どれか1つが欠けても生命を維持することは非常に困難になります。動物と植物で有する細胞小器官に違いがあることも面白いポイントだったのではないでしょうか。

イラスト使用元:いらすとや

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理科生物細胞・生殖・遺伝

簡単にわかる「細胞小器官」一覧!特徴や働きも東大生物学科卒がわかりやすく解説

今回のテーマ「細胞小器官」について見ていこう。人間の体は37兆個の細胞からできていると言われているが、さらにその細胞1個1個の中には微細な細胞小器官が数多く存在している。
今回は、高校生物で学ぶ細胞小器官を紹介しつつ、それらの持つ役割について、東大生物学科卒で生物に詳しいライターAEON2と一緒に解説していきます。

ライター/AEON2

東京大学理学部生物学科出身で、在学中は塾講師として高校受験生物の指導をすること多数。また高校時代には、国際生物学オリンピックの国内選考で銅メダルを受賞した経験あり。趣味はボディビルディング。

細胞小器官とは?

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生物の体は、細胞単体もしくは、その細胞が無数に結合することによりできています。さらにその細胞の中には細胞小器官と呼ばれる構造が複数あり、これらが機能することで生命が維持されるというわけです。それでは、細胞小器官にどのようなものがあるかを見ていきましょう。

1.細胞壁:細胞の周りを取り囲み細胞を丈夫にする

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まずは細胞壁について紹介します。

細胞壁は植物菌類細菌が持つ細胞小器官で、その主な役割は、細胞の周りを取り囲むことで細胞を丈夫にすることです。植物の細胞壁はセルロースと呼ばれる物質がその大部分を占めていますが、このセルロースが構造的に丈夫であるため、細胞壁も強固な作りとなっています。細胞全体をガードする役割を持っていますが、その分、細胞どうしの柔軟な連結は失ってしまうようです。

大きく育った樹木などは、この細胞壁がリグニンという物質でさらに強固に変化させられています。

2.細胞膜:全ての生物が有している細胞小器官

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続いては細胞膜です。

細胞膜は、全ての生物が有している細胞小器官で、その機能は細胞の内部と外部を隔てることにあります。細胞膜がなければ、細胞の中身が外へ漏れ出してしまい、細胞の形態や機能を維持することができなくなってしまいますね。

通常、細胞膜はリン脂質二重層という膜構造の所々にタンパク質が埋まったような形をしています。細胞それぞれは細胞膜で仕切られることで独立していますが、細胞膜に埋まったタンパク質を介して物質を交換することで、細胞どうしの間でシグナルを伝達することができるというわけです。

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