理科生物学

5分で分かる「走行性」光走行性とは?化学走行性とは?東大生物学科卒が分かりやすく解説

水流走行性 → 水流に逆らって泳ぐことで、自分の生息エリアから大きく離れてしまうことを防ぐ。

光走行性とは?

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続いて光走行性について解説します。光走行性とは読んで字のごとく、光に対して近づいたり離れたりする性質のことです。

光に向かって行く正の走行性を持つ生物としては、ミドリムシが挙げられます。ミドリムシは自身が生存するためのエネルギーを光合成で作っているため、光に近づくことでその光合成の効率を高めようとする機能を持っているわけです。

反対に、光から離れて行くタイプの負の走行性を持つ生物も存在し、一例としてはミミズカタツムリが挙げられます。ミミズやカタツムリは乾燥に弱い生物なのですが、光の当たらない暗い場所というのは、比較的ジメジメした湿度の高い場所であることが多いため、光を避ける方向へ移動するというわけです。嫌われ者のゴキブリも、この光に対する負の走行性を持っています。

光走行性 → 光に向かって進むことで光合成を効率よくできるようにしたり、反対に光から離れることで自分の好む湿度の高いエリアに移動したりする。

化学走行性とは?

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化学物質の刺激を受けて生じる走行性のことを化学走行性走化性)と言います。化学走行性の例としては、生物が発するフェロモン(匂い分子)に対する正の走行性や、白血球が炎症部位に向かって行く正の走行性が挙げられるでしょう。

カイコガの雄は、雌が発する性フェロモンという化学分子に誘引されるという方法で、交尾を行います。これは性フェロモンという化学物質に対する正の走行性です。

別の例としてはアリが分泌する道しるべフェロモンというものもあります。たくさんのアリが行列を作っている光景を子どもの頃に見たことがある人も多いと思いますが、あれは、餌を見つけたアリが、巣まで道しるべフェロモンを分泌しながら帰ってくることで、以降のアリもその情報をもとに同じルートを辿れるようになるというわけです。

その他の例として白血球とリンパ球も紹介します。白血球とリンパ球は生物ではなく細胞の1種ですが、この細胞単体でも走行性を持っており、炎症部位のサイトカインという物質に誘引されることで、炎症部位に辿り着くというわけです。また、白血球やリンパ球は、細菌の侵入も同様な仕組みで感知しています。

化学走行性 → 様々なタイプの化学物質(生物ごとに固有の場合もある)を感知することで、生殖や生存に役立てている。

重力走行性とは?

最後に重力走行性について解説します。重力走行性も、その名称通り、重力を感知して垂直方向で上下に動くタイプの走行性です。

正の重力走行性を持つ生物としてはミミズが挙げられます。地表にいるままだとミミズは乾燥して死んでしまうため、重力を感知することで、重力の方向すなわち鉛直下向きに進もうとするわけです。このようなミミズの動きは正の重力走行性と言えるでしょう。

負の重力走行性を持つ生物には、濁った水中で生息するプランクトンが挙げられ、ミミズとは逆に、鉛直上向き、すなわち重力と反対の方向に動こうとします。プランクトンのような簡単な構造の生物でも正しく重力を感知できることは、体内に重力を感知する器官を持っていることの証明になりますね。

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