
普段の生活では全く馴染みのない言葉ですが、どんな意味を持つ用語なのでしょうか。
今回は、高校生物で学ぶ走行性の概念に触れた後、具体的にどのような走行性があるのか、4種類の例を挙げながら、東大生物学科卒で生物に詳しいライターAEON2と一緒に解説していきます。
ライター/AEON2
東京大学理学部生物学科出身で、在学中は塾講師として高校受験生物の指導をすること多数。また高校時代には、国際生物学オリンピックの国内選考で銅メダルを受賞した経験あり。趣味はボディビルディング。
走行性とは?

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まず初めに、走行性(走性とも言います)とはどのような意味の用語なのかについて解説します。
走行性とはその文字のごとく、ある刺激が与えられた場合に、それに対して走って行く(向かって行く)、もしくは離れて行く性質(生物ごとの機構)のことです。後の項目で詳細に解説しますが、蛾やハエは光の刺激に対して走って行く、正の走行性という性質を持ちます。生物は、この走行性を有効活用することで、外敵から生命を守ったり、生殖を有利に進めたりするため、生存戦略において非常に重要な性質であると言えるでしょう。
それでは、続く項目で、どのような走行性があるかについて見ていきましょう。
正の方向性とは?負の方向性とは?

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走行性には、刺激に向かって行くものと離れて行くものがあることは簡単に紹介しました。その中でも、刺激に向かって行くタイプの走行性のことを正の走行性と言い、逆に、刺激から遠ざかる向きへ離れて行くタイプの走行性のことを負の方向性と言います。
様々な生物(動物)は、この走行性を利用することで、身を守ったり、生存確率を高めたりしているのです。
走行性の元となる刺激の種類は様々ですが、今回の記事では高校生物でも学習する基本的なものについて、記事の後半で解説していきます。
生物ごとの走行性にはどのような種類がある?
走行性とは何かについて理解したところで、続いては、生物ごとにどのような走行性を持っているかについて見ていきましょう。
水位流走行性、光走行性、化学走行性、重力走行性の4つの走行性について解説します。
水流走行性とは?

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最初に紹介するのは水流走行性です。これは、狭い範囲で生息する魚類に主に見られる走行性で、今回はその例としてメダカを紹介します。
メダカを水槽で飼育していると、通常は自由自在に水槽の中を泳ぎ回っているのですが、ここに水の流れを生じさせると、方向転換して水流に逆らって泳ぐようになるのです。これは水流という刺激に対して向かって移動する方向に泳いでいるため、正の走行性であると言えます。
メダカのような狭い範囲で生息する魚類は、強い流れに逆らって泳ぐことで、自分の生息するエリアから大きく流されてしまうことを防いでいるというわけです。
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