
イオン性:化学結合における電荷の偏りのこと。アニオン(ー)、カチオン(+)などで表現する。電気的なものを思い浮かべると理解しやすい。
2-1.せっけん、シャンプー、食器用洗剤、洗濯用洗剤

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石けんやシャンプー、各種洗剤などには、アニオン界面活性剤が使用されています。アニオン界面活性剤とは、水中で親水基がマイナスイオンに電離する界面活性剤のことです。洗浄力が強く、泡立ちがいいのが特徴ですよ。
石けんなどに使用される界面活性剤の作用は、まさに前述したミセルによる洗浄作用です。水中に溶け込んだ界面活性剤は、疎水基を汚れに吸着させます。そのまま汚れを内部に取り込み、ミセルを形成。その後、ミセル ごと洗い流されることで繊維の汚れをスッキリ落としてくれるんですね。
2-2.柔軟剤、トリートメント

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柔軟剤、トリートメントなどには、カチオン界面活性剤が使用されています。先ほどのアニオン界面活性剤とは逆で、親水基がプラスイオンに電離するのが特徴です。
水中に存在する繊維は、マイナスの電気を帯びています。そのため、カチオン界面活性剤は、親水基のプラスイオン性で繊維に吸着。そうすると繊維の表面には、疎水基が並んだ状態になりますね。疎水基は油と相性が良い性質なので、自身も滑らかな性質を持っています。繊維の表面が疎水基でコーティングされた状態になるので、柔軟剤を使用すると非常に滑らかな手触りになるのです。
カチオン界面活性剤は一部、殺菌剤などに使用されているものがあります。そのため、人体への刺激が強い場合があるのですが、市販の柔軟剤やトリートメントには使用されていませんので安心ください。
2-3.ベビーソープ、化粧品、食品用乳化剤

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ベビーソープや化粧品などに使用される両性イオン界面活性剤は、ほぼ刺激のない化合物として知られています。プラスイオンとマイナスイオンの両方を帯びる部分を持つのが、前述の2つの界面活性剤と違うところですね。
界面活性剤のプラスイオン部分とマイナスイオン部分が中和し合うため、人体への刺激が非常に弱くなります。pHにより洗浄剤になったり、柔軟剤になったりするのも特徴的ですね。
非常に安全な物質なので、化粧品や食品用乳化剤として使用されることがありますよ。マヨネーズは水と油と卵からできていますが、卵に含まれるレシチンは非常に有名な両性イオン界面活性剤です。
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2-4.化粧品、食品用乳化剤、洗浄助剤

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最後は、ノニオン界面活性剤。これは電荷を帯びない界面活性剤で、ほぼ無刺激性の化合物です。そのため、多くの化粧品に使用されています。
化粧品の界面活性剤の作用はなんでしょうか?それは乳化だけでなく、含有成分の肌への浸透性を高めるため。ノニオン界面活性剤は、人体への刺激がほぼ無い成分です。しかし、それでも濃度が高いと、化粧品に添加されている防腐剤などの浸透が高まり、肌に刺激を感じる場合があるとのこと。ですが、各化粧品メーカーでは日々、界面活性剤の添加量を下げる努力を行っています。なので、そんなに心配しなくても大丈夫。ただし、お肌の弱い方は少しだけ気にしてみるといいかもしれませんね。

界面活性剤には大きく分けて、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤の4つの種類がある。それぞれの性質を理解し、正しく使い分けることで効果を増大させているな。ミセルについての化学は奥深い。今回の学習で興味を持ったなら分散や可溶化というキーワードで検索すると理解が深まるぞ。
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