今日は「花崗岩(かこうがん)」という石ころについて解説していきます。おっと、石ころというと地質学者に怒られるのでここでは岩石という言葉を使うことにしよう。花崗岩は岩石の中でもメジャーな方ですが知らない人もたくさんいるのではないでしょうか。

今回はそんな花崗岩について、地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

地球科学専攻で博士前期課程を修了した岩石大好き人間。趣味も岩石・鉱物採集なので集められた岩石が家中に転がっている。

岩石とは?

image by iStockphoto

花崗岩(かこうがん)について解説する前に、まずは岩石とは何かについてお話します。岩石とは鉱物の集合体のことです。ちなみに鉱物とは自然界に産する結晶のことを言います。鉱物にはいろいろな種類がありますが、それらがたくさん集まったものが岩石です。外に出ればどこにでもある岩石ですが、これらの岩石はどのように出来たかによって火成岩・堆積岩・変成岩の3つに分けられます

以下にそれぞれの特徴をまとめてみました。

火成岩:マグマが冷えて固まることでできた岩石。冷え固まる速さによって火山岩と深成岩に分けられる。

堆積岩:泥や砂などが水の中に溜まっていき、長い年月をかけて固まってできた岩石。何で構成されているかで泥岩・砂岩・礫岩などに分けられる。

変成岩:火成岩や堆積岩が、高熱や強い圧力によって組織が変化させられることにより出来た岩石。熱の高さや圧力の強さによってさらに分類される。

火成岩とは

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花崗岩の場合、マグマが冷え固まることでできるため火成岩に分類されます。では火成岩について少し説明しておきましょう。火成岩は大きく「火山岩」と「深成岩」の2つに分けられます。

火山岩は地表近くにマグマが噴出することで、マグマが急速に冷え固まってできる岩石のことです。固まる速度が早いため、鉱物の結晶は大きく成長することが出来ません。そのため、顕微鏡で岩石を観察すると小さな結晶の間を石基と呼ばれるさらに小さな結晶の集まりが埋めている様子が観察できます。このような組織を斑状組織というので覚えておきましょう。

一方、深成岩はマグマが地下深くでゆっくりと冷え固まることでできる岩石のことをいいます。そのため、鉱物の結晶は大きく成長することが出来るのです。顕微鏡下では同じような大きさの鉱物が集合して見えるため等粒状組織と呼ばれています。

花崗岩の特徴

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一般的に花崗岩は主に石英という透明な鉱物、斜長石という白っぽい鉱物、カリ長石というピンク色の鉱物、黒雲母という黒っぽい鉱物で成り立っています。日本だけでなく、世界中のいたるところで産出され、工業や石材など様々な用途に利用されている身近な岩石です。

見た目の特徴

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先ほど花崗岩を構成している鉱物として、石英・斜長石・カリ長石・黒雲母の4つ挙げました。しかし、これらは花崗岩の中に同じ量だけ含まれているわけではなく、圧倒的に石英・斜長石・カリ長石が多いです。なので、花崗岩は全体的に白~ピンク色をしています。黒雲母の量は全体の10%未満で、ところどころ黒い粒があるという程度です。

花崗岩は深成岩なので、これらの鉱物は大きく成長し、手のひらの上で転がすとキラキラとしています。その美しさから墓石や床などに使われることも多いです。

産地によっても花崗岩の見た目に違いがあります。兵庫県で産出する御影石という花崗岩は、石英・斜長石・カリ長石・黒雲母に加えて白雲母・角閃石から構成されており、それらが不均質に混ざり合っているため細かくて独特な模様をしているそうです。

化学的・物理的な特徴

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花崗岩はマグマがゆっくり冷え固まってできているため、とても硬いです。ハンマーで叩くと火花が散ることもあり、私が初めて花崗岩を叩いた時はびっくりしました。

しかし、雨水や気温など気候の変化を長い間受け続けると、花崗岩はボロボロに崩れていきます。この現象を専門用語で「風化」といい、花崗岩に限らずすべての岩石に起こる現象です。花崗岩などの鉱物結晶が大きい岩石は、気温の変化による鉱物の膨張・収縮の比率が大きいため、どんなに硬くてもいずれはボロボロになっていきます。

また、花崗岩は元々熱いマグマが地下深くで冷え固まったものなので、地表だと温度と圧力が低すぎて花崗岩の状態が安定しないのも風化が進行しやすい理由の一つです。風化が進みやすいと言っても何万年単位というレベルなので、近くの花崗岩がすぐぼろぼろになることはないでしょう。安心してください。

\次のページで「花崗岩が風化するとどうなる?」を解説!/

花崗岩が風化するとどうなる?

花崗岩が風化するとどうなる?

image by Study-Z編集部

花崗岩が風化すると、マサ土と呼ばれる白くて砂のような土へ変わります。このとき、斜長石や黒雲母は粘土質になり、石英はそのままの形で残るため、手で触るとサラサラの土にツブツブがある感触です。

2009年に広島県と山口県で大規模な豪雨災害が起きたことを覚えているでしょうか。このときの土砂崩れでは死者を数十人だすような最悪の災害になりました。

このとき、大規模な土砂災害をもたらした原因の一つがマサ土だと言われています。実はマサ土は水を含むと非常に崩れやすく、一気に遠くまで流れ出る性質があるため土砂災害を起こしやすいのです。広島県や山口県には広い範囲で花崗岩が分布しているため、山の表面はマサ土で覆われていることが多く、豪雨によって災害が起きやすい地域と言われています。もし山肌に家があるなら、そこが花崗岩かどうか確認してみたほうがいいかもしれません。

花崗岩が利用されているもの

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最もよく利用されているものとしては墓石があります。花崗岩は見た目もよく、硬くて丈夫なため、多くの人が訪れるかつ長い間その場所になければならない墓石にはもってこいです。

他には国会議事堂、デパートなどの大きな建造物にも利用されています。花崗岩は硬すぎでも脆すぎでもなく、好きな大きさに加工しやすいため石材としては優秀です。今後もいろいろな建築物に利用されていくことでしょう。

花崗岩と放射線

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放射線と聞くとものすごく怖いイメージを持つでしょう。しかし、花崗岩からは微量ですが放射線が出ています。それは、なぜでしょうか。

実は花崗岩の中には微量のウランが含まれているからです。ウランからは放射線が出ているため、花崗岩に放射線測定装置を近づけると反応します。しかし、人体に影響が出るほどの量ではないので安心してください。

花崗岩から放射線が出ていることに関連しているのか不明ですが、2020年に新型コロナウイルスが大流行した際に、花崗岩というキーワードが検索サイトで急上昇したことがあります。しかし花崗岩がウイルスを無効化することは出来ないので、デマに流されないように注意しましょう。

\次のページで「身の回りの岩石をよく観察してみよう!」を解説!/

身の回りの岩石をよく観察してみよう!

花崗岩は火成岩の中でも深成岩に分類され、固くて丈夫な岩石だということがわかりましたね。

花崗岩は意識してみると身近にたくさん見つけることが出来ます。普段利用しているデパートや博物館の床などをよく観察してみましょう。もしかするとそこに花崗岩が使われているかもしれません。花崗岩は身近なところで私達を支えている一方で、自然界では大きな災害をもたらしたりと意外と恐ろしい一面もありました。日本に住んでいる以上、花崗岩とは切っても切れない関係なので、うまく共存できる方法を見つけていけるといいですね。

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地学岩石・鉱物理科

3分で簡単にわかる「花こう岩」!でき方・特徴・用途も地球科学系大学院卒がわかりやすく解説

今日は「花崗岩(かこうがん)」という石ころについて解説していきます。おっと、石ころというと地質学者に怒られるのでここでは岩石という言葉を使うことにしよう。花崗岩は岩石の中でもメジャーな方ですが知らない人もたくさんいるのではないでしょうか。

今回はそんな花崗岩について、地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

地球科学専攻で博士前期課程を修了した岩石大好き人間。趣味も岩石・鉱物採集なので集められた岩石が家中に転がっている。

岩石とは?

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花崗岩(かこうがん)について解説する前に、まずは岩石とは何かについてお話します。岩石とは鉱物の集合体のことです。ちなみに鉱物とは自然界に産する結晶のことを言います。鉱物にはいろいろな種類がありますが、それらがたくさん集まったものが岩石です。外に出ればどこにでもある岩石ですが、これらの岩石はどのように出来たかによって火成岩・堆積岩・変成岩の3つに分けられます

以下にそれぞれの特徴をまとめてみました。

火成岩:マグマが冷えて固まることでできた岩石。冷え固まる速さによって火山岩と深成岩に分けられる。

堆積岩:泥や砂などが水の中に溜まっていき、長い年月をかけて固まってできた岩石。何で構成されているかで泥岩・砂岩・礫岩などに分けられる。

変成岩:火成岩や堆積岩が、高熱や強い圧力によって組織が変化させられることにより出来た岩石。熱の高さや圧力の強さによってさらに分類される。

火成岩とは

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花崗岩の場合、マグマが冷え固まることでできるため火成岩に分類されます。では火成岩について少し説明しておきましょう。火成岩は大きく「火山岩」と「深成岩」の2つに分けられます。

火山岩は地表近くにマグマが噴出することで、マグマが急速に冷え固まってできる岩石のことです。固まる速度が早いため、鉱物の結晶は大きく成長することが出来ません。そのため、顕微鏡で岩石を観察すると小さな結晶の間を石基と呼ばれるさらに小さな結晶の集まりが埋めている様子が観察できます。このような組織を斑状組織というので覚えておきましょう。

一方、深成岩はマグマが地下深くでゆっくりと冷え固まることでできる岩石のことをいいます。そのため、鉱物の結晶は大きく成長することが出来るのです。顕微鏡下では同じような大きさの鉱物が集合して見えるため等粒状組織と呼ばれています。

花崗岩の特徴

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一般的に花崗岩は主に石英という透明な鉱物、斜長石という白っぽい鉱物、カリ長石というピンク色の鉱物、黒雲母という黒っぽい鉱物で成り立っています。日本だけでなく、世界中のいたるところで産出され、工業や石材など様々な用途に利用されている身近な岩石です。

見た目の特徴

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先ほど花崗岩を構成している鉱物として、石英・斜長石・カリ長石・黒雲母の4つ挙げました。しかし、これらは花崗岩の中に同じ量だけ含まれているわけではなく、圧倒的に石英・斜長石・カリ長石が多いです。なので、花崗岩は全体的に白~ピンク色をしています。黒雲母の量は全体の10%未満で、ところどころ黒い粒があるという程度です。

花崗岩は深成岩なので、これらの鉱物は大きく成長し、手のひらの上で転がすとキラキラとしています。その美しさから墓石や床などに使われることも多いです。

産地によっても花崗岩の見た目に違いがあります。兵庫県で産出する御影石という花崗岩は、石英・斜長石・カリ長石・黒雲母に加えて白雲母・角閃石から構成されており、それらが不均質に混ざり合っているため細かくて独特な模様をしているそうです。

化学的・物理的な特徴

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花崗岩はマグマがゆっくり冷え固まってできているため、とても硬いです。ハンマーで叩くと火花が散ることもあり、私が初めて花崗岩を叩いた時はびっくりしました。

しかし、雨水や気温など気候の変化を長い間受け続けると、花崗岩はボロボロに崩れていきます。この現象を専門用語で「風化」といい、花崗岩に限らずすべての岩石に起こる現象です。花崗岩などの鉱物結晶が大きい岩石は、気温の変化による鉱物の膨張・収縮の比率が大きいため、どんなに硬くてもいずれはボロボロになっていきます。

また、花崗岩は元々熱いマグマが地下深くで冷え固まったものなので、地表だと温度と圧力が低すぎて花崗岩の状態が安定しないのも風化が進行しやすい理由の一つです。風化が進みやすいと言っても何万年単位というレベルなので、近くの花崗岩がすぐぼろぼろになることはないでしょう。安心してください。

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