今回はそんな花崗岩について、地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。
ライター/オリビン
地球科学専攻で博士前期課程を修了した岩石大好き人間。趣味も岩石・鉱物採集なので集められた岩石が家中に転がっている。
岩石とは?
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花崗岩(かこうがん)について解説する前に、まずは岩石とは何かについてお話します。岩石とは鉱物の集合体のことです。ちなみに鉱物とは自然界に産する結晶のことを言います。鉱物にはいろいろな種類がありますが、それらがたくさん集まったものが岩石です。外に出ればどこにでもある岩石ですが、これらの岩石はどのように出来たかによって火成岩・堆積岩・変成岩の3つに分けられます。
以下にそれぞれの特徴をまとめてみました。
火成岩:マグマが冷えて固まることでできた岩石。冷え固まる速さによって火山岩と深成岩に分けられる。
堆積岩:泥や砂などが水の中に溜まっていき、長い年月をかけて固まってできた岩石。何で構成されているかで泥岩・砂岩・礫岩などに分けられる。
変成岩:火成岩や堆積岩が、高熱や強い圧力によって組織が変化させられることにより出来た岩石。熱の高さや圧力の強さによってさらに分類される。
火成岩とは
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花崗岩の場合、マグマが冷え固まることでできるため火成岩に分類されます。では火成岩について少し説明しておきましょう。火成岩は大きく「火山岩」と「深成岩」の2つに分けられます。
火山岩は地表近くにマグマが噴出することで、マグマが急速に冷え固まってできる岩石のことです。固まる速度が早いため、鉱物の結晶は大きく成長することが出来ません。そのため、顕微鏡で岩石を観察すると小さな結晶の間を石基と呼ばれるさらに小さな結晶の集まりが埋めている様子が観察できます。このような組織を斑状組織というので覚えておきましょう。
一方、深成岩はマグマが地下深くでゆっくりと冷え固まることでできる岩石のことをいいます。そのため、鉱物の結晶は大きく成長することが出来るのです。顕微鏡下では同じような大きさの鉱物が集合して見えるため等粒状組織と呼ばれています。
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花崗岩の特徴
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一般的に花崗岩は主に石英という透明な鉱物、斜長石という白っぽい鉱物、カリ長石というピンク色の鉱物、黒雲母という黒っぽい鉱物で成り立っています。日本だけでなく、世界中のいたるところで産出され、工業や石材など様々な用途に利用されている身近な岩石です。
見た目の特徴
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先ほど花崗岩を構成している鉱物として、石英・斜長石・カリ長石・黒雲母の4つ挙げました。しかし、これらは花崗岩の中に同じ量だけ含まれているわけではなく、圧倒的に石英・斜長石・カリ長石が多いです。なので、花崗岩は全体的に白~ピンク色をしています。黒雲母の量は全体の10%未満で、ところどころ黒い粒があるという程度です。
花崗岩は深成岩なので、これらの鉱物は大きく成長し、手のひらの上で転がすとキラキラとしています。その美しさから墓石や床などに使われることも多いです。
産地によっても花崗岩の見た目に違いがあります。兵庫県で産出する御影石という花崗岩は、石英・斜長石・カリ長石・黒雲母に加えて白雲母・角閃石から構成されており、それらが不均質に混ざり合っているため細かくて独特な模様をしているそうです。
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化学的・物理的な特徴
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花崗岩はマグマがゆっくり冷え固まってできているため、とても硬いです。ハンマーで叩くと火花が散ることもあり、私が初めて花崗岩を叩いた時はびっくりしました。
しかし、雨水や気温など気候の変化を長い間受け続けると、花崗岩はボロボロに崩れていきます。この現象を専門用語で「風化」といい、花崗岩に限らずすべての岩石に起こる現象です。花崗岩などの鉱物結晶が大きい岩石は、気温の変化による鉱物の膨張・収縮の比率が大きいため、どんなに硬くてもいずれはボロボロになっていきます。
また、花崗岩は元々熱いマグマが地下深くで冷え固まったものなので、地表だと温度と圧力が低すぎて花崗岩の状態が安定しないのも風化が進行しやすい理由の一つです。風化が進みやすいと言っても何万年単位というレベルなので、近くの花崗岩がすぐぼろぼろになることはないでしょう。安心してください。
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