
5分で分かる「消化」と「吸収」三代栄養素の消化・吸収についても東大生物学科卒が分かりやすくわかりやすく解説
普段何気なく食事をしているかもしれないが、食べたものがどのようにして消化・吸収されて自分の体を作る材料となっているか考えたことはあるでしょうか。
今回は、「消化」、「吸収」の2つの単語の意味を確認した後、食品に含まれる三代栄養素と呼ばれる炭水化物・たんぱく質・脂質のそれぞれがどのように消化・吸収されるかを、東大生物学科卒で人体の構造に詳しいライターAEON2と一緒に解説していきます。
ライター/AEON2
東京大学理学部生物学科出身で、在学中は塾講師として高校受験生物の指導をすること多数。また高校時代には、国際生物学オリンピックの国内選考で銅メダルを受賞した経験あり。趣味はボディビルディング。
「消化」と「吸収」の違いは?
まず初めに、「消化」と「吸収」の違いについて解説します。
消化とは、食べたものを様々な酵素によって処理することで、体が取り込めるように形を変えることです。口の中で小さく噛み砕くことも消化の一要素と言えるでしょう。
そして吸収とは、消化によって分解された栄養素を、主に小腸から取り込むことになります。小腸の壁に存在する絨毛(じゅうもう)という組織を通じて体は栄養素を取り込みますが、この絨毛にある細胞の膜を栄養素が通り抜けるためには、十分に小さくされていること(消化)が必要となるわけです。
炭水化物の消化・吸収

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それでは、食べ物に含まれる炭水化物の消化・吸収を見ていきましょう。
炭水化物の消化は主に、唾液、膵液のほか、小腸の消化酵素によって行われます。
唾液による炭水化物の消化

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炭水化物は口の中で噛み砕かれると同時に、唾液(消化液の1つ)に含まれるアルファ-アミラーゼという酵素によって最初の分解を受けます。
アルファ-アミラーゼの働きは、炭水化物中に豊富に含まれるデンプン(糖質とも呼ばれ、多数の糖分子が結合した構造を持っています)に対してハサミのように機能し、細かく切断することです。これにより、大きな分子であるデンプンが、糖の分子が2個結合した形であるマルトースや、3個結合した形であるマルトトリオースにまで分解されます。
膵液による炭水化物の消化
唾液によって多くのデンプンがマルトースとマルトトリオースにまで分解されますが、中にはまだ分解されきっていないデンプンも含まれており、そのようなデンプンは、嚥下されて胃を通過した後に、膵臓から分泌される膵液によってさらに分解されます。
膵液に含まれる消化酵素は膵液アルファ-アミラーゼと呼ばれ、唾液中のアルファ-アミラーゼ同様に、ハサミのように機能するというわけです。これにより、残存していたデンプンの大部分がより小さな分子であるマルトースとマルトトリオースまで分解されます。
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