
5分で分かる適切なスポーツ前の「ウォーミングアップ」どんな種類がある?東大生物学科卒が分かりやすくわかりやすく解説
運動と体温(筋温)の関係
生物の体の中では、様々な酵素反応が行われており、その結果として私たちの生命は維持されていますが、この酵素反応は、温度に依存してその効率が変動します。
私たちの体は35度から37度程度に常に体温が維持されていますが、これは、あまりに高温になると、酵素反応を担うタンパク質が壊れてしまうからです(このように体温を含めた体の状態を一定に保つ働きのことをホメオスタシスと言います)。しかしながら、タンパク質が壊れない温度を上限として体温を高めていくと、筋肉や心臓の活動を維持する酵素が活発になり、運動のパフォーマンスを高める効果が期待できます。これはすなわち、強い力を発揮できたり、全身に血液を送る能力を高めることができるということです。
体温を高めるのにおすすめのウォーミングアップ法は?
体温が高まることでスポーツパフォーマンスが上がることが分かりましたが、それでは、具体的にはどのようなウォーミングアップ法が良いのでしょうか。
この回答としては、ダイナミックストレッチをここでは挙げたいと思います。ダイナミックストレッチの項で解説したように、ダイナミックストレッチは筋温を高めたり心拍数を高めたりする効果があるため、スポーツ前のウォーミングアップ種目には最適だと言えるでしょう。
メインの運動の前に、10分ほどジャンピングや軽いジョギングを行うことで、パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

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ストレッチとウォーミングアップの関係まとめ
それでは改めて、ストレッチとウォーミングアップの関係について簡単に振り返ってみましょう。
スタティック(静的)ストレッチは、筋肉を伸ばした状態を維持するストレッチ法で、柔軟性を高めるのに非常に効果的でしたが、筋肉が発揮できる力を低下させてしまうというデメリットがありました。
バリスティックストレッチは、勢いを加えながら筋肉を伸ばすタイプのストレッチ法で、筋肉の柔軟性を高めるものの、やはり筋力を低下させてしまうデメリットがあります。
他の2種のストレッチと異なり、ダイナミック(動的)ストレッチは、実際のスポーツ動作に近い動きで行うストレッチ(ウォーミングアップ)でした。ダイナミックストレッチでは、筋力の低下は起こらないばかりか、体温の上昇により、筋肉や心臓が最大限のパフォーマンスを発揮できるようになるというメリットがありました。強度の高いスポーツや筋トレの前には、ウォーミングアップとして、ジャンプ動作やジョギング、またはこれから行う運動を低強度で行うというのがおすすめです。
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