
5分で分かる適切なスポーツ前の「ウォーミングアップ」どんな種類がある?東大生物学科卒が分かりやすくわかりやすく解説
スポーツ競技においては、練習や大会の前にウォーミングアップをすることが必須ですが、間違った方法でウォーミングアップをすると逆効果のこともあるんです。
アスリートに限らず、一般レベルでも、試合本番でベストな身体の状態を作るために、今回は、柔軟性、筋肉や心臓の活動性の2点に焦点を当てながら、それぞれのウォーミングアップについて、東大生物学科卒で筋肉に詳しいライターAEON2と一緒に解説していきます。
ライター/AEON2
東京大学理学部生物学科出身で、在学中は塾講師として高校受験生物の指導をすること多数。また高校時代には、国際生物学オリンピックの国内選考で銅メダルを受賞した経験あり。趣味はボディビルディング。
スポーツとウォーミングアップ

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運動を行う前のウォームアップと言えば、柔軟体操や軽いジョギング、ストレッチを想像する人が多いかと思います。
正しい方法で行うウォーミングアップはパフォーマンスの向上に非常に役立ちますが、そうでない場合は、逆にパフォーマンスを下げる要因にもなりかねません。特に、手軽に行えるために習慣化している人も多そうなストレッチについては、複数のストレッチ法が存在し、その効果もそれぞれ異なるため、よく理解して実施する必要があります。
今回は、柔軟性、筋肉の活動性及び心肺機能の2点に的を当てて、それぞれに適したウォーミングアップ法を解説しますので、是非見てみてください。
ウォーミングアップと柔軟性の関係について

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ウォーミングアップと聞いて誰もがまず一番最初に想像するのがストレッチだと思いますが、実は、効果的な方法でストレッチを行わないと、スポーツパフォーマンスを低下させる要因になりかねません。
今回は、スタティックストレッチ(静的ストレッチ)、バリスティックストレッチ、ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)の3種のストレッチについて、簡単にまとめて紹介します。ストレッチと聞くと柔軟性の向上がメインの効能と思われがちですが、それ以外の効能を狙ったストレッチも存在することを見ていきましょう。
スタティックストレッチ
スタティックストレッチは静的ストレッチとも呼ばれますが、これは一般の方がストレッチと聞いて想像する、関節を固定して筋肉を伸ばした状態をキープするストレッチ法です。筋肉の柔軟性を高めて怪我を防止するのと同時に、関節の可動域を広げる働きもあります。これらはスタティックストレッチのメリットですが、残念ながらデメリットもがあるのも事実です。
筋肉には、その伸び縮みを感知するとことで、正しく力発揮を行えるようにする筋紡錘という器官がありますが、静的ストレッチを繰り返すとこの筋紡錘が正しく機能しなくなり、結果として発揮できる筋力が下がるということが起きてしまいます。強い力発揮が必要なスポーツや筋トレの前には、スタティックストレッチは避けるべきでしょう。
バリスティックストレッチ
バリスティックストレッチは、筋肉を伸ばすという意味ではスタティックストレッチと同じですが、勢いをつけてストレッチ動作を行う点が異なります。例を挙げるならば、小学校の体操で行うアキレス腱伸ばしなどです。スタティックストレッチと同じメリットを持ちますが、やはり筋肉の発揮できる力が落ちてしまうというデメリットがあります。
ダイナミックストレッチ

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ダイナミックストレッチは動的ストレッチとも呼ばれ、スタティックストレッチやバリスティックストレッチと異なり、筋肉を伸ばすことそのものに意識を向けるのではなく、より競技に近いような運動を行う中で、自然と筋肉を伸ばしていこうとするタイプのストレッチになります。ラジオ体操やジャンプ動作等がこれに該当し、実施する中で筋肉が温まったり、心拍数を上昇させたりすることが効果の1例です。
筋肉を長時間引き伸ばす動作がないため、スタティックストレッチやバリスティックストレッチのように発揮できる筋力が低下することがありません。ストレッチを導入する目的によっても異なりますが、アクティブな運動を行う前ならば、このダイナミックストレッチがオススメです。
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