この記事では「運を天に任せる」について解説する。

端的に言えば運を天に任せるの意味は「運命のままに従う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つEastflowerを呼んです。一緒に「運を天に任せる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「運を天に任せる」とは、「どんな人が発する言葉なのか」を含めて「運を天に任せる」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかわかりやすく解説する。

「運を天に任せる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「運を天に任せる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「運を天に任せる」の意味は?

それでは、まず「運を天に任せる」の辞書の意味から見ていきましょう。

1.うまくいくかどうかは天の意志に任せる。成り行きに任せる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「運を天に任せる」

2.なりゆきを天の意志に任せる。運命のままに従う。
出典:日本国語大辞典(精選版)「運を天に任せる」

「運を天に任せる」(うんをてんにまかせる)とは、最善を尽くして精一杯努力してきた人が、結果は自分を含めて人間の決められることではなく、あとは天の意思に任せるしか方法がないという心境に至ったときに発する言葉です。自分の信念や使命に従って戦ってきた武将が敵軍に囲まれて打つ手がなくなったときに使ったり、ピアノのコンテストに出場したピアニストやオリンピックの大会に出場した選手たちが今まで勝ち抜くために練習を重ねてきて、結果は「運を天に任せる」という気持ちになることがあるとよく耳にします。博打(ばくち)やギャンブルで、この勝負に勝てば大金が手に入り金持ちになれるが負ければ破産するという大勝負をする際にも使われることがありますね。

「運を天に任せる」の語源は?

「運を天に任せる」という考え方は古くから中国にありました。中国語では、「听天由命」(ティン ティエン ヨウ ミン)ということわざがこれに当たりますが、意味は「運を天に任せる」と同じです。「听天由命」は今でも、中国の戦国ドラマではひんぱんに使われています。

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「運を天に任せる」の使い方・例文

運を天に任せる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「どうするパパ?あと、残り1000円しかないよ。これでフィーバーが来なかったら焼き肉を食べに行くどころか家へ帰ってもインスタント・ラーメンかふりかけくらいしかないよ?」「どうもこうもないさ。そろそろ来る頃さ。後は運を天に任せて、かかることを期待するだけだよ。」

2.「今日の試験、本当に難しかったし時間もなかったよな。合格は無理かもしれない。君はどうだった?」「確かに難しかったよ。でも、あまり結果は気にしていないよ。やれることはすべてやりきったんだ。あとは、運を天に任せるだけさ。」

「運を天に任せる」とは、自分の力ではどうにもならない場合に使われる場合も多いのです。

「運を天に任せる」の類義語は?違いは?

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それでは、「運を天に任せる」の類義語を見ていきましょう。

「運否天賦」

多くの人が「運を天に任せる」の類義語として最初に思いつくことばが、「運否天賦」ではないでしょうか?

「運否天賦」は「うんぷてんぷ」と読み、「天賦(てんぷ)」とは、「天が与えるもの」「天から授かるもの」という意味です。「運否天賦」全体では、「運があるか否かは、天が定めるものである」という意味になり、同時に「人間に決められるものではなく定めである」という意味も含みます。「運否天賦」も「運を天に任せる」と意識するようになったときに発せられることばなのです。

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「成り行きに身を委ねる」

「運を天に任せる」と同じ心境を表すことばに「成り行きに身を委ねる」(なりゆきにみをゆだねる)があります。「成り行き」(なりゆき)とは、「物事の移り変わりの様子や過程」のこと。「成り行きに身を委ねる」で、「自然な移り変わりや流れに自分自身も従っていく」ことです。

「成り行きに身を任せる」とも言いますが、「身を任せる」よりも「身を委ねる」方が、より全面的に従順に流れに従っていく感じを伝えることができるかもしれません。

「運を天に任せる」の対義語は?

次に「運を天に任せる」の対義語を見て行きましょう。

「為せば成る」

「運を天に任せる」が「やれることはすべてやりきって後は天の審判を待つのみ」という心境であるのに対して、「まだ、己(おのれ)自身の熱意と努力で克服できる状態にある」ときに発せられることばが「為せば成る」(なせばなる)です。これは、江戸時代、米沢藩主(よねざわはんしゅ)の上杉鷹山(うえすぎようざん)が家臣に対して言ったことばで、「どんなことでも強い意志と態度を持って行動すれば必ず成就する」という「やる気の大切さ」を説いたことわざとして知られています。

上杉鷹山の「為せば成る」には、続きがありますのでご紹介しましょう。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」(なせばなる なさねばならね なにごとも ならぬはひとの なさぬなりけり)。「意思を持ってやれば何事も達成できる。達成できないのはその人間がやろうとしないからだ」という意味になります。

「断じて行えば鬼神も之を避く」

ご紹介する「断じて行えば鬼神も之を避く」(だんじておこなえばきしんもこれをさく)は、中国の『史記』(しき)の中に出てくる言葉で、秦の始皇帝(しこうてい)の死後、始皇帝の側近であった趙高(ちょうこう)が帝位に就こうとしたときに言ったとされることばで、現代でも中国や日本では使われている慣用句です。

「鬼神」の読み方は「きしん」で、荒々しくもあり、恐ろしい力を持つ神霊(神様)のことで神話にも登場します。「そんな恐ろしい鬼神が眼前に立ちはだかったとしても、決意を固くして行動すれば、勢いに押されて鬼神も道をよけるものだ」という意味になるそうです。

「運を天に任せる」の英訳は?

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それでは、「運を天に任せる」を英訳した場合にどうなるかを見ていきましょう。

「I’ll let the gods decide my fate」

「運を天に任せる」を意味する英語表現の中で、比較的よく使われる表現のひとつが「I’ll let the gods decide my fate」(アイル レット  ザ  ゴッズ  ディサイド マイ フェイト)ですね。

「gods」は神ですが「天」と同様に絶対的な存在として使われる場合が多いのです。「let」(lət)は、使役動詞で、「させる」「してもらう」の意味で「decide」(dɪsάɪd)は動詞で「決める」「決定する」の意味。「fate」(féɪt)は「運命」「宿命」を意味する名詞です。

ですから、全体で、「私は自分の運命を神にまかせるつもりだ」という意味になります。

\次のページで「「I’ll let it be」」を解説!/

「I’ll let it be」

「運を天に任せる」には、「あるがままにしておく」「そのままにしておく」という「流れに従い放っておく」という意味でも使われます。そんな意味を表すことばに「Let it be」という言葉がありますね。どうしても人は「進歩」や「発展」「改善」を求めて無理してでも行おうとしてしまいがちですが、長い人生「あるがままに流れていく」ことが大切な時もあるのかもしれませんね。「私はあるがままにしておくよ」は英語では、「I’ll let it be」になります。

「運を天に任せる」を使いこなそう

これまで、「運を天に任せる」の意味や使い方を見てきました。「運を天に任せる」は「今まで全力を尽くして取り組んできて、勝つか負けるかあるいは成功するか失敗するかのジャッジは天に任せる」という意味です。

一方で、「為せば成る」という「意思を持ってやれば何事も達成できる」ということわざもありますね。一見反対に見えるふたつの言葉ですが、実は必ずしも反対の意味ではないのです。「為せば成る」という意気込みで今までがんばってきたからこそ、「運を天に任せる」と感じられるようになるわけで、やるべきことをやっていないと単に「苦しい時の神頼み」(くるしいときのかみだのみ)になってしまうのではないでしょうか?皆さんはどう思いますか?

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国語言葉の意味

【慣用句】「運を天に任せる」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「成り行きに身を委ねる」

「運を天に任せる」と同じ心境を表すことばに「成り行きに身を委ねる」(なりゆきにみをゆだねる)があります。「成り行き」(なりゆき)とは、「物事の移り変わりの様子や過程」のこと。「成り行きに身を委ねる」で、「自然な移り変わりや流れに自分自身も従っていく」ことです。

「成り行きに身を任せる」とも言いますが、「身を任せる」よりも「身を委ねる」方が、より全面的に従順に流れに従っていく感じを伝えることができるかもしれません。

「運を天に任せる」の対義語は?

次に「運を天に任せる」の対義語を見て行きましょう。

「為せば成る」

「運を天に任せる」が「やれることはすべてやりきって後は天の審判を待つのみ」という心境であるのに対して、「まだ、己(おのれ)自身の熱意と努力で克服できる状態にある」ときに発せられることばが「為せば成る」(なせばなる)です。これは、江戸時代、米沢藩主(よねざわはんしゅ)の上杉鷹山(うえすぎようざん)が家臣に対して言ったことばで、「どんなことでも強い意志と態度を持って行動すれば必ず成就する」という「やる気の大切さ」を説いたことわざとして知られています。

上杉鷹山の「為せば成る」には、続きがありますのでご紹介しましょう。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」(なせばなる なさねばならね なにごとも ならぬはひとの なさぬなりけり)。「意思を持ってやれば何事も達成できる。達成できないのはその人間がやろうとしないからだ」という意味になります。

「断じて行えば鬼神も之を避く」

ご紹介する「断じて行えば鬼神も之を避く」(だんじておこなえばきしんもこれをさく)は、中国の『史記』(しき)の中に出てくる言葉で、秦の始皇帝(しこうてい)の死後、始皇帝の側近であった趙高(ちょうこう)が帝位に就こうとしたときに言ったとされることばで、現代でも中国や日本では使われている慣用句です。

「鬼神」の読み方は「きしん」で、荒々しくもあり、恐ろしい力を持つ神霊(神様)のことで神話にも登場します。「そんな恐ろしい鬼神が眼前に立ちはだかったとしても、決意を固くして行動すれば、勢いに押されて鬼神も道をよけるものだ」という意味になるそうです。

「運を天に任せる」の英訳は?

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それでは、「運を天に任せる」を英訳した場合にどうなるかを見ていきましょう。

「I’ll let the gods decide my fate」

「運を天に任せる」を意味する英語表現の中で、比較的よく使われる表現のひとつが「I’ll let the gods decide my fate」(アイル レット  ザ  ゴッズ  ディサイド マイ フェイト)ですね。

「gods」は神ですが「天」と同様に絶対的な存在として使われる場合が多いのです。「let」(lət)は、使役動詞で、「させる」「してもらう」の意味で「decide」(dɪsάɪd)は動詞で「決める」「決定する」の意味。「fate」(féɪt)は「運命」「宿命」を意味する名詞です。

ですから、全体で、「私は自分の運命を神にまかせるつもりだ」という意味になります。

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