「杯を貰う」
「杯を貰う」(さかずきをもらう)も「杯を交わす」と同様に相手が飲んでいた杯を受け、「注がれた酒を飲む」ことですが、「杯を交わす」の場合、お酒を飲む目的が「親交や信頼を深めるため」や「固い約束をして守るため」と多岐の場面で使われる用語であるのに対して「杯を貰う」は「非常に固い約束をする儀式」の場面で用いられることばです。
ご存知の方が多いと思いますが、1960年代や1970年代、映画制作会社の東映(とうえい)と言えば、「チャンバラ映画」と「ヤクザ映画」が二つの柱でした。「杯を貰う」はこの「ヤクザ映画」でひんぱんにでてきた台詞(せりふ)でもありました。
親分が子分になる者に杯を渡し、子分が注がれた酒を飲んだ際に「親分子分の契約」が成立し、子分にとって、何にもまして親分が大切なものになるのです。「兄貴分と弟分の契約」というのもあります。
「杯を交わす」の対義語は?
次に「杯を交わす」の対義語を見ていきましょう。
「杯を交わす」は、「親交や信頼を深めるたり固い約束をする」などの意味ですから人間関係が近づき、深くなっていくことを表す言葉なので、反対語は、近くにあった関係が遠くなり、疎遠になっていく言葉が反対語になります。
「縁を切る」
血縁や家族的なつながり、あるいは、なんらかのゆかりがあって親しくなっていた人間関係を解消することを「縁を切る」といいます。「杯を交わす」が人間関係の始まりを表すことばであるのに対して、「縁を切る」は関係の終焉(しゅうえん)や最後を示す用語になるのです。
「袂を分かつ」
「今まで親しく行動を共にしてきた人と離別する」や「近かった関係を断ち切る」ことを意味することばに「袂を分かつ」(たもとをわかつ)があります。「袂」(たもと)とは、「手(た)本(もと)」の意からできたことばで、和服の袖付けから下にある垂れた袋のようになっている部分のことです。近かった関係を解消し分かれていく、離れていく意味の言葉になりますね。
「Pledge」
「杯を交わす」が持つ意味の中でも、「固い約束をする」という意味を持つ「Pledge」(plédʒ)をご紹介しましょう。尚、文語として「Pledge」は、「乾杯する」という意味も持ちます。
「約束する」ということばで普段の生活の中でよく使われていることばに「Promise」や「Swear」がありますが、これら二つの言葉よりも「Pledge」はかなり強い語気があり、名詞として使われる場合には、「固い約束」「誓約」「公約」などと訳される言葉であり、動詞としては、「誓約をする」という意味なのです。
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