
ところで、今私が使った「穴があったら入りたい」という言葉、理解できています?今の私の気持ちを1番ぴったり表現している言葉です。今回は、その「穴があったら入りたい」の意味や語源、類義語などについて、院卒日本語教師の筆者が解説していきます。
- 「穴があったら入りたい」の意味や語源は?
- 「穴があったら入りたい」の意味は「穴に入って身を隠したいほど恥ずかしい」
- 「穴があったら入りたい」の語源は中国の故事!
- 「穴があったら入りたい」の使い方を例文とともに確認!
- 「穴があったら入りたい」の類義語は?
- 「慙愧に堪えない」:自分の行いを深く恥ずかしく思う
- 「忸怩たる思い」:反省し、深く恥じ入る思い
- 「身の置き所がない」:(恥ずかしさなどによって)その場にいづらい
- 「穴があったら入りたい」の英語表現は?
- 「I’m so embarrassed that I wish the earth would swallow me up」
- 穴に隠れて出てきたくないほどの恥ずかしさ「穴があったら入りたい」
この記事の目次

ライター/むかいひろき
ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修士課程修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。
「穴があったら入りたい」の意味や語源は?

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「穴があったら入りたい!」…意味を知らない場合、いきなりこのように言われたら戸惑ってしまいますよね。まずは「穴があったら入りたい」の意味や語源を、辞書を参考にしつつ見ていきましょう。
「穴があったら入りたい」の意味は「穴に入って身を隠したいほど恥ずかしい」
まずは、「穴があったら入りたい」の意味を辞書を参考にしつつ確認していきましょう。国語辞典には「穴があったら入りたい」は次のような意味が掲載されています。
穴があるなら、その中に入って身を隠してしまいたいほど恥ずかしい。
出典:明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)「◆穴があったら入りたい」
「穴があったら入りたい」は「穴に入って身を隠したいほど恥ずかしい」という意味の慣用表現です。その場にいづらいほどの恥ずかしい思いを表現します。なお、この恥ずかしさについてですが、失敗や失言など、自分に原因がある場合が対象です。この点については、使い方の箇所で詳しく解説します。
「穴があったら入りたい」の語源は中国の故事!
語源は、古代中国の『賈誼新書』に掲載されている故事です。
魯の国の地方領主である季孫は、敵国である斉が攻撃してくることを知り、町長である宓子に対して「敵に食料を与えないために、町中の麦を刈り取るように」と命令を出しました。しかし宓子は命令に従わず、麦は敵に奪われ食糧にされてしまいました。季孫はこの麦の件を宓子に問いただすと、宓子は「これまで麦を刈るのをサボっていたような者にまで麦を刈り取らせれば、また敵が攻めて来て麦を刈り取ってくれたらいいなぁ…と考えるようになってしまう。麦はまた来年蒔けば育つが、曲がってしまった気持ちを直すのは難しい」と主張。
この主張に感銘を受けた季孫は、「穴をして入るべからしめよ、吾豈宓子を見るに忍びんや(穴があったら入りたい。宓子に会わせる顔がないほど恥ずかしい)」と言いました。
この季孫の発言が、「穴があったら入りたい」の語源とされています。
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