この記事では「膝を打つ」について解説する。

端的に言えば「膝を打つ」は「感心した時の動作」を差す言葉ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「膝を打つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「膝を打つ」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「膝を打つ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「膝を打つ」の意味は?

「膝を打つ」には、次のような意味があります。

急に思いついたときや感心したときの動作にいう。ひざをたたく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「膝を打つ」

実際に膝(ひざ)を打つと怪我をしてしまうので、「膝を打つ」の「打つ」は「たたく」と置き換えて考えてみてください。「膝を打つ」とは、手のひらで膝をポンとたたく動作のこと。何か思いついた時や、感心した時など、リアクションをとることがありますよね。そのような時に「なるほど、そういうことかと膝を打った」と表現することができます。ただし、誰しもが思いついた時に膝を打つとは限りません。むしろ、近年では「膝を打つ」と頻繁に表現することは減ったのではないでしょうか。

しかし、落語や漫談など、日本の伝統的な話芸では今でもよく使われています。落語家が正座した状態で、手や扇子などで膝をポンと叩いているはずなので、ぜひ動きに注目しながら話に耳を傾けてみてください。

「膝を打つ」の使い方・例文

「膝を打つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「膝を打つ」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.それは効率的な方法だと、先輩が膝を打った。

2.そうだったのかと、上司は思わず膝を打っていた。

「膝を打つ」という慣用句自体に「思いついた」や「感心した」といった感情が含まれているといえます。そのため「膝を打って感心した」というよりは「そうだったのかと、私は膝を打った」と表現するのが一般的でしょう。また、あくまで動作のことを差しているため、感心していたとしても、膝をたたく動作をしない限り「膝を打つ」とはいいません。だからこそ、「膝を打つ」を使える人物は限られてくるのではないでしょうか。あなたの周りに、膝をたたいてリアクションをとる人がいたら、「膝を打つ」を使って様子を表現してみてください。

「膝を打つ」の類義語は?違いは?

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では、「膝を打つ」の類義語や違いをみていきましょう。

「手を打つ」

「手を打つ」には3つの意味がありますが、その1つに「両手を打ち合わせて音をたてる」があります。たとえば、感情が高ぶって感動した時、なにか思いついた時など、両手を打ち合わせることはないでしょうか。拍手とまではいきませんが、「手を打って」喜ぶ人を見たことがあるかと思います。「手を打つ」と「膝を打つ」は、動作が違うだけで、両方とも無意識にしてしまうリアクションといえるでしょう。「膝を打つ」人は少なかったとしても、「手を打つ」人は意外と多いはずですよ。

「相槌を打つ」

相手の話に合わせて、「相槌(あいづち)を打つ」人は多いのではないでしょうか。「なるほど」といった雰囲気で、少し頷きながら受け答えすることがありますよね。そのような動作のことを「相槌を打つ」と表現します。「相槌を打ちながら、上司の話を聞いた」といえば、「うんうん」と頷きながら話を聞く様子が目に浮かぶのではないでしょうか。

ただし、よくある誤りで「相槌を入れる」があります。「合いの手を入れる」という言葉があるせいか、混同して間違って使ってしまう方が多いようですね。「入れる」と表現してしまうと、むしろ話の邪魔をしているような印象を与えてしまうかもしれません。「相槌」は「打つ」ものです。間違えないように注意してくださいね。

\次のページで「「膝を打つ」の対義語は?」を解説!/

「膝を打つ」の対義語は?

「膝を打つ」とは「感心した時などに膝をたたく動作のこと」でした。相手の話に反応しているわけですから、反対の意味となると「反応しない」となるはずです。そこで今回は、「張り合いがない」や「手応えがない」といった意味合いで「膝を打つ」の対義語をみていきましょう。

「暖簾に腕押し」

「暖簾(のれん)に腕押し」の意味は、手応えがないこと。「暖簾」といえば、店の出入り口にかけておく布のことですよね。「暖簾」相手に「腕押し(腕相撲)」をしたところで、手応えなどありません。そのような様子から転じて、何をやっても手応えがない、もしくは張り合いがないことを「暖簾に腕押し」とたとえるようになりました。

たとえば、アドバイスとして相手のために懸命に話をしたとしましょう。「膝を打って」くれるならまだしも、「暖簾に腕押し」で終わったら寂しいのではないでしょうか。自分のことを思って話してくれる相手には、ある程度のリアクションはとるようにしましょう。

「糠に釘」

「糠(ぬか)に釘」は「暖簾に腕押し」の類語になります。意味は、手応えがなく、効き目が全くないこと。実際に「糠」を触ったことがある人ならば想像しやすいかと思いますが、「糠」は粘土のように柔らかいもの。よく漬物を仕込む際に使われる原料になります。「糠」はとても柔らかいため、硬い釘を打っても飲み込まれるだけ。打っても意味がない様子から転じて、手応えがないことを「糠に釘」とたとえるようになりました。省略して「糠釘(ぬかくぎ)」と表現しても問題ありません。

「糠に釘」が使われる場面としては、いくらアドバイスや意見を言っても「効果のない」時に用いられます。たとえば、失敗しないようにいくら注意しても「糠に釘」となれば、相手に言葉が響いていないことになりますね。

「膝を打つ」の英訳は?

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では、「膝を打つ」を英語訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「slap one's knee」

「slap」は「ピシャッと打つ」という意味。「knee」は「膝」という意味になります。「slap one's knee」で「膝を打つ」として使うことができるでしょう。「打つ」というよりは「ポンとたたく」という印象に近いかもしれません。ただし、日本では「膝を打つ」は感心した時などに使いますが、国によっては面白いと感じた時に「膝を打つ」動作をすることが多いようです。そのため「slap one's knee」は「膝を打つ」動作を伝えることはできても、「感心した」や「思いついた」という感情は伝わりにくいかもしれません。

「come up with」

come up with」は直訳すると「~に追いつく」という意味。ただし、日常会話では、良い案が「思いついた」時の定番表現として使うことができます。たとえば「I come up with a great idea」といえば「私は良いアイデアを思いついた」と伝えることができるでしょう。「膝を打つ」という動作を伝えることはできませんが、「思いついた」という気持ちは確実に伝えることができるはずです。

\次のページで「「膝を打つ」を使いこなそう」を解説!/

「膝を打つ」を使いこなそう

この記事では「膝を打つ」の意味・使い方・類語などを説明しました。「膝を打つ」は、近年ではあまり使われることがない慣用句ですが、膝を打つような動作をする人は意外といるのではないでしょうか。「膝」でなくとも「太もも」をたたく、もしくは「手」を打って閃きを表現する人もいるでしょう。動作を説明することによって、感情までも伝えることができるのは、慣用句ならではといえますね。

「膝を打つ」は、「思いついた」や「感心した」だけでなく、「感動した」や「おいしい」などの感情表現としても使うことができます。もしも、あなたがポンと膝をたたく機会があったのなら、ぜひ「膝を打つ」を使って気持ちを表現してみてください。

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国語言葉の意味

【慣用句】「膝を打つ」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「膝を打つ」について解説する。

端的に言えば「膝を打つ」は「感心した時の動作」を差す言葉ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「膝を打つ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「膝を打つ」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「膝を打つ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「膝を打つ」の意味は?

「膝を打つ」には、次のような意味があります。

急に思いついたときや感心したときの動作にいう。ひざをたたく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「膝を打つ」

実際に膝(ひざ)を打つと怪我をしてしまうので、「膝を打つ」の「打つ」は「たたく」と置き換えて考えてみてください。「膝を打つ」とは、手のひらで膝をポンとたたく動作のこと。何か思いついた時や、感心した時など、リアクションをとることがありますよね。そのような時に「なるほど、そういうことかと膝を打った」と表現することができます。ただし、誰しもが思いついた時に膝を打つとは限りません。むしろ、近年では「膝を打つ」と頻繁に表現することは減ったのではないでしょうか。

しかし、落語や漫談など、日本の伝統的な話芸では今でもよく使われています。落語家が正座した状態で、手や扇子などで膝をポンと叩いているはずなので、ぜひ動きに注目しながら話に耳を傾けてみてください。

「膝を打つ」の使い方・例文

「膝を打つ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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