これだけの観客が見ている中で芸を披露するなんて、気がひけるどころか圧倒されてほとんど何もできないんじゃなかろうか。
校内の弁論大会で優勝し、県大会でも見事入賞を果たした山田君を相手に回して討論を挑むのは、さすがの僕でも気がひけるよ。
結果としてファンクラブ会員による人気投票で上位に選ばれたのはいいが、他の候補者の手前大喜びするのも気がひけてしまう。
「気がひける」の意味をしっかりととらえたいときに押さえておくべきポイントがあります。それは、先ほど国語辞典での定義にもあったように、それが「気おくれ」によるものなのかどうかという点です。
もし、そうならば、恐れや恥ずかしさによって一歩踏み出せないでいることになります。もし、そうでなければ、劣等感を感じて行動に移せないでいる状況でしょう。
もちろん、両者の意味は一部重なる点もあるでしょうが、どうして「気がひけて」いるのかを考えることが何よりも大切です。上に挙げた三つの例文の中で明らかに劣等感によるものは二つの目の例文だといえます。
#2 「気がひける」の類義語は?違いは?
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ところで、「気がひける」と意味のよく似た表現にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その中でも代表的なものを二つほど紹介していきます。
「怖気づく」
「怖気(おじけ)づく」は、恐ろしさを感じたり相手に敵わないという気持ちからひるむことをいいます。たとえるなら、自分よりもはるかに体格に勝る相手に戦いを挑むようなときの心理でしょうか。
単に「怖気る」と表現する場合もあるので、押さえておくとよいでしょう。
「臆病風に吹かれる」
「臆病風に吹かれる」も、「気がひける」の類義語として十分に通用するものだといえます。こちらの慣用句は、臆病な気持ちになることという意味です。
「〇〇風」という表現は、様子や態度、気分などを表す際に用いられることがある接尾辞で、主に名詞の下について用いられます。
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