
「つぶしがきく」とは「今の仕事を辞めても他の仕事が出来る」という意味の慣用句です。専門性はもちろんあれこれ出来る有能な人のイメージがあるな。俺の教え子たちもいろんな分野で活躍できるスキルを身につけてほしいものです。まずは「つぶしがきく」のくわしい意味や使い方を知って、しっかりと使いこなせるようになろう。
今回は語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んです。一緒に「つぶしがきく」を説明していく。

ライター/小島 ヨウ
言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。
「つぶしがきく」の意味・使い方

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日本の会社は終身雇用制度で入社すれば定年まで勤務することができます。しかしながら定年まで勤めた人は男性の三割、女性はなんと一割に満たないほど少数派です。ということは、大多数の人は転職を経験していることになります。
職を変わるとき、自分はどんな能力・スキルがあるのか、今までの経験が役に立つのか。すなわち「つぶしがきく」のか「きかない」のかが、仕事選びのポイントとなるでしょう。そんな「つぶしがきく」とはどのような意味なのか、くわしくみていきます。
「つぶしがきく」の意味
まずは辞書で意味を調べてましょう。
《金属製品は、溶かして別の物にすることができるところから》それまでの仕事をやめても、他の仕事ができる能力がある。「専門職すぎて―・かない」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「潰(つぶ)しが効(き)く」より
「つぶしがきく」は漢字で「潰しが効く」または「利く」が用いられています。「効く」は期待通りの効果があらわれること、「利く」は十分に発揮する・可能である、などの意味です。この慣用句は「職業や仕事」に関する比ゆ的表現で、ほかの物事には使用しないのでご注意ください。また、つぶすのは「金属製品」なのですね、次の項で語源を確認しましょう。
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「つぶしがきく」の語源
金や銀、鉄などの金属製品は熱を加えるとつぶれ溶けて元の形を失いますが、加工してまた別の新しい製品を作ることが出来ます。これを多才な人にたとえ、今の仕事を辞めても別の仕事をしていける、という意味の慣用句になったようです。人のリサイクルといったところでしょうか。
また辞書にもあるように、専門性が高すぎるなど業界限定の仕事に従事する人は「つぶしがきかない」となります。たとえば美容関係。美容室やエステ店・ネイルサロンなど業界では働けても異種の事務業には転職出来ない、といったイメージですね。失職しても職業訓練などを受けて別のジャンルで働くことが出来ます。心機一転、いろいろな仕事にチャレンジするのも良いことですよ。
「つぶしがきく」の使い方・例文
意味が分かったので、さっそく使ってみましょう。
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