この記事では「手を尽くす」について解説する。

端的に言えば「手を尽くす」の意味は「あらゆる方法を試す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「手を尽くす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「手を尽くす」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「手を尽くす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「手を尽くす」の意味は?

「手を尽くす」には、次のような意味があります。

物事の実現や解決のために、あらゆる手段を試みる。

出典:goo辞書

あらゆる手段を試みるというのですから、重い深刻な事態の場合も多いものです。誰かの命を救う、倒産しそうな会社のために金策をする、結婚に対する反対が強い状況で打開策を探るなど、人生の一大事に使われる言葉でもあります。

「手を尽くす」の語源は?

次に「手を尽くす」の語源を確認しておきましょう。

ここでの「手」は抽象的な「手」であり、「手段」です。

「尽くす」はなくなるまで実施しつづけるという意味で、すべてを行う、やり尽くすということになります。

そこで「手を尽くす」では、もはや他の手段がなくなるまで、あらゆる手段、すべての手段を試し、実行するということになるわけです。

尽きてしまえば残りはないので、多くの場合に、手段は尽きたが結果は得られなかったということになりますから、悲しい結末も想定しておかなければなりません。

\次のページで「「手を尽くす」の使い方・例文」を解説!/

「手を尽くす」の使い方・例文

「手を尽くす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.このことわざ辞典では可能なかぎり多くを収録して発行しようと、書籍編集関連の全部署あてに説明をしてまわり手を尽くしたものの、結局のところ理解が得られずに、初級または初中級、中級者向けの辞書として、いくぶんか索引を充実させるだけの形で譲歩して出版にまでこぎつけた。

2.スポーツ関連動画の再生閲覧を目的とする会員向けにこのたび新しく開設したブログでは、検索が容易になるように編集部門で手を尽くしたが、なかなかインターネット検索での上位表示がされなかった。

3.本商品の付属パーツにも興味をもってくれたユーザーあてにオススメのサービスの情報を提供するために、毎日一時間ごとに情報をアップし続けるなど弊社サイトでは手を尽くして顧客満足に務めた結果、この数か月、ライバル社との競争で徐々に劣勢から挽回しつつある。

手を尽くした結果うまくいった、というのはなかなか難しいようです。手段が尽きたのであれば最後の手段まで試したのですから、やはり策が尽きたということでその最後の手段によって良い結果を得たというのは現実的な感じがしません。

そこで「手を尽くしたが結局だめだった」というのが自然な流れになります。残念ですが。

「手を尽くす」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「手を尽くす」と似た意味を持つ言葉としては、以下のようなものがあります。

「尽力する」

「尽力する」は、力を尽くすことです。

しかし、こちらは「手を尽くす」よりは悲壮な感じが弱いように思えます。一生懸命頑張る、くらいの感じであり、あらゆる手段を尽くしてしまってもう後がない、というほどの厳しさはありません。

\次のページで「「万策尽きる」」を解説!/

「万策尽きる」

「万策尽きる」となると、すべての方策を実施してしまい、もう他に策がないのですから、絶望的です。

これから何かをするときに「手を尽くしましょう」というのであれば、まだ結果の成功の可能性もありますが、「手を尽くしました」となればこれもかなり絶望的な状況となるのであって、この「手を尽くした」というのが「万策尽きた」とほぼ同義となります。

つまり、「尽力しましょう」「手を尽くすつもりだ」から始まって、「手を尽くした」または「万策尽きた」と進行すれば、結末がよくないものとなることが予測されるわけです。

「手を尽くす」の対義語は?

「手を尽くす」と反対の意味を持つ言葉としては、以下のようなものがあります。

「なげやりになる」

手を尽くさずに途中であきらめて打開策を探るのをやめてしまうこと。

事態の掌握を放棄する、つまり投げてしまい、そのままの状態で放置する、つまり「投げやる」ということです。

「あきらめる」

あきらめる(諦める)ということは、事態の打開、解決への道を放棄することですから、「手を尽くす」の反対です。「なげやり」とも近い意味をもつ言葉でしょう。

「手を尽くす」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に「手を尽くす」を英語で表現するとどうなるのかを確認しておきましょう。

「try all possible means」

「手を尽くす」は英語で「try all possible means」と表すことができます。すべての可能な手段を試す、ということです。例文も示しておきましょう。

\次のページで「「手を尽くす」を使いこなそう」を解説!/

I tried all possible means, and got the business.

私は手を尽くし、結果としてその事業を行うことができるようになった。

 

「手を尽くす」を使いこなそう

この記事では「手を尽くす」の意味・使い方・類語などを説明しました。

一生懸命に頑張るのは悪いことではありません。しかしやはり「手を尽くしてしまう前に手を尽くす」、そうしないと事は失敗に終わる、そんな言葉かもしれません。

窮地に陥る前にすべての対策を試みる、というのは不思議な言い方かもしれませんが、そう言うしかないように思えます。いかがでしょうか。

" /> 【慣用句】「手を尽くす」の意味や使い方は?例文や類語を教材系ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「手を尽くす」の意味や使い方は?例文や類語を教材系ライターがわかりやすく解説!

この記事では「手を尽くす」について解説する。

端的に言えば「手を尽くす」の意味は「あらゆる方法を試す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗吉を呼んです。一緒に「手を尽くす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「手を尽くす」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「手を尽くす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「手を尽くす」の意味は?

「手を尽くす」には、次のような意味があります。

物事の実現や解決のために、あらゆる手段を試みる。

出典:goo辞書

あらゆる手段を試みるというのですから、重い深刻な事態の場合も多いものです。誰かの命を救う、倒産しそうな会社のために金策をする、結婚に対する反対が強い状況で打開策を探るなど、人生の一大事に使われる言葉でもあります。

「手を尽くす」の語源は?

次に「手を尽くす」の語源を確認しておきましょう。

ここでの「手」は抽象的な「手」であり、「手段」です。

「尽くす」はなくなるまで実施しつづけるという意味で、すべてを行う、やり尽くすということになります。

そこで「手を尽くす」では、もはや他の手段がなくなるまで、あらゆる手段、すべての手段を試し、実行するということになるわけです。

尽きてしまえば残りはないので、多くの場合に、手段は尽きたが結果は得られなかったということになりますから、悲しい結末も想定しておかなければなりません。

\次のページで「「手を尽くす」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: