熱力学物理理科

5分で分かる「熱力学第三法則」エントロピーやカルノーサイクルを用いて理系ライターがわかりやすく解説!

絶対零度の時のエントロピー

いきなり本題ですが、このQ/Tの式にてT=0ならどうなるのか?という疑問が湧いてきますね。そこで絶対零度(T=0)の時のエントロピーをどう考えるのかという基準が必要で、これを0としたわけです。式だけ見ると、Q=0なら絶対零度でなくてもエントロピーは0になるのではないか?となりますが、そうはなりません。絶対零度でない=気体が分子運動しているわけで、周囲とは必ず衝突、つまり熱のやり取りが発生するためQ=0はあり得ません。

絶対零度の時は分子運動が一切止まっているため周囲に熱を伝達することはありません。よって変化しようとする動きは見られず、考え得る限り最もエントロピーが低い状態です。さて、このQ/Tという式はどこから出てきたのでしょうか。

断熱変化ならQ=0では?

絶対零度ではない場合はQ=0はあり得ない。けれど断熱変化ならQ=0があり得てしまうではないか?そんな疑問がわいてくるところです。ではこれについてはどう考えたら良いのでしょうか?

断熱変化でQ=0となるのは、他の系との熱のやり取りであって、同じ系内に居る分子同士での熱のやり取りは発生します。どことどこを断熱しているかの問題ですね。実際にはあり得ませんが仮に分子1粒1粒間全て断熱されていれば確かにQ=0が成立し、エントロピーは0。これは絶対零度と同じ状態と言えるでしょう。

なぜQ/Tを指標に?

エントロピーと言えばこの式ですね。ではなぜこの形になったのでしょうか?その背景の一つがカルノーサイクルの熱効率。熱効率を絶対温度Tや熱量Qで表しているとQ/Tという表示が便利のいい指標になることが分かりますよ。ちなみに以下の説明は、気体(ガス)を対象に行います。

3.カルノーサイクル

3.カルノーサイクル

image by Study-Z編集部

カルノーサイクルは等温変化と断熱変化を繰り返し、外からもらった熱量Q1を等温膨張、断熱膨張により仕事に変えた後、等温圧縮、断熱圧縮で元に戻るというサイクル。効率が良いと言われているポイントは「上手いこと元に戻せている」点。確かに外に仕事をするプロセスは膨張の部分ですが、永遠に膨張し続けるわけにはいかず一旦圧縮する必要があります。

圧縮のプロセスでは熱を捨てることになるため、熱効率を上げるためには上手に圧縮する必要があるのです。膨張プロセスではプロセス1と2を体積V1からV2までの積分した分だけ仕事をし、圧縮プロセスではプロセス3と4にて体積V3からV2までの積分した分だけ熱を捨て、その差である緑色斜線部分がサイクル1周当たりに外に与える熱量。カルノーサイクルではこれらの事情を踏まえられています。

この時熱効率は

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と表されますね。実はこの式はT1、T2のみを使って

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と表すこともできます。これは以下のようにカルノーサイクルの各プロセスでの関係式から導かれるものです。

\次のページで「プロセス1:等温膨張での関係式」を解説!/

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