3分で簡単「時間の遅れ」タイムトラベルを実現するためには?理系ライターがわかりやすく解説
5.時間の収縮
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なぜ速度を持っていると時間の流れがゆっくりになるか?
イラストのように、速度vで進む系の垂直方向に光を発射します。Lだけ離れた鏡で反射させ戻って来るまでの時間を考えましょう。速度がゼロの静止系の観測者は壁に到達するまで速度vの系にいる人はt=L/cだと言っており、静止系の観測者はそれより長いと言っております。速度vの系から見ると光の移動距離は短いですが、速度はどちらもc。速度vの系からからだと移動距離が短く観測されるため、辻褄を合わせるため経過時間も短くなるのです。
あれれ?さっきのボール壁当ての例では時間は同じでボールの速さを変えていたのに今回はなぜ時間が違っているのか?それは今回移動しているのは光だから。光の速さcはどんな系から見ても変わりません。ボールのように静止系と運動系で速度が変わることはあり得ません。その代わり、辻褄を合わせるかのように移動時間が変わる必要があるのです。
単純に光速度以上の実数速度を出せばどうなるか
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仮に光速度を超えることが出来たらどうなるか。速度vは実数とします。時間遅れの数式での平方根の中は負の値、つまり時間が虚数となりますね。まさに時空が歪んでいる感じがします。
宇宙船Bの速度vを光速度の√2倍としましょう。静止系で1秒経過する時、宇宙船Bではi秒経過しますね。
虚数時間での自由落下
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宇宙船Bでの自由落下を見てみましょう。iも2乗すれば-1という分かりやすい数字。初速度0で自由落下させたとき時刻t秒後の位置は次式の通り。
静止系で1秒経過すると変位は-4.9、約4.9m落下することを意味します。この時宇宙船Bでは時刻がi秒経過し変位はまさかの逆方向+4.9m、自由落下中なのに変位が上昇していますね。もちろんこの系でも重力の向きは下向き。よって、通常起こり得る現象に関し、あたかも時間経過が逆向きになったかのように進む、言い換えれば過去に巻き戻っていると捉えることも出来ますね。
仮に何らかの方法で外界のみを秒速40万キロなどといった光速度を超える速度で動かし、タイムマシンのみを静止系に置いておけば過去へのタイムスリップが実現するかもしれません。
過去へのタイムスリップは極めて困難
速度を持つ系では必ず「時間遅れ」が発生します。これは速度を持つ系からだと静止系から観測するより光の移動距離が短く観測されるためです。光の速度はどの系でも同じであるため、移動距時間遅れが発生離が短く観測されると移動時間も短く観測される=します。
日常生活では考えられないようなとてつもないスピードを出せば未来一方通行のタイムトラベルは理論上可能ですが、過去へのタイムトラベルは理論上も説明するのが困難です。