この記事では「舌が肥える」について解説する。

端的に言えば「舌が肥える」の意味は「味の良し悪しがわかること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「舌が肥える」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「舌が肥える」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「舌が肥える(したがこえる)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「舌が肥える」の意味は?

「舌が肥える」には、次のような意味があります。

「口が肥える」に同じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「舌が肥える」

いろいろなものを食べて、味のよしあしがよくわかるようになる。舌が肥える

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口が肥える」

この言葉は「食物に対する好みが贅沢になること」「様々なものを食べたことで、味の判断ができるようになること」の意味を持つ慣用表現です。

「味覚が優れている」ならば誉め言葉ですが、文脈によってはネガティブなイメージになることも。使い方の項で確認してください。

また、引用の通り「口が肥える」という同じ意味の表現もあります。そのためか、辞書によっては「舌が肥える」で掲載されていないことも。調べたときに驚かないように、両方覚えてしまいましょう。

「舌が肥える」の語源は?

次に「舌が肥える」の語源を確認しておきましょう。これは特別な出典などはなく、言葉の意味から作られた例えの表現です。

「肥える」とは、「経験を積んだことで、良いもの・ことを見定められる力が付く」という意味を持っています。「舌が肥える」の他にも、「耳が肥える」「目が肥える」などの表現を聞いたことがあるかもしれませんね。「耳」なら音楽、「目」なら美術品などに対して使われるでしょう。

「肥える」には「肉が増す・太る」という意味もありますから、美味しいものばかり食べて、舌が大きく肉厚になってしまったイメージでしょうか。いかにもグルメというか、食べ過ぎな感じまでありますね。

先に述べた通り「舌が肥える」では載っていない辞書もありました。日常的に使われるうちに、イメージに引っ張られて「口が肥える」から「舌が肥える」へと変化したのかもしれませんね。

\次のページで「「舌が肥える」の使い方・例文」を解説!/

「舌が肥える」の使い方・例文

「舌が肥える」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・大人になって仕事を頑張って、高級料理ばかり食べていたらすっかり舌が肥えてしまって、もう貧乏だったあのころには戻れない。

・友人の家庭は裕福で、子供は毎日ウナギにお寿司にステーキを食べているらしいけれど、あんなに小さいころから舌が肥えているのも考え物だ。

・外人のパートナーと結婚して憧れの海外生活になったけれど、日本食で舌が肥えていて、外国の食生活になかなかなじめなかった。

食の好みが贅沢である」「味覚が優れている」といったニュアンスが伝わりますでしょうか。文脈によって、良い意味でも悪い意味でも使うことができます。

たとえば「あの子は舌が肥えている」と言った場合。美術品の審美眼があるように、純粋にその才能を褒めているとも読めます。でももしかしたら、「毎日おいしいものばっかり食べてうらやましい」とか、「子供のくせに生意気だ」なんて思いが裏側にあるかもしれません。

言葉は、それを言う人の立場や状況によって意味が大きく変わるもの。読解問題などで見かけた場合は、どんな意図があるのかしっかりと読み取れるようにしましょう。「私は舌が肥えているから」なんて言い方は、そのつもりがなかったとしても、嫌味に取られてしまうでしょうね。

「舌が肥える」の類義語は?違いは?

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「舌が肥える」の類義語は「口が奢る(おごる)」などがあります。慣用句でなければ、「グルメ」「美食家」などと言ってもいいでしょう。

「口が奢る」

「口が奢る」は、「美味しいものばかり食べて、食の好みが贅沢になること」。「奢る」は「人におごってあげる、振舞う」の他に「贅沢をする」といった意味も。難読漢字ですが「豪奢(ごうしゃ)」「奢侈(しゃし)」といった熟語もあります。

「思いあがる」の「驕る」とも意味が似ており、「その人が他者より質の高いところにある」というニュアンスを含むことに注意。「ご飯を奢る」のが、基本的に目上の人から目下の人に対してなのも、そうした意味合いがあるからでしょう。

「舌が肥える」よりも、動作をする人の「目上」な感じが強調される言い方です。

\次のページで「「舌が肥える」の対義語は?」を解説!/

あの社長は口が奢っていて、お店で出された緑茶からコーヒーから全てに文句をつけていてとても不愉快だった。

「舌が肥える」の対義語は?

「舌が肥える」の対義語は「貧乏舌(びんぼうじた)」や「味音痴(あじおんち」が挙げられます。

「貧乏舌」「味音痴」

「貧乏舌」は「美味しいと不味いの区別がつかないこと。何を食べてもおいしいと言うこと」。「味音痴」は「美味しいかどうかの判断がつかないこと」。

「貧乏」「音痴」という言葉で「肥える」とは反対の意味になりますね。「音痴」は、音楽的な才能がないことを指すことが多い言葉ですが、転じて「何かの感覚が鈍い」という意味も。合わせて押さえましょう。

・子供時代からの癖でスナック菓子を毎日のように食べていたら、アラフィフになっても、食事のおいしさがわからない貧乏舌になってしまった。

・味音痴の彼女はとんでもない料理ばかり作るけれど、僕にとっては作ってくれる人がいるだけで感激で、毎日幸せだ。

「舌が肥える」の英訳は?

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「舌が肥える」の英語訳は「have a dainty tooth」がいいでしょう。

「have a dainty tooth」

「dainty」はあまり聞きなれない単語ですが、「食べ物などの好みがうるさい」という意味をもっています。「おいしい」「優美である」など良い意味もありますが、やや文語的な堅い表現で、現在はあまり使われていません。

「have a dainty tooth」で、そのまま「舌が肥える」の意味になるため、こうした言い方は英語圏でも古くから使われていたことがわかりますね。

\次のページで「「舌が肥える」を使いこなそう」を解説!/

She has a dainty tooth and chooses ingredients very carefully.
彼女は舌が肥えていて、食材もとても注意して選ぶ。

「舌が肥える」を使いこなそう

この記事では「舌が肥える」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「舌」の他に、「目」が「耳」が肥える。人は多くのものが経験を積んで成長すると考えてきたのですね。

それにしても「肥える=太る」というイメージもありますから、そのように豊かな才能を持つ人は、体つきも豊か、ということなのでしょうか?ちょっと偏見のような、わかるような、何とも言えないところです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「舌が肥える」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「舌が肥える」について解説する。

端的に言えば「舌が肥える」の意味は「味の良し悪しがわかること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「舌が肥える」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「舌が肥える」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「舌が肥える(したがこえる)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「舌が肥える」の意味は?

「舌が肥える」には、次のような意味があります。

「口が肥える」に同じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「舌が肥える」

いろいろなものを食べて、味のよしあしがよくわかるようになる。舌が肥える

出典:デジタル大辞泉(小学館)「口が肥える」

この言葉は「食物に対する好みが贅沢になること」「様々なものを食べたことで、味の判断ができるようになること」の意味を持つ慣用表現です。

「味覚が優れている」ならば誉め言葉ですが、文脈によってはネガティブなイメージになることも。使い方の項で確認してください。

また、引用の通り「口が肥える」という同じ意味の表現もあります。そのためか、辞書によっては「舌が肥える」で掲載されていないことも。調べたときに驚かないように、両方覚えてしまいましょう。

「舌が肥える」の語源は?

次に「舌が肥える」の語源を確認しておきましょう。これは特別な出典などはなく、言葉の意味から作られた例えの表現です。

「肥える」とは、「経験を積んだことで、良いもの・ことを見定められる力が付く」という意味を持っています。「舌が肥える」の他にも、「耳が肥える」「目が肥える」などの表現を聞いたことがあるかもしれませんね。「耳」なら音楽、「目」なら美術品などに対して使われるでしょう。

「肥える」には「肉が増す・太る」という意味もありますから、美味しいものばかり食べて、舌が大きく肉厚になってしまったイメージでしょうか。いかにもグルメというか、食べ過ぎな感じまでありますね。

先に述べた通り「舌が肥える」では載っていない辞書もありました。日常的に使われるうちに、イメージに引っ張られて「口が肥える」から「舌が肥える」へと変化したのかもしれませんね。

\次のページで「「舌が肥える」の使い方・例文」を解説!/

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