ずっと日本に住んでいて、日本の四季は美しいと思う。サクラの春、夏のヒマワリ、秋の紅葉、冬の寒さに負けない常緑樹。日本の四季のイメージには、植物が関わることもしばしばであると思う。花壇だけじゃなく、道端や街路樹などたくさんの植物をみかけることが多いでしょう。そんな様々な植物の葉の形、葉脈の形、ぱっと見ではわからない根や維管束の形をじっくり観察したことはあるか?一口に植物と言っても実に多様で、それをわかりやすく、葉脈、根、維管束の形などで分類している。大きく二つに分けて「双子葉類」と「単子葉類」が存在する。
これらのことを詳しく、ライターのmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

幼いころから地方の自然豊かな環境で育ってきたので、自然が大好き。もともと文系出身で、独学で生物学、分子生物学、微生物学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

植物の分類

image by iStockphoto

ここで言う植物は、陸上植物のことを指します。陸上植物には、大きく分けてコケ植物シダ植物種子植物の3種類がありますが、その中の種子植物について説明していきますね。

種子植物は、文字通り種子(たね)をつくる植物ですが、さらに種子植物の中で、胚珠(種子の前段階)が子房(果実の前段階)に覆われているかいないかで2種類に分かれます。胚珠が子房に覆われているものが被子植物胚珠がむき出しなのが裸子植物です。胚珠と子房の関係以外で異なる点があるので、そのことについて詳しく見ていきましょう。

被子植物とは

image by iStockphoto

上記でも説明しましたが、被子植物は胚珠が子房に覆われているものです。胚珠や子房はやがて成長し、種子と果実になります。例えば、果実といえば、リンゴや、ぶどう、モモなどが思い浮かぶでしょうか。トウモロコシやイネも種子が果実に覆われています。

しかしながら、被子植物の中でもリンゴ、ブドウ、モモは同じ仲間、トウモロコシとイネは別の仲間です。同じように種子が果実に覆われているのにどこで仲間分けをするのかというと、子葉(赤ちゃんの葉っぱ)、維管束、根の形で仲間分けをしています。被子植物をこれらの点でさらに分けると双子葉類単子葉類の2種類になりますよ。

植物の構造

ここからは植物の構造について説明していきます。

子葉・本葉について

子葉は、芽が出て最初に生える葉っぱを指します。単子葉類は1枚、双子葉類は2枚です。子葉は種子の中に格納されています。子葉の後に生えてくるのが本葉であり、本葉の形自体も違いますが、葉脈の形も違うのです。網目状に葉脈が張り巡らされているのが、双子葉類の特徴であり、これは網状脈(もうじょうみゃく)と言われていて、単子葉類の葉脈はまっすぐであり、これを平行脈と言われていますよ。

\次のページで「根っこについて」を解説!/

根っこについて

外目からはわからない、地中に埋まっている根っこの形も双子葉類、単子葉類で違います。

双子葉類は、主根と主根から伸びている側根がありますよ。単子葉類には主根、側根の区別はありません。ひげ根と呼ばれる根っこの形をしています。

維管束とは

維管束とは

image by Study-Z編集部

植物も生きるためには、水や栄養分がないといけません。水は根から吸収し、栄養分は主に葉っぱで、光を使ってつくられます。これが光合成です。水も栄養分も、管を通って植物の体全体に運ばれます。その管が集まったものが維管束と呼ばれますよ。

維管束は、根から水や肥料を運ぶ道管と、葉でできた栄養分を運ぶ師管とが集まっているところです。茎の維管束の並び方は2種類あり、ホウセンカなどの双子葉類は維管束が輪っかのように並んでいますよ。トウモロコシなどの単子葉類は維管束が散らばっています。補足ですが、どちらも葉にある維管束は、葉の表側に道管、裏側に師管がありますよ。

双子葉植物の例と単子葉植物の例

image by iStockphoto

双子葉類や単子葉類の特徴がわかったところで、それぞれどのような植物があるのか見ていきましょう。日ごろ目にする花や野菜、道端に生えている植物でそれぞれ分類してみましたよ。双子葉類植物も花びらの形でさらに2種類に分けることができるのですよ。花びらがすべてつながっているものを合弁花(ツツジなど)花びらが一枚ずつ分かれているものが離弁花(タンポポなど)です。合弁花、離弁花については別の記事で紹介しておりますので、そちらの方をご参照ください。

双子葉植物の例

image by iStockphoto

最初に、双子葉類にはどんな植物があるのか、いつくか代表的なものを紹介しますね。

・ヒマワリ

夏に大輪の黄色い花を咲かせます。キク科の一年草。

・サクラ

日本を代表するバラ科の植物。様々な品種の中では、白に近い薄いピンク色の花をつけるソメイヨシノが有名ですね。果実は、サクランボで食用にもなります。

・ホウセンカ

よく理科の実験で使用されるホウセンカ。暑さに強く、丈夫で育てやすいのが特徴です。

そのほかにも、アブラナ、エンドウ、アサガオなどがありますよ。

\次のページで「単子葉植物の例」を解説!/

単子葉植物の例

image by iStockphoto

次に、単子葉植物にはどんな植物があるのか、いくつか代表的なものを紹介します。

・ユリ

夏に花を咲かせるユリ。ヤマユリ、オニユリ、テッポウユリなどの品種があります。山岳地帯を含む森林や草原に自生することが多いですが、数種は湿地に自生しますよ。ユリ科には属していますが、上記ユリとは別の属に属しているものもありますよ。ウバユリ(ウバユリ属)、 クロユリ (バイモ属)など。

・トウモロコシ

イネ科の植物で、人間の食料や家畜の飼料になります。トウモロコシは、イネの仲間なのですよ。ちょっとびっくりですね。トウモロコシのデンプンは、お菓子の材料のコンスターチに、また今注目のエコ燃料のバイオエタノールの原料にもなっていて、様々な場面で使用されていますよ。

そのほかに、ツユクサ、ヤマイモ、ヤシ、オオカナダモ(中学校の理科の授業で見たことがあると思いますよ。)があります。

身近な植物を観察してみよう

被子植物は陸上の植物の大半を占め、陸上で多様化を最も示しています。被子植物の中でも葉、根、維管束の形状で双子葉類、単子葉類分けていますが、それでも多様な植物が属していますので、覚えるのは大変かと思いますよ。「種類を覚えなければ」というのをひとまず置いて、勉強部屋から外へ出てみましょう。大自然の中に行かなくても、いつもの通学路や通勤路の道端にたくさんの植物が生えていたことに気づくと思いますよ。街路樹や住宅に植えられているに庭木にも。根っこは見えませんが、葉や葉脈の形、花びらの形など今までとは違う視点で観察してみると、新たな発見があっておもしろいと思いますよ。

" /> 3分で簡単「双子葉類」「単子葉類」理系ライターがわかりやすく説明 – Study-Z
理科生物生物の分類・進化

3分で簡単「双子葉類」「単子葉類」理系ライターがわかりやすく説明

ずっと日本に住んでいて、日本の四季は美しいと思う。サクラの春、夏のヒマワリ、秋の紅葉、冬の寒さに負けない常緑樹。日本の四季のイメージには、植物が関わることもしばしばであると思う。花壇だけじゃなく、道端や街路樹などたくさんの植物をみかけることが多いでしょう。そんな様々な植物の葉の形、葉脈の形、ぱっと見ではわからない根や維管束の形をじっくり観察したことはあるか?一口に植物と言っても実に多様で、それをわかりやすく、葉脈、根、維管束の形などで分類している。大きく二つに分けて「双子葉類」と「単子葉類」が存在する。
これらのことを詳しく、ライターのmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

幼いころから地方の自然豊かな環境で育ってきたので、自然が大好き。もともと文系出身で、独学で生物学、分子生物学、微生物学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

植物の分類

image by iStockphoto

ここで言う植物は、陸上植物のことを指します。陸上植物には、大きく分けてコケ植物シダ植物種子植物の3種類がありますが、その中の種子植物について説明していきますね。

種子植物は、文字通り種子(たね)をつくる植物ですが、さらに種子植物の中で、胚珠(種子の前段階)が子房(果実の前段階)に覆われているかいないかで2種類に分かれます。胚珠が子房に覆われているものが被子植物胚珠がむき出しなのが裸子植物です。胚珠と子房の関係以外で異なる点があるので、そのことについて詳しく見ていきましょう。

被子植物とは

image by iStockphoto

上記でも説明しましたが、被子植物は胚珠が子房に覆われているものです。胚珠や子房はやがて成長し、種子と果実になります。例えば、果実といえば、リンゴや、ぶどう、モモなどが思い浮かぶでしょうか。トウモロコシやイネも種子が果実に覆われています。

しかしながら、被子植物の中でもリンゴ、ブドウ、モモは同じ仲間、トウモロコシとイネは別の仲間です。同じように種子が果実に覆われているのにどこで仲間分けをするのかというと、子葉(赤ちゃんの葉っぱ)、維管束、根の形で仲間分けをしています。被子植物をこれらの点でさらに分けると双子葉類単子葉類の2種類になりますよ。

植物の構造

ここからは植物の構造について説明していきます。

子葉・本葉について

子葉は、芽が出て最初に生える葉っぱを指します。単子葉類は1枚、双子葉類は2枚です。子葉は種子の中に格納されています。子葉の後に生えてくるのが本葉であり、本葉の形自体も違いますが、葉脈の形も違うのです。網目状に葉脈が張り巡らされているのが、双子葉類の特徴であり、これは網状脈(もうじょうみゃく)と言われていて、単子葉類の葉脈はまっすぐであり、これを平行脈と言われていますよ。

\次のページで「根っこについて」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: