この記事では「大なり小なり」について解説する。

端的に言えば「大なり小なり」の意味は「大小に拘わらず」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「大なり小なり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「大なり小なり」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「大なり小なり」の意味・使い方を見ていきましょう。

「大なり小なり」の意味は?

「大なり小なり」には、次のような意味があります。

大きくても小さくても。程度の差こそあれ。多かれ少なかれ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大なり小なり」

「大なり小なり」は、よく使われる慣用句ですが、意味を詳しく理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。たとえば、2人の男性社員がいたとしましょう。片方の男性は、いずれ独立して社長になることが夢です。もう片方の男性は、出世したいわけではなく、幸せな家庭を築き上げることが夢でした。規模は違っても、どちらの男性も立派な夢を持っていますよね。このような場合に「誰しも大なり小なり夢がある」と表現することができます。

また「程度の差こそあれ」という意味ですが、こちらも「大なり小なり」と同じ感覚で使って問題ないでしょう。たとえば、「私は将来大丈夫だろうか?」と「大なり小なり」人は不安になるものです。そのような場合に「程度の差こそあれ、将来に対して不安になるものですよね」などと表現するとよいでしょう。

「大なり小なり」の使い方・例文

「大なり小なり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「大なり小なり」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.人は、大なり小なり身勝手なところがあるものさ。

2.多く時間を費やして勉強したことは、大なり小なり大学合格に影響したと思う。

3.大なり小なり、部長は今回のプロジェクトに関与していたよ。

「大なり小なり」は、「大きかろうが小さかろうが」と変換して考えると分かりやすいのではないでしょうか。たとえば「人は大なり小なり幸運が訪れる」と表現したとしましょう。人によっては、宝くじ1等が当選するような幸運もあれば、駄菓子の当たりくじ程度の幸運もありますよね。大小に関わらず、どちらも幸運が訪れたことには変わりありません。

ほかにも、上司から注意を受けたとしましょう。優しく指摘されることもあれば、鬼の形相で怒鳴られることもありました。状況は違っても、「大なり小なり」注意を受けたことには変わりありません。状況が多少違ったとしても同じようなことを何度も経験した、もしくは、ある行動や人物が多少なりとも影響していると感じた場合に「大なり小なり」を使ってみてください。

「大なり小なり」の類義語は?違いは?

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では、「大なり小なり」の類義語や違いをみていきましょう。

「多かれ少なかれ」

「多かれ少なかれ」は「大なり小なり」と全く同じ使い方ができます。意味は「数量や程度に多少の差はあっても」ということ。多い少ないに関係なく、誰しもが同じようなことを思っている、同じような経験をしている場合などによく用いられます。たとえば、初めての仕事では、失敗はつきものですよね。そのような場合に「初めての仕事では、多かれ少なかれ失敗するものだ」などと使ってみてください。

「遅かれ早かれ」

「大なり小なり」は「大きさ」でしたが、「遅かれ早かれ」は「時間」になります。意味は「時期の遅い早いに違いはあっても」ということ。「いずれそのうちに」といった感覚で使うとよいでしょう。たとえば「遅かれ早かれ、返事はくるだろう」などと使うことができます。もしくは「遅かれ早かれ、人は命を落とすものだ」と哲学的な表現をする際に用いてもいいですね。

\次のページで「「いずれにしても」」を解説!/

「いずれにしても」

「いずれにしても」は、ビジネスでよく使われる言葉ではないでしょうか。ほかにも「いずれにせよ」や「どちらにしても」と表現することもあります。「いずれにしても」の意味は、「どの方法を選ぶにしても」もしくは「どうなったとしても」ということ。結論を急ぐ場合によく用いられると考えるとよいでしょう。たとえば、奮発して新しい車を買ったとします。友人に性能や燃費について熱く語りました。とにかく、最後に何が伝えたいかというと「いずれにしても、車を購入して良かった」ということになりますね。

ほかにも、大事な顧客に対して失礼なことをしてしまいました。菓子折りを持っていくべきか、それともすぐに電話して詫びるべきか悩むことでしょう。「いずれにしても」謝罪しなくてはいけません。選択肢があったとしても、結論が変わらない場合に「いずれにしても」を使ってみてください。

「大なり小なり」の対義語は?

「大なり小なり」は「程度の差があっても」という意味でした。どちらかということ、肯定する際に用いられているといえますね。反対の意味となると「差はない」もしくは「そうなるとは限らない」となるはずです。そこで今回は、「あながち」や「どれも一緒」といった意味合いで「大なり小なり」の対義語をみていきましょう。

「必ずしも」

「必ずしも」は、単独で使われることはありません。「必ずしも~であるとは限らない」というように、打消しの語を伴って「全てがそうであるとは限らない」といった一部を否定する気持ちを表す際に使われます。たとえば「大なり小なり面白い本が売れている」と肯定したとしましょう。しかし、「必ずしも」を使って「面白い本が必ずしも売れるとは限らない」と否定の文にすることも可能です。言い方を少し変えただけですが、本の売れ行きに対する印象が全く変わったのではないでしょうか。

「一緒くた」

「大なり小なり」は、しっかりと程度の差を踏まえたうえで使われます。対して「一緒くた」は「ごちゃまぜ」の状態といってよいでしょう。意味は、雑多なものを秩序なく混ぜ合わせてしまうこと。素材や味関係なく、全ての食材を一つの鍋でグツグツ煮込む姿を想像すると分かりやすいのではないでしょうか。鍋で煮ている食材のなかには、高級なものから安価なものまで様々。しかし、「一緒くた」に煮込んでしまったら味の違いなどわかりません。

物事も同じだといってよいでしょう。たとえば、大量の情報から一つにまとめた資料と、少ない情報から一つにまとめた資料。どちらも必要な資料ではありますが、手間が全く違いますよね。それを「一緒くた」に扱われたら悲しいのではないでしょうか。せめて「大なり小なり資料は重要だ」と言われたほうが報われるはずです。

「大なり小なり」の英訳は?

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では、「大なり小なり」を英語訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「more or less」

「more or less」は「大なり小なり」というよりは「多かれ少なかれ」に近い表現ではないでしょうか。「more or less」は直訳すると「だいたい」や「多少」という意味になります。「大なり小なり」をそのまま英語にしたような単語は存在しないので、意味の「程度の差はあれ」を英訳するようにしましょう。「Everyone is more or less vain」といえば「誰しも大なり小なりうぬぼれたところがある」と伝えることができますね。

\次のページで「「to some extent」」を解説!/

「to some extent」

「extent」は「程度」や「範囲」という意味。「to some extent」で「ある程度まで」という意味になります。「大なり小なり」とは少しニュアンスが異なるかもしれませんが、「たぶんそうであろう」という考え方は同じではないでしょうか。たとえば「話には大なり小なり嘘はあるものだ」と「話はある程度本当だよ」では、感じ方はほぼ同じになるはずです。「The story is true to some extent」といえば「その話は大なり小なり本当だよ」と伝えることができるでしょう。

「大なり小なり」を使いこなそう

この記事では「大なり小なり」の意味・使い方・類語などを説明しました。「大なり小なり」は、どのような物事や人物に対しても平等に扱っている慣用句といえます。どういうことかと言いますと、「大なり小なり経験は必要だ」といえば、小さな経験と大きな経験、「どちらも貴重な経験であることには変わりない」と伝えていることになりますよね。私達は、どうしても巨大な組織や莫大な金額など、大きなものに価値があると思いがちです。しかし、小さな気づきや些細な失敗も、人生をふと振り返ってみれば、意味があったのだと思えるのではないでしょうか。

点と点が繋がるように、「大なり小なり」苦い経験をしてきたからこそ、不測の事態でも焦らず対応できるというものです。「無駄な経験などない」という思いを込めて、ぜひ「大なり小なり」を会話に取り入れてみてください。

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【慣用句】「大なり小なり」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「大なり小なり」について解説する。

端的に言えば「大なり小なり」の意味は「大小に拘わらず」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「大なり小なり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「大なり小なり」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「大なり小なり」の意味・使い方を見ていきましょう。

「大なり小なり」の意味は?

「大なり小なり」には、次のような意味があります。

大きくても小さくても。程度の差こそあれ。多かれ少なかれ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大なり小なり」

「大なり小なり」は、よく使われる慣用句ですが、意味を詳しく理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。たとえば、2人の男性社員がいたとしましょう。片方の男性は、いずれ独立して社長になることが夢です。もう片方の男性は、出世したいわけではなく、幸せな家庭を築き上げることが夢でした。規模は違っても、どちらの男性も立派な夢を持っていますよね。このような場合に「誰しも大なり小なり夢がある」と表現することができます。

また「程度の差こそあれ」という意味ですが、こちらも「大なり小なり」と同じ感覚で使って問題ないでしょう。たとえば、「私は将来大丈夫だろうか?」と「大なり小なり」人は不安になるものです。そのような場合に「程度の差こそあれ、将来に対して不安になるものですよね」などと表現するとよいでしょう。

「大なり小なり」の使い方・例文

「大なり小なり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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