「一言芳恩」
もう一つの類義語には、「一言芳恩(いちごんほうおん)」があります。ちょっと声をかけてもらったことに対して忘れずに感謝するという意味です。「一言」はひとことやちょっとした言葉のこと、「芳恩」は人から受けた親切や恩義についての敬称を表していますよ。
「一言芳恩」はちょっとした言葉に対する反応であることや感謝するという意味まで含まれている点では、「拳拳服膺」に比べて意味の幅は広くなっていると言えます。
「拳拳服膺」の対義語は?
次に、「拳拳服膺」の対義語についての説明です。決して忘れないという「拳拳服膺」の対義語として、忘れてしまったり、そもそも頭に入らないという四字熟語を見ていきましょう。
「馬耳東風」
「拳拳服膺」の対義語には、「馬耳東風(ばじとうふう)」があります。意味は、周囲の意見や批判をまったく気に留めず聞き流すことです。「東風」は春に吹く心地よい春風のことで、馬の耳には心地よい春風が吹いても何も感じないということからきています。
また、そこから他人の忠告や批判を聞いたとしても、少しも反省がなかったり、無関心で反応がないという意味にもつながっていますよ。
「貴人多忘」
もう一つの対義語には、「貴人多忘(きじんたぼう)」があります。高い地位を得たり人の上に立つようになると、傲慢になって過去のことを忘れてしまうことが多いという意味です。「貴人」は身分の高い人のこと、「多忘」はよく物忘れすることを表しています。
「貴人多忘」はよく忘れるということですから、いつも心にとめて決して忘れないようにするという「拳拳服膺」とは完全に反対の意味になっていますね。
「拳拳服膺」の英訳は?
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最後に、「拳拳服膺」の英訳についての説明です。「拳拳服膺」そのものを表すような特別な表現はありませんが、意味が近い英語表現について一緒に見ていきましょう。
「firmly bear in mind」
「拳拳服膺」の英訳には、「firmly bear in mind」があります。直訳すると「しっかりと心にとめておく」です。「心にとめておく、覚えておく」という意味の「bear in mind」に、「堅く、堅固に、しっかりと」という意味の「firmly」を組み合わせた表現になっています。
ほかには、「and never forgetting」を付け足して「しっかり心にとめて忘れないこと」とすると、強調した表現になりますよ。表現を限定的に考えず、場面に合わせて微調整するといいですね。
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