この記事では「面倒を見る」を解説する。
「面倒を見る」とは「人の世話をする」という意味ですが、「面倒」と「世話」はどう違うのか。例えば介護施設、職員が利用者に対し「あなたの面倒見ます」はちょっとおごっていて失礼になるでしょう、どうしてか。詳しい意味や使い方を知って「面倒を見る」を使いこなせるようになろう。
今回、語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んです。一緒に説明していく。

ライター/小島 ヨウ

言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。

「面倒を見る」の意味・使い方

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赤ちゃんや幼い妹弟また老齢の祖父母に対し、衣食住、生活の補助をすることを総称して「面倒を見る」と表現します。おなじみの言葉ですが、そもそも「面倒」とはどういう意味でしょうか。詳しい意味や使い方を確認していきましょう。

「面倒を見る」の意味

辞書で調べたところ「面倒を見る」は「世話をする」、「世話をする」が「面倒をみる」意味と出てきてしまいました。そこで「面倒」と「世話」の意味を検索します。

1.手間がかかったり、解決が容易でなかったりして、わずらわしいこと。また、そのさま。
2.世話。
3.体裁がわるいこと。見苦しいこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)【面倒】めんーどう より

「する」(名)
1.面倒をみること。尽力すること。
2.間に立って斡旋 (あっせん) すること。取り持つこと。
3.手数がかかってやっかいであること。面倒であること。
4.世間の人がする話。世間の言いぐさや慣用の言葉。また、日常語や俗語。
5.通俗的、また庶民的であること。
6.「世話物」の略。

[補説]1~3は「せわ(忙)しい」の「せわ」からか。

(形動)
・手数がかかるさま。面倒だ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)【世話】せーわ より

「面倒」と「世話」を調べてみても、同じような意味がかかれていますね。「面倒を見る」の「見る」はそのことに当たる、取り扱うなどの意味なので、「面倒を見る」とは手間がかかってわずらわしいことを担当するということになります。

「面倒」の語源

「面倒」の語源の説はいくつかあり、感心する意の「めでる」から、また「めったい」「めんたい」という感謝の言葉からというもの。そして「目(め)どうな」の音変化の説が有力です。「どうな」とはむだなことで、「目どうな」とは見るだけむだなこと。これに「面倒」と漢字が当て字されました。見るだけむだなことを見ることが「面倒を見る」ならば、皮肉のように感じますね。

「面倒を見る」の使い方・例文

意味を把握したところで、使ってみましょう。

1.両親共働きなので、長男の彼が幼い妹弟の面倒を見た。
2.骨折した祖母の面倒を見るために、母は休職した。
3.主任の彼が新入社員の面倒を見ることになった。

1.2.の例文は、両親の都合または怪我で、長子や主婦が自己犠牲的に家族の「面倒を見る」ことになりました。3.の例文も、年上の彼が新人の教育担当となったのはけして自主的ではなく、命令または上司の指示があったからでしょう。

「面倒」はわずわしいもろもろの雑務とマイナスのイメージ。「面倒」を見る人は家族、または相手よりも年上でやむを得ず、手間のかかる仕事を引き受けるニュアンスがあります。ですから「〇〇の面倒を見ている」と言うと「大変でしょう」という相づちが返ってくるのです。

\次のページで「「面倒を見る」の類義語は」を解説!/

「面倒を見る」の類義語は

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それでは手間を引き受ける意味で別の言葉を紹介しましょう。

「世話をする」:面倒を見ること

世話」は相手に良かれと思って自主的に助力・支援するニュアンスです。する人される人の上下関係を気にすることなく使える言葉で「舞台に立つ女優の世話をする」「老いた先生のお世話をした」と使います。

しかしながら。良かれと思ってしても「余計なお世話!」と言われることもあるでしょう。あれこれ手をかけすぎて、子供がわがままになったり、花や野菜が枯れてしまったりすることも。世話焼きもほどほどに。

「厄介(やっかい)になる」:生活の面倒をみてもらう

「厄介」も面倒なこと、わずらわしいことの意味です。「厄介になる」は世話を見てもらう、居候(いそうろう)になるの意味となります。使い方は「離婚して、実家に厄介になっている」「万引きして警察の厄介になった」などです。

「面倒を見る」の対義語は何だろう

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「面倒を見る」の反対の言葉は「面倒を見ない」こと。相手に対して何もしない・あまりしない意味の言葉を二つ挙げます。

「放置」:そのままにしておく

「放置」とは、しなくてはいけないことでも対応せずそのままにしてほうっておくこと、ほったらかすことです。「果物を放置していたらカビが生えた」「放置していた自転車を盗まれた」と使われます。例文でもわかるように、放置した物事は悪い方に向かうことが多いですね。

「おろそか」:いいかげんにすませる

「おろそか」は漢字で「疎か」と書き、いいかげんにしたり軽く済ませたりして、真面目に取り組まないことです。ほかにも簡素・まばら・おとっている意味があります。使い方は「英語の上達には、国語をおろそかにしてはいけない」「お肌の手入れをおろそかにしてシミが出来た」などです。

\次のページで「「面倒を見る」の英訳は「take care of」と「look after」どっち?」を解説!/

「面倒を見る」の英訳は「take care of」と「look after」どっち?

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「面倒を見る」は単語を組み合わせた「句動詞」を使って表現するのが一般的。代表的なのは「take care of」と「look after」ですね。米国英国で使われ方、ニュアンスが多少違うようですが、どちらも使われます。愛情深めで子供やペットに対するイメージの「take care of」は世話をする、時に責任感のある「look after」を面倒を見るとして、ここでは「look after」を紹介しましょう。

「look after」:面倒を見る

導入でも紹介しましたが「look after」は時に責任感を伴い、日常的長期的なお世話に対して使うことが多いようです。また物に対しても使われ、管理する・手入れするなどの意味にもなります。例文で確認しましょう。

・She has to look after her aged parents.
(彼女は老いた両親の面倒を見なければならない)
・I look after myself.
(自分のことは自分でします)
・He is looking after the finance department.
(彼は財務部を管理している)

「面倒を見る」人は責任をもって当たりましょう

この記事では「面倒を見る」の意味・使い方・類語などを説明しました。手間がかかりわずらわしいことを担当すること、類義語は「世話をする」、対義語は「放置」、英語は「look after」を使うことが分かりましたね。

家族の世話だけでなく部下や後輩、ペットでも。任されたからには最後まで責任を持つ、それが「面倒を見る」ことだと思います。

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国語言葉の意味

「面倒を見る」の「面倒」ってそもそも何?「世話」とどう違う?意味や使い方・類義語などを語学系主婦ライターがわかりやすく解説

この記事では「面倒を見る」を解説する。
「面倒を見る」とは「人の世話をする」という意味ですが、「面倒」と「世話」はどう違うのか。例えば介護施設、職員が利用者に対し「あなたの面倒見ます」はちょっとおごっていて失礼になるでしょう、どうしてか。詳しい意味や使い方を知って「面倒を見る」を使いこなせるようになろう。
今回、語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んです。一緒に説明していく。

ライター/小島 ヨウ

言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。

「面倒を見る」の意味・使い方

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赤ちゃんや幼い妹弟また老齢の祖父母に対し、衣食住、生活の補助をすることを総称して「面倒を見る」と表現します。おなじみの言葉ですが、そもそも「面倒」とはどういう意味でしょうか。詳しい意味や使い方を確認していきましょう。

「面倒を見る」の意味

辞書で調べたところ「面倒を見る」は「世話をする」、「世話をする」が「面倒をみる」意味と出てきてしまいました。そこで「面倒」と「世話」の意味を検索します。

1.手間がかかったり、解決が容易でなかったりして、わずらわしいこと。また、そのさま。
2.世話。
3.体裁がわるいこと。見苦しいこと。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)【面倒】めんーどう より

「する」(名)
1.面倒をみること。尽力すること。
2.間に立って斡旋 (あっせん) すること。取り持つこと。
3.手数がかかってやっかいであること。面倒であること。
4.世間の人がする話。世間の言いぐさや慣用の言葉。また、日常語や俗語。
5.通俗的、また庶民的であること。
6.「世話物」の略。

[補説]1~3は「せわ(忙)しい」の「せわ」からか。

(形動)
・手数がかかるさま。面倒だ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)【世話】せーわ より

「面倒」と「世話」を調べてみても、同じような意味がかかれていますね。「面倒を見る」の「見る」はそのことに当たる、取り扱うなどの意味なので、「面倒を見る」とは手間がかかってわずらわしいことを担当するということになります。

「面倒」の語源

「面倒」の語源の説はいくつかあり、感心する意の「めでる」から、また「めったい」「めんたい」という感謝の言葉からというもの。そして「目(め)どうな」の音変化の説が有力です。「どうな」とはむだなことで、「目どうな」とは見るだけむだなこと。これに「面倒」と漢字が当て字されました。見るだけむだなことを見ることが「面倒を見る」ならば、皮肉のように感じますね。

「面倒を見る」の使い方・例文

意味を把握したところで、使ってみましょう。

1.両親共働きなので、長男の彼が幼い妹弟の面倒を見た。
2.骨折した祖母の面倒を見るために、母は休職した。
3.主任の彼が新入社員の面倒を見ることになった。

1.2.の例文は、両親の都合または怪我で、長子や主婦が自己犠牲的に家族の「面倒を見る」ことになりました。3.の例文も、年上の彼が新人の教育担当となったのはけして自主的ではなく、命令または上司の指示があったからでしょう。

「面倒」はわずわしいもろもろの雑務とマイナスのイメージ。「面倒」を見る人は家族、または相手よりも年上でやむを得ず、手間のかかる仕事を引き受けるニュアンスがあります。ですから「〇〇の面倒を見ている」と言うと「大変でしょう」という相づちが返ってくるのです。

\次のページで「「面倒を見る」の類義語は」を解説!/

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