この記事では「時間を割く」について解説する。

端的に言えば「時間を割く」の意味は「忙しい中で、ある事のために時間を使うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「時間を割く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「時間を割く」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「時間を割く」の意味・使い方を見ていきましょう。

「時間を割く」の意味は?

「時間を割く」には、次のような意味があります。

余裕のない時間を都合つけて、あることのためにふり向ける。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「時間を割く」

「割く」の読み方は「さく」となりますので、間違えないように注意してください。「時間を割く」は、お店に行列ができていたとして、列の途中から横入りするような状況を想像すると分かりやすいのではないでしょうか。「割く」という言葉自体に、スケジュールの一部を他の用事に充てるという意味があります。そのため、忙しいなかで、他のことのために時間を空けることを「時間を割く」と表現するようになりました。

「時間を割く」の使い方・例文

「時間を割く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「時間を割く」の類義語は?」を解説!/

1.僕のために時間を割いてくれてありがとう。

2.仕事だけでなく、もう少し趣味に時間を割きたいな。

3.プレゼンをしたいので、どうにか時間を割いていただけませんか。

「時間を割く」は、ビジネスでもよく使われる慣用句です。仕事では、取引先やお客様都合での予定変更は日常茶飯事。優先事項を確認したうえで、時間を割いて会わなければいけません。だからこそ、自分の都合に合わせてもらった場合は、「時間を割いてくれてありがとう」とお礼として使うことができます。また、大切な業務に時間をもっと費やして欲しいと思っているならば、「この業務にもっと時間を割くべきだ」と主張する際に使ってもよいでしょう。

ほかにも、急用で相手に予定を空けておいて欲しい場合、「どうにか時間を割いていただけませんか」とお願いとして使っても問題ありません。「時間を割く」は、相手が忙しいと分かっているからこそ、貴重な時間をいただいたことへの感謝の気持ちが込められているといえます。相手に対して「無理をいって申し訳ないな」と思っているならば、「時間を割く」を使って気持ちを表現してみてください。

「時間を割く」の類義語は?

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では、「時間を割く」の類義語をみていきましょう。

「繰り合わせる」

「繰り合わせる」の意味は、仕事や時間の都合をつけること。もしくは、上手くやり繰りすることを「繰り合わせる」と表現する場合もあります。では、なぜ「都合をつけること」を「繰り合わせる」というのでしょうか。諸説ありますが、糸などをたぐって巻き取ることを「繰り合わせる」ということから転じて、都合を合わせることに対しても用いられるようになりました。使い方としては、「都合をつけて」と同じ感覚で「繰り合わせて参加する」と表現するとよいでしょう。

「合間を縫う」

「合間を縫(ぬ)う」は、よく使われる方が多いのではなないでしょうか。意味は、物事がとぎれた短い時間を活用すること。たとえば、次の打ち合わせまで少し時間があるとしましょう。「打ち合わせの合間を縫って、小休憩に行ってきた」などと表現することができますね。ほかにも、建物の切れ目を通って移動したことを、「瓦礫の合間を縫って救助活動を進めた」という表現でも問題ありません。

「合間」は、「物事がとぎれる間の時間」もしくは「物と物との間」という2つの意味があります。そのため「合間」を、「切れ目」や「すき間時間」と捉えれば使いやすいはずですよ。

\次のページで「「やりくり」」を解説!/

「やりくり」

「やりくり」は、家計を管理している人ならば、何度も使う言葉かと思います。意味は、不十分なものを工夫して都合をつけること。無駄を減らして、必要なものに対してお金をまわすなど、家計のやりくりは欠かせません。しかし、やりくりはお金に限らず「時間」に対しても使うことができます。たとえば「なんとか時間をやりくりして、予定に間に合わせよう」などと表現できますね。

「時間を割く」の対義語は?

「時間を割く」の意味は「あることのために都合をつけること」でした。忙しいなかで、時間を有効に使うわけですから、有意義な時間の使い方といえますね。「時間を有効に使う」の反対となると「時間を無駄に使う」となるはずです。そこで今回は、「時間を有効に使えない」もしくは「都合がつかない」といった意味合いで「時間を割く」の対義語をみていきましょう。

「時間潰し」

ちょっとした空き時間を、動画視聴などで暇潰しする方も多いのではないでしょうか。意味は、空いた時間をちょっとしたことで埋めること。たとえば、長い休暇で時間を持て余していたとしましょう。「時間潰しにカフェにでも行こう」と、表現することができますね。ただし、「時間潰し」はほかにも、無駄に時間を費やすという意味もあります。「忙しいのに、そんなことで時間潰しはしていられない」などと使うとよいでしょう。時間を割いてもらえるなら良いですが、「時間潰しだ」と言われないように注意したいところですね。

「間が悪い」

時間を割いてもらえるようにお願いに行ったら、「間が悪かった」ということもあるでしょう。「間が悪い」には、2つの意味があります。1つ目は、その場にいづらい場合。「苦手な人と出会って、間が悪い思いをした」と使うことができます。2つ目は、タイミングが良くないこと。「折(おり)が悪い」と表現する場合もあります。たとえば、先輩に急用があって話しかけるため近づいたとしましょう。すると、先輩は上司に呼び出されて席を離れてしまいました。このような状況が「間が悪い」といえますね。

「時間稼ぎ」

「時間稼ぎ」の意味は、自分が有利な状況になるまで、進行を遅らせるなどして時間を費やすこと。「時間を割く」なら良いですが、都合が合わないように「時間稼ぎ」されたら寂しいものです。ただし、スポーツなどで敵に勝つためには、戦略的に「時間稼ぎ」することも必要ではないでしょうか。「時間稼ぎ」は、相手の時間を無駄に奪うことで、自分にとって優位な立場を得ることができます。たまになら問題がありませんが、「時間稼ぎ」はほどほどにしておきましょう。

「時間を割く」の英訳は?

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では、「時間を割く」を英語訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

\次のページで「「spare time」」を解説!/

「spare time」

spare time」は直訳すると「空き時間」という意味。「spare(スペア)」は、よく「予備」として使われていますが、ほかにも「惜しむ」や「割く」といった意味があります。そのため「to」や「for」といった単語を組み合わせることによって 「時間を割く」として使うことができるでしょう。たとえば、「no」を使って「I have no time to spare」といえば「私は時間を割くことはできない」と否定分として表現することができますね。

「take time out」

「時間を割く」は「(あなたのために)時間をつくる」ということでもあります。「take time out」は直訳すると「時間をつくる」となり、「時間を割く」として使うことができるでしょう。「時間を割いていただきありがとうございます」を英訳するならば「Thank you for taking time out of your heavy schedule」と表現してもよいでしょう。

「時間を割く」を使いこなそう

この記事では「時間を割く」の意味・使い方・類語などを説明しました。学生の頃は「時間割」があったため、全ての予定が最初に決められていたといえます。しかし、社会人となれば、自分でスケジュールをたて、優先順位を決めて時間を割いていかなくてはいけません。「時間を割く」は、お礼の言葉として使うだけでなく、何に対してもっと時間を費やすべきか、問題提起として使ってもよいでしょう。

当然のことではありますが、時間には限りがあり、お金で買えるものではありません。24時間という限られた時間を有効に使うためにはどうしたらいいか、「時間を割く」を使って考えてみてはいかがでしょうか。

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【慣用句】「時間を割く」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「時間を割く」について解説する。

端的に言えば「時間を割く」の意味は「忙しい中で、ある事のために時間を使うこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「時間を割く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「時間を割く」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「時間を割く」の意味・使い方を見ていきましょう。

「時間を割く」の意味は?

「時間を割く」には、次のような意味があります。

余裕のない時間を都合つけて、あることのためにふり向ける。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「時間を割く」

「割く」の読み方は「さく」となりますので、間違えないように注意してください。「時間を割く」は、お店に行列ができていたとして、列の途中から横入りするような状況を想像すると分かりやすいのではないでしょうか。「割く」という言葉自体に、スケジュールの一部を他の用事に充てるという意味があります。そのため、忙しいなかで、他のことのために時間を空けることを「時間を割く」と表現するようになりました。

「時間を割く」の使い方・例文

「時間を割く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「時間を割く」の類義語は?」を解説!/

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