この記事では「是非曲直」について解説する。

端的に言えば是非曲直の意味は「物事の善悪や正しいことと不正なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「是非曲直」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「是非曲直」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「是非曲直」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ぜひきょくちょく」です。見た目が似た表現の多い四字熟語ですが、意味や語源など詳しくチェックしていきますよ。

「是非曲直」の意味は?

「是非曲直」には、次のような意味があります。まずは、辞書の意味を確認して、正確な意味をつかんでおきましょう。

1.物事の善悪、正不正のこと。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「是非曲直」

四字熟語の漢字一文字ずつの意味を見ていくと、「是」は正しいこと、「非」は正しくないことを表しており、道理にかなっていることとはずれていることについての対になる表現です。続いて、「曲」は曲がったこと、「直」はまっすぐなことであり、不正なことと正しいことなどの物事の正邪を表しています。

「是非曲直」の語源は?

次に「是非曲直」の語源を確認しておきましょう。

「是非曲直」は、中国後漢時代の思想家の王充(おうじゅう)が著した『論衡(ろんこう)』の説日篇に由来します。『論衡』は30巻85篇からなる書物で、これまでの儒学的な思想とは違い合理的に物ごとを究めようとする立場で書かれたものであり、当時としては画期的な思想書であり評論書でもありました。

その中に「二論各々見る所有り、故に是非曲直、未だ定まる所有らず」とあり、意味は「この二つの議論はいずれも道理がかなっており、なかなかどちらがよいとは言い切れない」となっています。

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「是非曲直」の使い方・例文

「是非曲直」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。あわせて文法的な目線でもチェックしていきますよ。

1.物事に批判したり物事を判断することができるのは、是非曲直をわきまえてこそだ。
2.是非曲直は本来普遍のものだが、文化や教育、環境によって違いがでることもある。

例文1.は、物事を批判したり判断したりすることができるのは、物事の善悪や正不正を身に着けているからだということを表しています。例文2.のほうは、物事の善悪や正不正はみんなの共通認識であることが望ましいが、文化や教育、環境によっては温度差が出ることもあるという文です。

文法的に見ると、例文1.は「是非曲直を…」、例文2.は「是非曲直は…」となっており、いずれも名詞のカタマリとして使用しています。

「是非曲直」の類義語は?違いは?

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それでは、「是非曲直」の類義語についての説明です。非常に近い意味の四字熟語が複数あるので、そのうちいくつかについて詳しく見ていきましょう。

「理非曲直」

「是非曲直」の類義語には、「理非曲直(りひきょくちょく)」があります。意味は、道理にかなっていることとはずれていること、正しいことと間違っていることです。

「是非曲直」とは漢字一文字違いですが、「是」ではなく「理」となっていることで、道理の意味合いが強くなっています。道理に照らし合わせて、合うか合わないか、正しいか正しくないかというニュアンスがありますよ。

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「是是非非」

もう一つの類義語には、「是是非非(ぜぜひひ)」があります。正しいことと悪いことをそのまま認めることや公正に善悪を判断することという意味です。「是」は正しいこと、「非」は正しくないことで、「是を是とし非を非とす」と訓読します。

客観的であることや私情を交えないことをやや強調した意味合いがありますよ。また、「是非曲直」に対して、「是是非非」のほうは正しいことと正しくないことを判断するところまでが意味に含まれています。

「是非曲直」の対義語は?

次に、「是非曲直」の対義語についての説明です。考え方やとらえかたによって対義語は違ってくることはありますが、例として二つの対義語を一緒に見ていきましょう。

「邪正一如」

「是非曲直」の対義語には、「邪正一如(じゃしょういちにょ)」があります。意味は、邪と正はもとを正せば同じところからでていて、結局同一のものであるということです。「一如」とは一つであるということを表しています。

「邪正一如」は仏教語であり、同じく仏教語の「善悪不二(ぜんあくふに)」も似た意味の言葉となっていますよ。

「玉石同砕」

もう一つの類義語には、「玉石同砕(ぎょくせきどうさい)」があります。善悪、賢愚の区別なく全て滅びなくなることという意味です。「玉石同(とも)に砕く」と訓読し、宝石も石ころも同じように砕けてなくなってしまうということがもとになっています。

善と悪の区別をしたところで全てなくなってしまうのはどちらも同じということから、対義語として紹介しました。

「是非曲直」の英訳は?

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最後に、「是非曲直」の英訳についての説明です。言語は違いますが、キーワードとなる単語を使った意味が近い表現について見ていきましょう。

「rights and wrongs」

「是非曲直」の英訳には、「rights and wrongs」があります。直訳すると「正しいことと悪いこと」です。「曲直」として使ったり、「白黒はっきりさせる」という場合の「白黒」の部分で使うこともできます。また、後ろに「of a case」をセットにして使うこともありますよ。

その他、「relative merits」があります。「優劣」という意味で使われることが多いのですが、場面によって使い分けられるよう複数の表現を用意できているといいですね。

\次のページで「「是非曲直」を使いこなそう」を解説!/

「是非曲直」を使いこなそう

今回の記事では「是非曲直」の意味や使い方、類語などを説明しました。

「是非曲直」の基本の意味は、物ごとの正邪や善悪、正不正のことです。類義語で紹介した「理非曲直」や「是非善悪(ぜひぜんあく)」という表現もほぼ同じ意味で使うことができ、とくにどの表現がおすすめということはなくどの表現でも言い換えることができます。

対義語については、二つのことは切り離すことができないという意味の「表裏一体(ひょうりいったい)」という四字熟語もありますよ。こちらのほうは、善悪などに限定されず事実や人の性格などあらゆる事柄に使うことができる表現です。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「是非曲直」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

「是是非非」

もう一つの類義語には、「是是非非(ぜぜひひ)」があります。正しいことと悪いことをそのまま認めることや公正に善悪を判断することという意味です。「是」は正しいこと、「非」は正しくないことで、「是を是とし非を非とす」と訓読します。

客観的であることや私情を交えないことをやや強調した意味合いがありますよ。また、「是非曲直」に対して、「是是非非」のほうは正しいことと正しくないことを判断するところまでが意味に含まれています。

「是非曲直」の対義語は?

次に、「是非曲直」の対義語についての説明です。考え方やとらえかたによって対義語は違ってくることはありますが、例として二つの対義語を一緒に見ていきましょう。

「邪正一如」

「是非曲直」の対義語には、「邪正一如(じゃしょういちにょ)」があります。意味は、邪と正はもとを正せば同じところからでていて、結局同一のものであるということです。「一如」とは一つであるということを表しています。

「邪正一如」は仏教語であり、同じく仏教語の「善悪不二(ぜんあくふに)」も似た意味の言葉となっていますよ。

「玉石同砕」

もう一つの類義語には、「玉石同砕(ぎょくせきどうさい)」があります。善悪、賢愚の区別なく全て滅びなくなることという意味です。「玉石同(とも)に砕く」と訓読し、宝石も石ころも同じように砕けてなくなってしまうということがもとになっています。

善と悪の区別をしたところで全てなくなってしまうのはどちらも同じということから、対義語として紹介しました。

「是非曲直」の英訳は?

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最後に、「是非曲直」の英訳についての説明です。言語は違いますが、キーワードとなる単語を使った意味が近い表現について見ていきましょう。

「rights and wrongs」

「是非曲直」の英訳には、「rights and wrongs」があります。直訳すると「正しいことと悪いこと」です。「曲直」として使ったり、「白黒はっきりさせる」という場合の「白黒」の部分で使うこともできます。また、後ろに「of a case」をセットにして使うこともありますよ。

その他、「relative merits」があります。「優劣」という意味で使われることが多いのですが、場面によって使い分けられるよう複数の表現を用意できているといいですね。

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