今回は「光合成」について詳しく勉強していこう。ヒトや動物は食事をすることで栄養を補給するよな。植物はいわゆる「ご飯」ではなく、光合成によって自ら栄養をつくり出すんです。

そこで今回は植物の生命維持活動について化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。「わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなる!」を合言葉にまずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.光合成とは

image by iStockphoto

光合成(こうごうせい)とは、植物や植物プランクトン、藻類などが日光からエネルギーを生成する生化学反応のことをいいます。太陽光から得られる光エネルギーを使い、水と二酸化炭素からデンプンなどの炭水化物を合成する反応です。

この炭水化物は植物の構成成分になるだけでなく、植物が生きていくうえでのエネルギー源となります。植物は動物のエサになったり、ヒトにとっての大切な栄養源であることは言うまでもありませんが、生成物として酸素が生じることからも非常に重要な反応ですね。

2.光合成に必須なものは?

それでは、光合成に必要不可欠な要素を見ていきましょう。まずは反応物と光合成がおこる条件について解説します。

2-1.水

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植物も動物も、生きていくうえで欠かせないのが水ですね。多くの植物は自然界の水の循環の中で雨や地下水を根から吸収していますが、空気中の水蒸気を多く含む熱帯雨林などで育つ植物は葉からも水分を吸収できるように進化しました。

植物の種類によっては水分量が多いとかえって根がダメになってしまう品種があったり、組織内に水を蓄えておくことで水がほぼない環境でも育つ品種があったり、地下深くまで根を伸ばすことで水をなんとか得ようとする植物もあります。いずれにしても、水は植物にとって重要な物質ということですね。

2-2.二酸化炭素

温室効果の高いとされる二酸化炭素ですが、植物は光合成のためにこれを吸収してくれるとあって、植物の環境への役割は非常に大きいと知られています。産業技術が発達し、工場やゴミ処分場、車の排気などによって大気中に排出される二酸化炭素は年々増えていますよね。

しかし地球の約1割を占めるという森林などの植物がこの二酸化炭素を吸収してくれるだけでなく、生成物として酸素をつくり出してくれることを忘れてはいけないでしょう。植物のはたらきによって空気中に含まれる気体の割合がキープされているといっても過言ではありません。それにもかかわらず、森林伐採や森林火災によって毎年広大な面積の森が消失しています。植物の保護というのがこれからも私たちにとっての課題になりそうですね。

2-3.日光

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光合成はひかりごうせいともよばれ、太陽の光が重要になる反応です。植物は光エネルギーをエネルギー源にすることで水と二酸化炭素から別のエネルギーを生成することができます。植物を育てるときには日当たりが重要になるということですね。

ほとんどの植物は日光なしでは生きていけません。しかし植物によって必要な水の量や水を得るための進化が異なったように、直射日光を嫌う品種や風通しのいい場所が向いている品種もあります。もし植物を育てる機会があれば、日当たりに対する種ごとの特徴についても注目してみるとよさそうですね。

\次のページで「2-4.葉緑体」を解説!/

2-4.葉緑体

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最後に1つ、重要なものを忘れてはいけませんね。植物は光合成色素という光合成を行うための組織を持っています。この色素が葉緑体(ようりょくたい)です。その中に含まれるのがクロロフィルという色素であり、葉緑素(ようりょくそ)ともいわれていますよ。植物が緑色に見えるのは、葉緑体が太陽光に含まれる赤色光と青色光を吸収し、緑色光を反射するからだとされています。つまり、ヒトの目には反射された緑色の光が入るために植物は緑に見えるのです。

葉緑体は光合成をする場ですから、たくさんの水・二酸化炭素・日光があっても、葉緑体なしでは光合成はできません。葉緑体の有無でどう変わるのか、こちらの記事をご覧ください。

3.光合成によって何ができる?

光合成によってどのような反応がおこるのか、考えてみましょう。光合成は葉緑体によって行われ、反応物は水と二酸化炭素光エネルギーを用いることがわかっていますね。また、光合成によって植物は自らの構造の基盤となる組織かつ栄養分となる炭水化物酸素を生成します。これをまとめると、

葉緑体上: 水 + 二酸化炭素 ー(光エネルギー)→ 炭水化物 + 酸素

となりますね。これは便宜上の式ですから、もう少し整理してみましょう。炭水化物というのは糖質と食物繊維の合計ですから、今回はもっとも単純な構造をしている糖質、グルコースを用いることにします。さらに葉緑体、光エネルギーの表記を消してシンプルにまとめてみたのがこちらです。

\次のページで「3-1.光合成の化学反応式」を解説!/

水 + 二酸化炭素 → グルコース + 酸素

化学式を用いて6CO2 + 6H2O → C6H12O6 + 6O2としてもいいですね。

3-1.光合成の化学反応式

3-1.光合成の化学反応式

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そうなんです。実は光合成の化学反応式は大きくこの2つが使用されています。その違いは右辺に水があるかどうか、ですよね。結論からいえば、これはどちらも正解です。

数学の式では左辺と右辺に共通の項がある場合はまとめるように習いましたね。それと同様、反応前にも水があって反応後にも水が出てくるならその分引けばいいのでは?と思うのは自然なことでしょう。しかし光合成の反応過程は水と二酸化炭素に日光を当てて反応終了!というような簡単なものではありません。複雑な段階を経て反応が進んでいく中、この式には含まれていない物質やエネルギーも関与しています。全てを表すことは難しいものの、途中の反応段階で水も生成しているということを示したのが上の式なのです。原子や分子の数に着目して考えてみるといいですね。

植物の栄養補給「光合成」

動物が野菜や肉を栄養にするように、植物は自ら栄養をつくり出しています。それが植物そのものの組織となり、エネルギーとなり、ときには動物にとっての栄養にもなりますよね。

光合成は水と二酸化炭素を太陽の光エネルギーの力を受けて葉緑体でおこります。この反応によって生じた糖類(グルコースなど)が植物のエネルギーとなり、酸素は大気中に放出されるというかなりエコなエネルギー生成法ですよね。二酸化炭素を吸収し、酸素を放出するという呼吸の逆ともいえる反応は光合成における重要なポイントでもあります。しっかり覚えておきましょうね。

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理科生物生物の分類・進化

3分で簡単にわかる「光合成」の仕組み!何が必要?作られるものは?元塾講師がわかりやすく解説

今回は「光合成」について詳しく勉強していこう。ヒトや動物は食事をすることで栄養を補給するよな。植物はいわゆる「ご飯」ではなく、光合成によって自ら栄養をつくり出すんです。

そこで今回は植物の生命維持活動について化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。「わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなる!」を合言葉にまずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.光合成とは

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光合成(こうごうせい)とは、植物や植物プランクトン、藻類などが日光からエネルギーを生成する生化学反応のことをいいます。太陽光から得られる光エネルギーを使い、水と二酸化炭素からデンプンなどの炭水化物を合成する反応です。

この炭水化物は植物の構成成分になるだけでなく、植物が生きていくうえでのエネルギー源となります。植物は動物のエサになったり、ヒトにとっての大切な栄養源であることは言うまでもありませんが、生成物として酸素が生じることからも非常に重要な反応ですね。

2.光合成に必須なものは?

それでは、光合成に必要不可欠な要素を見ていきましょう。まずは反応物と光合成がおこる条件について解説します。

2-1.水

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植物も動物も、生きていくうえで欠かせないのが水ですね。多くの植物は自然界の水の循環の中で雨や地下水を根から吸収していますが、空気中の水蒸気を多く含む熱帯雨林などで育つ植物は葉からも水分を吸収できるように進化しました。

植物の種類によっては水分量が多いとかえって根がダメになってしまう品種があったり、組織内に水を蓄えておくことで水がほぼない環境でも育つ品種があったり、地下深くまで根を伸ばすことで水をなんとか得ようとする植物もあります。いずれにしても、水は植物にとって重要な物質ということですね。

2-2.二酸化炭素

温室効果の高いとされる二酸化炭素ですが、植物は光合成のためにこれを吸収してくれるとあって、植物の環境への役割は非常に大きいと知られています。産業技術が発達し、工場やゴミ処分場、車の排気などによって大気中に排出される二酸化炭素は年々増えていますよね。

しかし地球の約1割を占めるという森林などの植物がこの二酸化炭素を吸収してくれるだけでなく、生成物として酸素をつくり出してくれることを忘れてはいけないでしょう。植物のはたらきによって空気中に含まれる気体の割合がキープされているといっても過言ではありません。それにもかかわらず、森林伐採や森林火災によって毎年広大な面積の森が消失しています。植物の保護というのがこれからも私たちにとっての課題になりそうですね。

2-3.日光

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光合成はひかりごうせいともよばれ、太陽の光が重要になる反応です。植物は光エネルギーをエネルギー源にすることで水と二酸化炭素から別のエネルギーを生成することができます。植物を育てるときには日当たりが重要になるということですね。

ほとんどの植物は日光なしでは生きていけません。しかし植物によって必要な水の量や水を得るための進化が異なったように、直射日光を嫌う品種や風通しのいい場所が向いている品種もあります。もし植物を育てる機会があれば、日当たりに対する種ごとの特徴についても注目してみるとよさそうですね。

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