この記事では「提灯に釣り鐘」について解説する。

端的に言えば提灯に釣り鐘の意味は「釣り合わないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「提灯に釣り鐘」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「提灯に釣り鐘」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「提灯に釣り鐘(ちょうちんにつりがね)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「提灯に釣り鐘」の意味は?

「提灯に釣り鐘」には、次のような意味があります。

つりあいがとれないことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「提灯に釣り鐘」

「提灯(ちょうちん)」とは、細い割竹などで作られた枠に紙を貼り、底にロウソクを立てて光源としたもの。いわゆる昔の懐中電灯で、夜間の外出の際などに持ち歩き使われていました。

一方で「釣鐘(つりがね)」とは、鐘のひとつ。お寺の鐘楼などに吊るされています。大みそかに、棒でついて鳴らすシーンを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

これら「提灯」と「釣鐘」は見た目の形は似ていますが、その大きさや重さは差が大きく、比較になりません。このことから「提灯に釣鐘」とは“見た目は似ていても中身は釣り合いがまったくとれていない”ことをたとえる慣用句として、使われるようになりました。

なお、「提灯に釣り鐘」は比較にならないもののたとえではありますが、優劣をつけるものではありません。どちらかが良い悪いではなく、純粋に物事が釣り合っていないことを指す時に用いるのが「提灯に釣鐘」です。

「提灯に釣り鐘」の語源は?

「提灯に釣鐘」の言葉は、見た目の形が似ているのに釣り合わないことから生まれたものです。ですがこの言葉は本来は、男女の家柄や身分の違いをたとえて縁談の破談にするときに用いられていました。破談の際に、「私とあなたでは提灯に釣り鐘でしょう」と言えば、「身分が釣り合わないのでこの縁談はなかったことにしよう」という意味を指していたのです。

実際、浄瑠璃および歌舞伎の演目「仮名手本忠臣蔵(かなでぼんちゅうしんぐら)」に、身分が釣り合わない縁談として「提灯に釣り鐘」という言葉が使用されています。

ただしもともとは破談に限った言葉であっても、現在ではそうではありません。今では不釣り合いなものごと全体に「提灯に釣り鐘」という言葉を用いることが可能です。

\次のページで「「提灯に釣り鐘」の使い方・例文」を解説!/

「提灯に釣り鐘」の使い方・例文

「提灯に釣り鐘」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.提灯に釣り鐘だから仕方ないと、彼は自分の片思いを諦めるつもりらしい。
2.御社と弊社では提灯に釣り鐘でしょう。新製品の共同開発は現状、難しいと判断しています。
3.一目ぼれしてアクセサリーを買ったところ、いつものコーディネートではバランスが悪すぎて提灯に釣り鐘になってしまった。
4.先日人気の舞台に行ったが、私には衣装とセットがどうにも提灯に釣り鐘だったように感じる。

「提灯に釣り鐘」とは釣り合わないこと。もともと使われていたように、異性との縁談に関して述べているのが1の文ですが、現在は2~4のように広く使うことができます。1や2は自分と相手との差をたとえたもので、3と4はものや状況を釣り合わないとたとえた例文ですが、いずれも釣り合っていない様子に「提灯に釣り鐘」を用いているのがわかるでしょう。

また文脈上で解釈できることはありますが、「提灯に釣鐘」自体にはどちらが良いという優劣もありません。使用する際はニュアンスにも気をつけて用いるといいでしょう。

「提灯に釣り鐘」の類義語は?違いは?

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ここでは「提灯に釣り鐘」の類義語について解説します。

「月とすっぽん」

「月とすっぽん」は、“あまりにも違いが大きい”ものを意味することわざ。空に浮かぶ月と地上のすっぽんを比べて、見た目は丸く似ているにもかかわらず、その二つには比較にならないほど大きな差がある、ということをたとえたものです。

「提灯に釣り鐘」同様、比べられないほど釣り合わないものを指すときに使われます。ただし、「月とすっぽん」では、「月」がすぐれたもののたとえで、「すっぽん」は劣ったもののたとえです。「提灯に釣り鐘」とは異なり、優劣も含めて“釣り合わない”という意味になるので、ニュアンスの違いには注意しましょう。

\次のページで「「提灯に釣り鐘」の対義語は?」を解説!/

「提灯に釣り鐘」の対義語は?

「提灯に釣り鐘」の反対の意味とはどんな言葉になるでしょうか。続いて「提灯に釣り鐘」の対義語表現を見ていきます。

「五十歩百歩」

「五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)」とは“多少の違いはあっても本質的には同じであること”を指す用語。中国の孟子の逸話で、とある戦において50歩逃げた者が100歩逃げた者を臆病だと笑ったが、いずれも逃げたことに変わりはない、というお話が由来です。そのため肯定的な言葉ではなく、“どちらも似たり寄ったりでダメである”というニュアンスで使われます。

見た目が似ていても比較にならない「提灯に釣り鐘」に対し、多少違いがあっても同じである「五十歩百歩」は対義語のひとつと言えるでしょう。

なお「五十歩百歩」は「五十歩を以て百歩を笑う(ごじっぽをもってひゃっぽをわらう)」と言われる時もあります。一緒に覚えておきましょう。

「提灯に釣り鐘」の英訳は?

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最後に「提灯に釣り鐘」の英語訳を確認していきましょう。

「Can a mouse fall in love with a cat?」

「Can a mouse fall in love with a cat?」は英語のことわざ。直訳すると、“ネズミが猫と恋に落ちると思う?”となり、そこから転じて“どう考えてもあり得ない”“明らかに釣り合わない”といった状況を意味することわざになりました。

まさに「提灯に釣り鐘」と同様の意味のことわざと言えるでしょう。

なお、単に“釣り合わない”と簡潔に表現したい場合は、“等しくない”という意味の単語「unequal」を用いることもできます。状況に応じて使い分けるといいでしょう。

「提灯に釣り鐘」を使いこなそう

この記事では「提灯に釣り鐘」の意味・使い方・類語などを説明しました。

なかなか類語の「月とすっぽん」に比べて日常的には聞かない言葉だったかもしれません。ですが意味をしっかりおさえたうえで今後は「提灯に釣り鐘」も使って、語彙力のひとつとしてみてください。

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【慣用句】「提灯に釣り鐘」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「提灯に釣り鐘」について解説する。

端的に言えば提灯に釣り鐘の意味は「釣り合わないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「提灯に釣り鐘」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「提灯に釣り鐘」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「提灯に釣り鐘(ちょうちんにつりがね)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「提灯に釣り鐘」の意味は?

「提灯に釣り鐘」には、次のような意味があります。

つりあいがとれないことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「提灯に釣り鐘」

「提灯(ちょうちん)」とは、細い割竹などで作られた枠に紙を貼り、底にロウソクを立てて光源としたもの。いわゆる昔の懐中電灯で、夜間の外出の際などに持ち歩き使われていました。

一方で「釣鐘(つりがね)」とは、鐘のひとつ。お寺の鐘楼などに吊るされています。大みそかに、棒でついて鳴らすシーンを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

これら「提灯」と「釣鐘」は見た目の形は似ていますが、その大きさや重さは差が大きく、比較になりません。このことから「提灯に釣鐘」とは“見た目は似ていても中身は釣り合いがまったくとれていない”ことをたとえる慣用句として、使われるようになりました。

なお、「提灯に釣り鐘」は比較にならないもののたとえではありますが、優劣をつけるものではありません。どちらかが良い悪いではなく、純粋に物事が釣り合っていないことを指す時に用いるのが「提灯に釣鐘」です。

「提灯に釣り鐘」の語源は?

「提灯に釣鐘」の言葉は、見た目の形が似ているのに釣り合わないことから生まれたものです。ですがこの言葉は本来は、男女の家柄や身分の違いをたとえて縁談の破談にするときに用いられていました。破談の際に、「私とあなたでは提灯に釣り鐘でしょう」と言えば、「身分が釣り合わないのでこの縁談はなかったことにしよう」という意味を指していたのです。

実際、浄瑠璃および歌舞伎の演目「仮名手本忠臣蔵(かなでぼんちゅうしんぐら)」に、身分が釣り合わない縁談として「提灯に釣り鐘」という言葉が使用されています。

ただしもともとは破談に限った言葉であっても、現在ではそうではありません。今では不釣り合いなものごと全体に「提灯に釣り鐘」という言葉を用いることが可能です。

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