この記事では「寡頭政治」について解説する。

端的に言えば寡頭政治の意味は「少数の者が権力を握って行う独裁的な政治」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「寡頭政治」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「寡頭政治」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「寡頭政治」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「かとうせいじ」です。政治に関連する四字熟語となっていますが、どのようなものなのか詳しくチェックしていきますよ。

「寡頭政治」の意味は?

「寡頭政治」には、次のような意味があります。政治で使われる用語でもありますが、まずは四字熟語辞典の意味を確認してから詳しく意味をつかんでいきましょう。

1.少数の者が権力をにぎって行う独裁的な政治。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「寡頭政治」

「寡」には少ないという意味があるので、「寡頭」とすると少人数の支配者のことです。さらに、少人数によって支配されるということは、多数の意見を取り入れる民主主義ではないということなので、独善的な政治という意味につながっています

また、「寡頭政治」は少数者支配を意味する「寡頭制」や「寡頭政」と言い換えられることもあり、歴史的に見ると世界各地で行われてきた政治制度でもありますよ。

「寡頭政治」の語源は?

次に「寡頭政治」の語源を確認しておきましょう。

「寡頭政治」という言葉は、ギリシャ語から生まれたものです。寡頭制は「oligarchy(オリガーキー)」と表しますが、もとはギリシャ語の「oligo(少数)」と「arkhos(支配)」から成ります

古代ギリシアの哲学者プラトンは、著書の中で「国家」や「法律」に関する記述が多く、とくに理想的な国家を築くための政治という視点をもっていました。「寡頭制」とは、法律を軽視している国家に起こる政治体制であると述べています。

その弟子のアリストテレスは、政治学を倫理学の延長上にあるととらえており、プラトンの思想に批判を加え公共よりも個人を重視した少数支配を「寡頭制」と分類しました。また、小規模国家を理想としていたが、時代は世界国家形成に向かっていきます。

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「寡頭政治」の使い方・例文

「寡頭政治」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。文法的な面から見た使い方についても確認していきますよ。

1.寡頭政治にならず国民の意見を広く取り入れるには、政治家は柔軟な組織構造を模索すべきだ。
2.我が家の財布の紐は母が握っているので、寡頭政治と言うよりも独裁政治と言える。

例文1.は、少数の独裁政治によって広く意見が取り入れられなくなることを懸念して、従来の組織構造の改善を求める内容になっています。例文2.のほうは、家庭の財政の全権を持つ母について、少人数と言うよりも独りに権力が集中しているということを意味する文です。

文法的に見てみると、例文1.では「寡頭政治に…」、例文2.は「寡頭政治と…」ということで、いずれも四字熟語を名詞のカタマリとして使用しています。

「寡頭政治」の類義語は?違いは?

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それでは、「寡頭政治」の類義語についての説明です。「寡頭政治」は政治そのもののことを表すことが多いのですが、類義語では幅広い表現で近い意味の四字熟語を見ていきましょう。

「独断専行」

「寡頭政治」の類義語には、「独断専行(どんくだんせんこう)」があります。意味は、自分だけの判断に基づいて勝手に行動することです。「独断」は自分ひとりの考えで決めること、「専行」は自分ひとりだけの判断で勝手に行うことを表しています。

「自分ひとり」という意味合いがありますが、実際には人数がひとりの場合に限らず、組織や全体の中の一部分という場合にも使うことができますよ。例えば「それは、上層部の一部が独断専行で行ったことだ。」という文なら、実際には数人のことですね。

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「寡頭政治」の対義語は?

次に、「寡頭政治」の対義語についての説明です。少数による独断を意味する「寡頭政治」の反対の意味ということなので、多数であったり広く意見を取り入れるという意味になりますね。では、詳しく見ていきましょう。

「衆議一決」

「寡頭政治」の対義語には、「衆議一決(しゅうぎいっけつ)」があります。意味は、多くの人の議論や相談により意見が決まることです。「衆議」は多くの人々の議論や相談のこと、「一決」は一つにまとまって決まることを表しています。

多くの人による議論があって決定するということなので、「寡頭政治」とはちょうど反対の意味になりますね。内容はともかく、日本では議会などで議論されて決定するというしくみを採用していますね。

「議論百出」

もう一つの対義語には、「議論百出(ぎろんひゃくしゅつ)」があります。さまざまな意見が数多く出されて活発に議論が行われることという意味です。「百」は実際の百という数値ではなく、多いという意味で使われています。

次から次と意見が出てきて盛んに議論されることや議論をしているようすのことを表しているので、こちらも少数による独断の政治を意味する「寡頭政治」とは反対の意味になりますね。

「寡頭政治」の英訳は?

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最後に、「寡頭政治」の英訳についての説明です。語源のところで少し紹介しましたが、語源のギリシャ語に相当する英語表現について見ていきましょう。

「oligarchy」

「寡頭政治」の英訳には、「oligarchy」があります。意味としては「寡頭政治、寡頭制による独裁国、少数独裁者グループ」などです。語源の通り、ギリシャ語の「oligo(少数)」と「arkhos(支配)」がもとになっています。

一般的に「寡頭政治」と表現するときは、「an oligarchy」として「an」を冠して表現しますよ。

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「寡頭政治」を使いこなそう

今回の記事では「寡頭政治」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「寡頭政治」の基本の意味は、少数による独裁政治のことです。別に「寡頭制」と言われることもありますが、国家形態や政治体制の名称というよりも実際的な政治の状態を表しています。もしかすると「寡頭状態」というほうがわかりやすいかもしれません。

例えば、民主制でも実質的に少数により支配されていれば「寡頭政治」と言えます。言い換えると「寡頭状態の民主制」となりますね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「寡頭政治」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

「寡頭政治」の使い方・例文

「寡頭政治」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。文法的な面から見た使い方についても確認していきますよ。

1.寡頭政治にならず国民の意見を広く取り入れるには、政治家は柔軟な組織構造を模索すべきだ。
2.我が家の財布の紐は母が握っているので、寡頭政治と言うよりも独裁政治と言える。

例文1.は、少数の独裁政治によって広く意見が取り入れられなくなることを懸念して、従来の組織構造の改善を求める内容になっています。例文2.のほうは、家庭の財政の全権を持つ母について、少人数と言うよりも独りに権力が集中しているということを意味する文です。

文法的に見てみると、例文1.では「寡頭政治に…」、例文2.は「寡頭政治と…」ということで、いずれも四字熟語を名詞のカタマリとして使用しています。

「寡頭政治」の類義語は?違いは?

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それでは、「寡頭政治」の類義語についての説明です。「寡頭政治」は政治そのもののことを表すことが多いのですが、類義語では幅広い表現で近い意味の四字熟語を見ていきましょう。

「独断専行」

「寡頭政治」の類義語には、「独断専行(どんくだんせんこう)」があります。意味は、自分だけの判断に基づいて勝手に行動することです。「独断」は自分ひとりの考えで決めること、「専行」は自分ひとりだけの判断で勝手に行うことを表しています。

「自分ひとり」という意味合いがありますが、実際には人数がひとりの場合に限らず、組織や全体の中の一部分という場合にも使うことができますよ。例えば「それは、上層部の一部が独断専行で行ったことだ。」という文なら、実際には数人のことですね。

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