
3分で分かる「オリンピック景気」どんな経済効果があった?影響は?元大学教員がわかりやすく解説

大会が終わったあとに全国的に景気が後退するという報告も。そこで五輪閉会後も含めて「オリンピック景気」がもたらす結果と可能性を現代社会に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。
- 「オリンピック景気」により民間企業の活動が活発化
- 大会準備期間の建設業は特需
- 公共事業の予算が増えることで地域が潤う
- 「オリンピック景気」で不動産投資が過熱
- 全国的に地価があがる可能性
- オリンピック開催で街の価値が高まることも
- 観光旅行者の増加も「オリンピック景気」のポイント
- インバウンドに期待が集まる
- 地域観光をアピールするチャンス拡大
- 「オリンピック景気」は五輪開催中にピークを迎える
- 建設業の特需が終了したあとの不安
- 高騰した地価の下落によるショックも
- 「オリンピック景気」を維持するために何が必要?
- 海外からの旅行者数を維持することは必須
- オリンピック関連施設の有効活用も鍵
- オリンピック景気はその後の維持も含めて考えよう
この記事の目次

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ひこすけ
文化系の授業を担当していた元大学教員。専門はアメリカ史・文化史。日本は東京五輪の開催により不況の打破を目指していたが、新型コロナウィルスの影響により未定という状況に。オリンピックが日本経済に与える影響は計り知れない。「オリンピック景気」は現代社会の重要なテーマのひとつ。その要因や関連するものごとをまとめてみた。
「オリンピック景気」により民間企業の活動が活発化

オリンピックの時期はたくさんの人が国内外から集まります。開催国は、開幕のスケジュールに合わせて環境整備を実施するため、建物や道路をつくったり改修したりする大規模工事の発注が集中。関連する民間企業は大量の大規模工事の発注を受けられ特需となります。
大会準備期間の建設業は特需
オリンピック開催に向けた準備期間でとくに需要が高まるのが建設業。競技のための会場に加えて、多数の人や車の往来に耐えられる道路や施設など、インフラ整備をすすめていきます。大手企業から下請けの小規模会社まで、さまざまな形でオリンピック開催準備で潤うことに。
日本が高度経済成長期だったときに大きく成長した建設業ですが、今は仕事が多いとは言えません。そのためオリンピック開催は、数年分の利益をまとめて得られるため、開催地の誘致は悲願。建設業界の未来を左右するほどのビックイベントとして位置づけられています。
公共事業の予算が増えることで地域が潤う
オリンピック開催により必要となる経費の多くは国や自治体の予算から組まれています。通常、国から分配される予算は、過疎化が進む地方は十分に得られません。とくに現在は、公共事業は縮小化する流れにあるため、地方の企業は徐々に厳しい状況になっています。
しかしながらオリンピックが決まると、普段は予算が多くない地域に予算が回るように。その結果、あまり景気がよくなかった地域の企業にもオリンピック特需に関連する仕事が発生します。オリンピック景気は地域を潤わせる効果もあるのです。

国の経済を活性化するために、各国が誘致を目指して競争していると言ってもいい。実際、不況の国ほど開催国に名乗りを上げる傾向があるな。日本が東京オリンピック開催を目指したのも、リーマンショックから長く続く国内の不況を打開するためでもあった。
「オリンピック景気」で不動産投資が過熱

オリンピックの開催が決まると土地の価格が上昇します。なぜなら、競技場の設備ができる、その周囲に商業施設などができる、周りに住宅が増えることから、通常時よりも土地の価値があがるから。その結果、不動産投資が過熱するようになります。
\次のページで「全国的に地価があがる可能性」を解説!/