物理理科統計力学・相対性理論

3分で簡単「マイケルソン・モーレーの実験」相対性理論を導くことになったこの実験を理系ライターがわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回はマイケルソン・モーレーの実験について解説していくぞ。

マイケルソン・モーレーの実験は、歴史上最も有名な実験の一つだ。なぜなら、この実験によって相対性理論への道が開けたからだ。科学史上でも重要なマイケルソン・モーレーの実験について学んでみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

マックスウェルの方程式と光速度

image by iStockphoto

まずはそもそもなぜマイケルソンとモーレーがこのような実験をしたのかから紹介しましょう。当時は光についてさかんな研究が進められていました。その重要な目標のひとつに、光の媒質であると考えられているエーテルの観測があったのです。ジェームズ・クラーク・マックスウェルが自らの方程式を調べている中で、間接的にその存在を確認する方法に気づいたのでした。まずはそのことについて学んでみましょう。

マックスウェルの方程式と光速度:その1

マックスウェルの方程式と光速度:その1

image by Study-Z編集部

1861年、マックスウェルによって電磁場の基礎方程式が作り上げられました電磁現象はこの方程式を解くことにより完全に記述されるようになったのです。上記がそのマックスウェルの方程式になります。ここでEは電場ベクトル、Hは磁場ベクトル、Dは電束密度、Bは磁束密度、jは電流密度、ρは電荷密度、ε0とμ0はそれぞれ真空の誘電率と透磁率です。

マックスウェルの方程式と光速度:その2

マックスウェルの方程式と光速度:その2

image by Study-Z編集部

マックスウェルは、これらの方程式を解くことによって、電場や磁場が波となって伝わる電磁波が存在することを予言しました。マックスウエゥルの方程式から上記の二つの電磁波の方程式がえられます。ここで⊿はラプラス演算子とよばるもので、式3です。波の伝播速度であるcは2式で定義される量ですが、この値が光の速さと一致することから、光も電磁波の一つであることが明らかになりました

マックスウェルの方程式と光速度:その3

ここで重大な疑問が生じてきます。物理学の基本方程式であると思われるものの中に速度の次元をもつ量、cが現れたのです。速度は「何に対して」の速度であるかを示さなければ意味がありません。つまり座標系を決めて初めて意味のある量となるのです。物理学の基本方程式は、どのような座標系にも適用されるものでなければなりません。これはどういうことでしょうか。

マックスウェルの方程式と光速度:その4

ここで二つの立場が考えられます。第一はニュートン力学で前提となる慣性座標間の相対性原理を放棄、もしくは修正する立場です。つまり無限に存在する慣性系の中に一つだけ絶対的な慣性系が存在し、マックスウェルの方程式はその座標系で成立しているのであり、光速cはこの座標系での速度だとする立場になります。

\次のページで「マックスウェルの方程式と光速度:その5」を解説!/

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