物理

5分で分かる「ルイス数」温度と濃度どちらも変化する時に便利?この指標を理系ライターがわかりやすく解説

今回のテーマはルイス数。力学と言えば物質そのものの移動(濃度変化)を扱いする、熱力学と言えば熱移動(温度変化)を扱うもの。しかし時には物質の移動と熱の移動を同時に扱いたい場合もある。

そんな時に役立つ指標がルイス数。(物質と熱、どちらが早く拡散するかの指標)。理系ライターのR175と解説していく。

ライター/R175

関西のとある国立大の理系出身。学生時代は物理が得意で理科の教員免許も持っている。技術者の経験があり、教科書の内容では終わらず身近な現象と関連付けての説明を心掛ける。

1.物質移動と熱移動

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通常は物質の移動と熱の移動は別々に考えるもの。理科の教科書ではもちろん、流体解析などのシミュレーションにおいても別々に考えるのが主流。なぜなら、なるべく単純化したいから。熱と物質の移動を同時に考慮すると複雑になるため仮定が多くなります。仮定は飽くまで仮定であり現実とは違う場合も多々あり、仮定が多いということは現実から離れたシミュレーションをしてしまう恐れが出てくるもの。よってなるべく単純化してシミュレーションを行うのが得策と言えます。とは言え、時には物質と熱の移動を同時に扱いたい場面もあり、そんな時に役立つ指標の一つがルイス数です。

均一濃度、均一温度を目指すには

熱と物質の移動を同時に扱う問題の例として、温めながら2つの流体を混ぜ、なるべく早く濃度も温度も均一にしたい場合を考えましょう。物質そのものの拡散のしやすさは温度にも依存するため、厳密に解析するなら流体そのものの拡散と熱の拡散を同時に考える必要があります。

物質移動と熱移動を同時に加味

通常、シミュレーションでは極短い時間(ステップという)に区切って、その時間内での物質の拡散を計算し、次のステップでは前回のステップの最終段階を初期状態としてそこからの拡散を考えるというようなプロセスを繰り返します。

熱の影響も考えるのであれば、1つ前のステップで「熱もこれくらい拡散するから次のステップの初期状態はこうだ」という風に、それぞれのステップにて逐一熱の影響をも加味する必要が出て来るのです。そんな時に、物質と熱どちらがどれくらい速く拡散するのか、その比率を把握する必要が出てきます。そこで役立つのがルイス数という無次元(単位を持たない)指標です。ルイス数は温度拡散率÷拡散係数で表され、意味としては熱の拡散が物質の拡散の何倍速いかというもの。

2.物質の拡散

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まずはルイス数の式の分母に来ている拡散係数について。拡散とは広がっていくこと。物質が広がっていくとはどんな状態なのか?身近な例を見ていきます。絵の具の付いた筆を水に付けて洗うと、最初は透明だった水に絵の具が広がっていき、水が濁ってきますね。何が起きているかというと絵具という「物質」が移動しているわけで、これがまさに拡散という現象です。

\次のページで「濃度との関係」を解説!/

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