「電解質」って言葉を聞いたことがあるか?

汗をかいた時、水だけじゃなくて電解質も補給する必要があるって言われるけれど、電解質ってどんなものか?なぜ必要なのか?よくわからないよな。

今回は電解質と非電解質の違いから、なぜからだに電解質が必要なのか?について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に解説していきます。

ライター/wing

元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!

1.電解質と非電解質

image by iStockphoto

皆さんは電解質という言葉を聞いたことがありますか?

電解質とは、それ自体は電気を通さないが水に溶かすと電気を通す物質の事です。そして水に溶けても電気を通さない物質非電解質と呼びます。

1-1.水に何かが溶けている水溶液

わたしたちの身の回りにはいろいろな水溶液があります。お茶やジュースなどの飲み物はもちろん、オイル以外のしょうゆなどの液体状の調味料は全て水溶液です。

それぞれ味が違うので、同じ水溶液ではないという事がなんとなくわかります。では、化学的にはどのような違いがあるのでしょうか。

水溶液は電気を通すものと電気を通さないものの 2 種類に分けられ、電気を通す水溶液には電解質が溶けています。実際に目の前にある水溶液に電解質が溶けているか調べたい時には電気を通してみればわかるのです。

液体に電極を 2 本差し込み、つないだ豆電球を光らせる実験を見たことがありませんか?

このような方法で豆電球が光れば電気を通す電解質が溶けている水溶液だとわかり、豆電球が光らなければ電気を通さない蒸留水やアルコールまたは非電解質が溶けている水溶液だとわかります。

1-2.なぜ電解質が溶けていると電気を通すか

なぜ電解質が溶けている水溶液は電気を通すのでしょうか。

電解質を水に溶かすと、電離といって水の中でプラスの電気を帯びた陽イオンという粒子と、マイナスの電気を帯びた陰イオンという粒子に分かれます。この電解質が解けた溶液を電解液(電解溶液)と呼ぶのです。

では電解液に、プラスの電極とマイナスの電極を差し込み電圧をかけてみましょう。

するとプラスの電極にはマイナスの電荷をもった陰イオンが、マイナスの電極にはプラスの電荷をもった陽イオンが引き付けられ水中を移動します。水の中で電荷を持つものが移動するという状態=電流が流れるという事なのです。

1-3.電解質が溶けている水と非電解質が溶けている水の違い

1-3.電解質が溶けている水と非電解質が溶けている水の違い

image by Study-Z編集部

電解質が溶けている水は電解質が電離してイオンになり、電圧をかけるとイオンが移動することで電流が流れるという事が分かりました。では非電解質が溶けている水はどうなのでしょうか。

非電解質というのは水に溶けてもイオンに分かれない物質のことで、分子がそのままの状態で水の中に溶けています。つまり電解質が解ける現象非電解質が解ける現象全く違うということを覚えておきましょう。

電解質・非電解質の身近な例として、よく食塩と砂糖があげられます。どちらが電解質かわかりますか?

食塩は塩化ナトリウム(NaCl)で電解質です。水に溶けてナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl)に分かれます。そして砂糖はスクロース(C12H22O11)で非電解質です。水に溶けますが、大きな分子のまま水に溶けている状態でイオンに分かれることはないため、水に溶けても電気を通しません。

\次のページで「2.なぜ身体に電解質が必要なのか」を解説!/

2.なぜ身体に電解質が必要なのか

人間の身体は 50 ~ 70% が水分でできています。新生児が 1 番水分量が多く年齢と共に減っていきますが、高齢の方でも身体の半分以上は水分です。

身体中に酸素や栄養やホルモンを運ぶ血液はもちろん、身体を作っている細胞 1 つ 1 つも細胞内液という水分で満たされています。

そして身体にとって重要な役割を果たしている水分の中には電解質が溶けているのです。

2-1.人間の身体の半分以上は水でできている

人間の身体にとって重要な水分が不足すると、脱水症状や熱中症になりひどい場合は死んでしまう事もあります。普段から体外に常に水分が出ていますが、暑くなると身体は体温を下げようとして汗をかき、さらに水分が不足することになるのです。

汗などの体液が口に入ってしまった時に、しょっぱいと感じたことはありませんか?

身体から水分が排せつされるときには、同時に溶けている電解質も出ていってしまいます。この体内の水に溶けている電解質はミネラルと呼ばれ、人間の身体の中で作ることはできませんが生きていくのに必要不可欠な 5 大栄養素の 1 つです。

2-2.身体に必要な電解質

身体に必要な電解質にはどのような種類があるのでしょうか?人間の体に必要なミネラルとして厚生労働省が指定しているものは 16 種類あります。

このうち主なミネラルの働きを見ていきましょう。

ナトリウムイオン(Na+)は身体の中の水分量を調節し、筋肉の収縮神経の伝達を正常に保つのに必要です。

カリウムイオン(K+)はナトリウムイオンとバランスを保ちながら身体の中の水分量を調節し、筋肉の収縮神経の伝達を正常に保ち、血圧の上昇を抑えます。

カルシウムイオン(Ca2+)は骨や歯を形成し、出血時に血液を固めるのを助け、筋肉の収縮神経の伝達を正常に保つのに必要です。

マグネシウムイオン(Mg2+)は骨や歯を丈夫にし、ホルモンや酵素の働きを助けるなど多くの役割があります。

今回お話できたのはごく一部ですが、このようにミネラルの働きを見てみると不足したら怖い事がわかりますね。

ミネラルは不足しても異常を起こしますが、大量に摂りすぎても内臓機能の低下など疾患を引き起こし危険です。水分が不足するまえに、水と一緒に少しのミネラルを摂取することで身体の機能を維持しましょう。

\次のページで「電解質とは水に溶けるとイオンに分かれて電気を流す物質で、生命の維持になくてはならないもの」を解説!/

電解質とは水に溶けるとイオンに分かれて電気を流す物質で、生命の維持になくてはならないもの

電解質とはそれ自体は電気を通さないが水に溶かすと電気を通す物質で、非電解質とは水に溶けても電気を通さない物質です。

なぜ電解質を水に溶かすと電気を通すかというと、電解質は水の中でプラスの電気を帯びた陽イオンという粒子と、マイナスの電気を帯びた陰イオンという粒子に分かれます。

その中に電極を入れると、プラスの電極にはマイナスの電荷をもった陰イオンが、マイナスの電極にはプラスの電荷をもった陽イオンが引き付けられ水中を移動するので、水の中で電荷を持つものが移動する電流が流れるのです。

非電解質とは水に溶けてもイオンに分かれない物質で、分子がそのままの状態で水の中に溶けています。つまり水の中にイオン(電荷を持った粒子)がないため電気を通しません

人間の身体は 50 ~ 70% が水分でできています。そして身体にとって重要な水分の中には電解質が溶けているのです。

身体から水分が排せつされるときには、同時に溶けている電解質も出ていってしまいます。この体内の水に溶けている電解質はミネラルと呼ばれ、人間の身体の中で作ることはできませんが生きていくのに必要不可欠な 5 大栄養素の 1 つです。

ミネラルは不足しても異常を起こしますが、摂りすぎても疾患を引き起こし危険だという事が分かっています。水分が不足する前に、水と少しのミネラルを摂取することで身体の機能を維持しましょう。

" /> 3分で簡単「電解質」なぜ身体の機能を維持するために重要なの?元研究員がわかりやすく解説 – Study-Z
化学理科

3分で簡単「電解質」なぜ身体の機能を維持するために重要なの?元研究員がわかりやすく解説

「電解質」って言葉を聞いたことがあるか?

汗をかいた時、水だけじゃなくて電解質も補給する必要があるって言われるけれど、電解質ってどんなものか?なぜ必要なのか?よくわからないよな。

今回は電解質と非電解質の違いから、なぜからだに電解質が必要なのか?について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に解説していきます。

ライター/wing

元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!

1.電解質と非電解質

image by iStockphoto

皆さんは電解質という言葉を聞いたことがありますか?

電解質とは、それ自体は電気を通さないが水に溶かすと電気を通す物質の事です。そして水に溶けても電気を通さない物質非電解質と呼びます。

1-1.水に何かが溶けている水溶液

わたしたちの身の回りにはいろいろな水溶液があります。お茶やジュースなどの飲み物はもちろん、オイル以外のしょうゆなどの液体状の調味料は全て水溶液です。

それぞれ味が違うので、同じ水溶液ではないという事がなんとなくわかります。では、化学的にはどのような違いがあるのでしょうか。

水溶液は電気を通すものと電気を通さないものの 2 種類に分けられ、電気を通す水溶液には電解質が溶けています。実際に目の前にある水溶液に電解質が溶けているか調べたい時には電気を通してみればわかるのです。

液体に電極を 2 本差し込み、つないだ豆電球を光らせる実験を見たことがありませんか?

このような方法で豆電球が光れば電気を通す電解質が溶けている水溶液だとわかり、豆電球が光らなければ電気を通さない蒸留水やアルコールまたは非電解質が溶けている水溶液だとわかります。

1-2.なぜ電解質が溶けていると電気を通すか

なぜ電解質が溶けている水溶液は電気を通すのでしょうか。

電解質を水に溶かすと、電離といって水の中でプラスの電気を帯びた陽イオンという粒子と、マイナスの電気を帯びた陰イオンという粒子に分かれます。この電解質が解けた溶液を電解液(電解溶液)と呼ぶのです。

では電解液に、プラスの電極とマイナスの電極を差し込み電圧をかけてみましょう。

するとプラスの電極にはマイナスの電荷をもった陰イオンが、マイナスの電極にはプラスの電荷をもった陽イオンが引き付けられ水中を移動します。水の中で電荷を持つものが移動するという状態=電流が流れるという事なのです。

1-3.電解質が溶けている水と非電解質が溶けている水の違い

1-3.電解質が溶けている水と非電解質が溶けている水の違い

image by Study-Z編集部

電解質が溶けている水は電解質が電離してイオンになり、電圧をかけるとイオンが移動することで電流が流れるという事が分かりました。では非電解質が溶けている水はどうなのでしょうか。

非電解質というのは水に溶けてもイオンに分かれない物質のことで、分子がそのままの状態で水の中に溶けています。つまり電解質が解ける現象非電解質が解ける現象全く違うということを覚えておきましょう。

電解質・非電解質の身近な例として、よく食塩と砂糖があげられます。どちらが電解質かわかりますか?

食塩は塩化ナトリウム(NaCl)で電解質です。水に溶けてナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl)に分かれます。そして砂糖はスクロース(C12H22O11)で非電解質です。水に溶けますが、大きな分子のまま水に溶けている状態でイオンに分かれることはないため、水に溶けても電気を通しません。

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