

汗をかいた時、水だけじゃなくて電解質も補給する必要があるって言われるけれど、電解質ってどんなものか?なぜ必要なのか?よくわからないよな。
今回は電解質と非電解質の違いから、なぜからだに電解質が必要なのか?について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/wing
元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!
1.電解質と非電解質

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皆さんは電解質という言葉を聞いたことがありますか?
電解質とは、それ自体は電気を通さないが水に溶かすと電気を通す物質の事です。そして水に溶けても電気を通さない物質を非電解質と呼びます。
1-1.水に何かが溶けている水溶液
わたしたちの身の回りにはいろいろな水溶液があります。お茶やジュースなどの飲み物はもちろん、オイル以外のしょうゆなどの液体状の調味料は全て水溶液です。
それぞれ味が違うので、同じ水溶液ではないという事がなんとなくわかります。では、化学的にはどのような違いがあるのでしょうか。
水溶液は電気を通すものと電気を通さないものの 2 種類に分けられ、電気を通す水溶液には電解質が溶けています。実際に目の前にある水溶液に電解質が溶けているか調べたい時には電気を通してみればわかるのです。
液体に電極を 2 本差し込み、つないだ豆電球を光らせる実験を見たことがありませんか?
このような方法で豆電球が光れば、電気を通す電解質が溶けている水溶液だとわかり、豆電球が光らなければ、電気を通さない蒸留水やアルコールまたは非電解質が溶けている水溶液だとわかります。
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1-2.なぜ電解質が溶けていると電気を通すか
なぜ電解質が溶けている水溶液は電気を通すのでしょうか。
電解質を水に溶かすと、電離といって水の中でプラスの電気を帯びた陽イオンという粒子と、マイナスの電気を帯びた陰イオンという粒子に分かれます。この電解質が解けた溶液を電解液(電解溶液)と呼ぶのです。
では電解液に、プラスの電極とマイナスの電極を差し込み電圧をかけてみましょう。
するとプラスの電極にはマイナスの電荷をもった陰イオンが、マイナスの電極にはプラスの電荷をもった陽イオンが引き付けられ水中を移動します。水の中で電荷を持つものが移動するという状態=電流が流れるという事なのです。
1-3.電解質が溶けている水と非電解質が溶けている水の違い

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電解質が溶けている水は電解質が電離してイオンになり、電圧をかけるとイオンが移動することで電流が流れるという事が分かりました。では非電解質が溶けている水はどうなのでしょうか。
非電解質というのは水に溶けてもイオンに分かれない物質のことで、分子がそのままの状態で水の中に溶けています。つまり電解質が解ける現象と非電解質が解ける現象は全く違うということを覚えておきましょう。
電解質・非電解質の身近な例として、よく食塩と砂糖があげられます。どちらが電解質かわかりますか?
食塩は塩化ナトリウム(NaCl)で電解質です。水に溶けてナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl–)に分かれます。そして砂糖はスクロース(C12H22O11)で非電解質です。水に溶けますが、大きな分子のまま水に溶けている状態でイオンに分かれることはないため、水に溶けても電気を通しません。

食塩と砂糖は、化学的にみると電解質と非電解質という逆の性質のものだったんだな。電解質が水に溶けて電気を通すものだという事は分かったが、なぜ身体の機能を維持するために電解質が必要なんだ?
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