
簡単でわかりやすい!「酸化数」は何を数値にしたもの?求め方や酸化・還元も元研究員が詳しく解説
酸化数の決め方にはルールがあり、反応の前後でその数値が「増えた」か「減った」かで酸化されたか還元されたかがわかるんです。
今回は「酸化」「還元」の定義から「酸化数を求めるルール」について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に丁寧に解説していきます。

ライター/wing
元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!
1.酸化とは何か?還元とは何か?

image by iStockphoto
物質が酸素を受け取る、つまり酸素と化合する化学反応のことを酸化と呼び、この物質は酸化されたといいます。一方、物質が酸素を失う化学反応のことを還元と呼び、この物質は還元されたというのです。しかし、酸化還元には酸素の授受がない反応も多くあります。まずは、酸化と還元について詳しく解説していきましょう。
1-1.酸素を受け取る「酸化」と酸素を失う「還元」
先ほど説明したように、一番わかりやすいのが酸素のやり取りによる酸化還元反応です。例えば空気中で金属を加熱した時、金属と酸素が化学反応を起こし酸化物になります。この時金属は、酸素を受け取ったので酸化されたということです。
そして酸化物になっている金属を水素と反応させると、酸化物になる前の金属に戻り、水が発生します。酸化物になっていた金属はこの時、酸素を失ったので還元されたというのです。
こちらの記事もおすすめ

地表に一番多い元素「酸素」について元研究員がわかりやすく解説
1-2.水素を失う「酸化」と水素を受け取る「還元」
次に物質が水素を失う酸化と、水素を受け取る還元を見てみましょう。
2 H2S + O2 → 2 S + 2 H2O
硫化水素( H2S )と酸素( O2 )を反応させると、硫黄( S )と水( H2O )が生成します。この時、硫化水素は酸素分子に水素を取られてしまいました。ということは硫化水素は水素を失ったので酸化されたということになります。一方、酸素分子は水素を受け取ったので還元されたというのです。
こちらの記事もおすすめ

【化学】「水素」って何?化学専攻が教える文系でもわかる「水素」のお話
1-3.電子を失う「酸化」と電子を受け取る「還元」
最後に電子の受け渡しによる酸化と還元を見ていきましょう。金属の銅( Cu )を酸素( O2 )と反応させると酸化銅( CuO )になります。この反応は 1-1. の金属と酸素を反応させて酸化物を得た反応と同じです。
ではこの反応を電子( e– )に注目して見てみましょう。電子の受け渡しが見たいので、電子の動きがわかるように反応式を書いてみます。
2 Cu + O2 → 2 Cu2+ + 4 e– + O2 → 2 Cu2+ + 2 O2- → 2 CuO
この時銅原子は電子を放出して酸化され、酸素原子は電子を受け取って還元されたといえるのです。酸素や水素が関係しない反応でも、電子の受け渡しですべての酸化還元反応を説明することができます。電子を失う事を酸化される、電子を受け取ることを還元されるという事を覚えておきましょう。
こちらの記事もおすすめ

酸化には2種類ある!金属だけじゃない「酸化」について元塾講師がわかりやすく解説
2.酸化数の求め方
ある原子が基準の状態から電子をいくつ受け取った、または失った状態かを示した数値を酸化数といいます。酸化数はそれぞれの元素の電気陰性度の大きい小さいで決まるのですが、少し難しいのでわからなくても大丈夫です。
さきほど電子を失ったら酸化された、電子を受け取ったら還元されたという事になるとお話しましたね。ということは、この酸化数は原子やイオンがどのくらい酸化されたか?またはどのくらい還元されたかを示す数値として使うことができます。
酸化数は原子やイオン 1 つ 1 つに対して整数で表し、0 でないときは必ず +(プラス)か -(マイナス)を付けることを覚えておきましょう。
2-1.酸化数を求めるルール
酸化数が分からない原子やイオンについて、酸化数を求める時のルールを学んでいきましょう。まず単体か化合物かイオンかから基本ルールの 1 つを選びます。そのあと酸化数が分からない原子以外にサブルールを適用して、酸化数が分からない原子の酸化数を求めていきましょう。
基本ルール 1. 単体中の原子の酸化数は「 0 」とします。
例えば H2(水素分子)中の H(水素原子)の酸化数は「 0 」です。
基本ルール 2. 化合物全体の酸化数は「 0 」とします。
例えば H2O(水)全体の酸化数は「 0 」、H2SO4(硫酸)も「 0 」、CuO (酸化銅)も「 0 」です。