化学理科

5分でわかる「突沸」液体を加熱しすぎると起こる?防ぐ方法は?元研究員がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。「突沸」と「沸騰」にはどのような違いがあるか知っているか?

電子レンジに「温めすぎによる突沸にご注意ください」と書いてあるのは、液体が突然爆発的に沸騰する「突沸」による事故が何件も起こったからなんだ。

今回は突沸とはどんな現象か?から突沸を防ぐ方法について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

wing1982

ライター/wing

元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!

1.突沸とは何か

image by iStockphoto

突沸とはどんな現象なのでしょう?液体を加熱し続けると沸点に到達し、沸騰するのは当たり前のことだと思いますよね。

温度は目に見えないから突然沸騰が始まったように見えるのはいつものことじゃないの?と思われるかもしれません。

しかし沸騰と突沸は別の現象なんです。まずは液体が沸騰する時に何が起きているか?からお話しましょう。

1-1.沸騰する温度と圧力の関係

純粋な液体には固有の沸点があります。この沸点とは沸騰する温度の事です。さらに沸点とは液体の飽和蒸気圧が外圧と等しくなる温度であり、外圧が高い場所に行くと沸点は高くなり、外圧が低い場所に行くと沸点は低くなります。

標高が高い山の上では気圧が低いため、水は 100 ℃ より低い温度で沸騰するのです。このことより実際に沸騰する温度と圧力には関係があるという事が分かります。

日常生活の中では圧力が極端に高くなったり低くなったりはしないのですが、圧力が下がると沸点が低くなるということを覚えておきましょう。

1-2.液体が気体になる現象には 2 種類ある

次に液体が気体になる現象について学んでいきましょう。液体が気体になる現象を気化(きか)といい、この気化には 2 つの種類があります。

その 2 種類とは洗濯物が乾く「蒸発」と、お湯が沸く「沸騰」です。

蒸発とは液体の表面から気化した分子が空気中に移動する現象で、沸点より低い温度でも起こります。

そして沸騰は沸点付近まで液体の温度が上がることにより、液体の内部で気化が起こり気泡となって絶え間なく沸き上がる現象なのです。

1-3.突沸という現象

1-3.突沸という現象

image by Study-Z編集部

蒸発と沸騰の違いがわかったところで、今回のテーマである突沸について解説していきましょう。

過加熱の状態にある液体が、突発的に沸騰を起こす現象のことを突沸といいます。

液体を加熱する時、沸点を超えても沸騰が起こらず液体のまま温度が上がり続けることがあるのです。この時の液体を過熱された液体と呼び、見た目は加熱前の液体と変わらないのに、いつ爆発的に沸騰してもおかしくない危険な液体と化しています。

そして過熱された液体はとっくに沸騰していてもおかしくない不安定な状態なので、ほんの少しの衝撃で突沸するのです。容器を揺らしたり、何かを入れたりするだけでも突沸が起こります。

もしコップに入れた液体が突沸した場合、周囲に高温の液体が爆発したように飛び散る危険な現象です。

1-4.なぜ突沸が起こるのか

ではなぜ過熱された液体は沸点を超えているのに沸騰しなかったのでしょうか。

沸騰は液体の内部で気化が起こり、ブクブクと液体の表面に気泡が沸き上がる現象だと説明しました。

しかし液体の内部で起こる気化は、液体の中に溶けている気体がなかったり、液体に不純物がなかったり、液体をいれている容器にでこぼこがなかったりすると、気化を促してくれる要因がなくなってしまうことで沸騰が起こりにくくなってしまいます。

つまり液体の内部に気泡や不純物がない状態だと、突沸が起こってしまう危険性は高まると考えられるのです。またとろみのある液体を混ぜないで加熱する時、一部だけ激しく温度が上がっているのに気泡が出にくく突沸するということもあります。

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