化学物質の状態・構成・変化理科

石灰石に塩酸を加えると何が発生する?5分で元研究員がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。「石灰石」に「塩酸」を加える実験を見たことがあるか?

中学校の理科の授業で実際に実験したことがある人も、石灰石と塩酸が何に変化したか説明しようと思うと難しいかもしれないな。

今回は石灰石と塩酸の化学的性質から実験の詳しい内容について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/wing

元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!

1.石灰石と塩酸の化学的性質

image by iStockphoto

石灰石に塩酸を加えるとどうなると思いますか?何か気体が発生する?それとも液体が発生する?

化学実験で起こる現象について考える時使用する物質について知る事はとても重要です。まず石灰石というあまりなじみがないものについて、どのような物質なのかを学んでいきましょう。

1-1.石灰石とは何か?

石灰石は炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分とする堆積岩です。サンゴや貝類など、海の生物の骨や殻に由来する化石を多く含む岩として産出されます。

石灰石はガラスやセメントの材料として重要な資源です。熱をかけて再結晶したものは大理石と呼ばれ、住宅の玄関などに使われることもあります。

石灰石とは炭酸カルシウムを主成分とする岩石の通称ということです。化学的に物質名で呼ぶなら炭酸カルシウムということになります。そして他に炭酸カルシウムを主成分とする物質は、上にあげたサンゴの骨格や貝がらや大理石以外にも、卵の殻チョーク鍾乳石があることを覚えておきましょう。

1-2.塩酸とは何か?

塩酸とは塩化水素(HCl)を水に溶かした水溶液です。強い 1 価の酸で純粋なものは無色ですが、不純物を含むものは薄い黄色がかった液体になります。

塩酸として市販されているものは、通常 35 ~ 37 % と濃く猛毒なので、蒸気を吸ったりしないよう取り扱いには十分注意が必要です。実験で使用する時は薄めて(希釈するといいます)使用しましょう。

濃いままで使うと取り扱いに特に気をつけなければならないし、反応が爆発的に起こって危険な事もあります。薄めても強い酸であることは変わりないので注意しましょう。

塩酸というのも通称です。正確に呼ぶなら塩化水素と水の混合物となります。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

石灰石も塩酸も通称だったなんて驚きだな。うすい塩酸でも、取り扱う時は注意が必要だということを忘れないでおこう。

2.石灰石に塩酸を加えて気体を発生させる実験

石灰石と塩酸がどのようなものか分かったところで、実験に移りましょう。石灰石つまり炭酸カルシウムと塩酸つまり塩化水素を混ぜると、どのような反応が起こるのでしょうか?

\次のページで「2-1.炭酸カルシウムと塩化水素を混ぜると何が起こるか」を解説!/

次のページを読む
1 2
Share: